絵本は恋人

デジタル絵本作家 奥村律子の絵本レビュー

あめふり

2007年06月26日 10時17分43秒 | 【レビュー】子供に返りたい時の絵本


あめふり
さとうわきこ 作

 梅雨の季節ですね。雨が好きという人もいますが、主婦にとってはやっかいなもの。洗濯物は乾かないし、買い物には傘がいるし、特に我が家は先月食中毒騒ぎがあり神経質にならざるをえません。もちろん元気な子ども達だって外で遊べない雨降りは嫌ですよね。

 さて、そんなじめじめした思いを一掃する絵本をご紹介します。さとうわきこさんの「あめふり」。「ばばばあちゃん」という前代未聞の元気なおばあさんを描いたシリーズのひとつです。ばばばあちゃんの豪快な行動や、雲の上のかみなりたちがとても楽しく描かれていて、雨の日の気分転換にもってこいの絵本です。

 毎日毎日雨続き。ばばばあちゃんと同居している子犬と子猫は外に出られなくて退屈していました。ばばばあちゃんは二匹のために空に向かって「あめふらしさん ときどき やすんじゃくれないかね」と頼みます。ところが意地悪なかみなりたちは、「やなこった」と返してきてバケツの水をぶちまけたような雨を降らしてきました。さらにかみなりがゴロゴロなりだし、いなびかりまでピカリ ピカリ。カンカンに怒った、ばばばあちゃんは「ようし、こっちにも考えがあるよ」と言って、暖炉とスト-プの火をせっせと燃やします。家にあるいらないものを次から次へとただひたすら燃やし続けるばばばあちゃん。さあ、一体どんな作戦なのでしょう。

 私の予想も付かなかった反撃は痛快で、気分爽快。いじわるなかみなりたちも相手がばばばあちゃんだったのが不幸のはじまりでした。十分懲らしめられますが、にもかかわらずかみなりたちの顔はなぜかさわやか。ばばばあちゃんの人柄が感じとれます。裏表紙の絵でかみなりたちは手を振ってばばばあちゃんに別れを告げているところも必見です。内容的には「目には目を、いじわるにはいじわるを」なので、「ちょっと・・・」と思う人もいるかもしれませんが、単純に楽しんでもよいではないでしょうか。

 「ばばばあちゃん」のシリーズはどれも突拍子も無い発想と展開で読み手を圧倒しストレートに楽しむことができるので、子ども達に大人気の絵本です。私自身も読むたびにエネルギーをもらっています。

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あめふり
さとうわきこ 作
福音館書店
¥840(税込)
ISBN: 4834003302