**『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 から何度かに分けて紹介します。6回目の紹介
現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!
「政財官の融合体・・・ 日本の裏支配者の正体を教えよう」
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(カスタマーレビュー)から
救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」(毎日新聞 10月22日)
読み終わって私は、このままでは本書の予言どおり原発事故は再び起こる可能性が高い、と思った。
そして、表紙とびらに引用されたカール・マルクスの次の言葉が本書の内容を言い尽くしていると気づく。
「歴史は繰りかえす、一度目は悲劇として、しかし二度目は喜劇として」。
この国の統治のあり方を根本的に変えなければ「二度目は喜劇」を防くことができない、と私は考える。
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【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(47) ※6回目の紹介
-『原発ホワイトアウト』著者:若杉冽 「終章 爆弾低気圧」 (47)を分けて紹介-
前回の話:【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(47) ※5回目の紹介
「すぐ、逃げるべ」
そう答える妻も、新崎原発のおかげで、冬の内職をせずに済むようになっていた。
着のみ着のまま、餅箱や預金通帳を抱えて、一家全員で車に乗り込む。フクシマでは、いまだ帰還困難区域の指定が解除されていないことが、一家の頭をよぎる。
「ダッフィー、忘れちゃった!」
と娘が泣き叫ぶ。関東電力の招待で、昨年、東京ディズニーリゾートを訪問したときに父に買ってもらった娘のお気に入りである。
しかし、ダッフィーのために逃げ遅れるわけには行かない。
「すぐにダッフィーは迎えに行けるからよ。しばらく家の留守をダッフィーに守ってもらうべさ」
と父が娘を諭す。が、本当は、いつ戻れるかわからないのだ・・・。
自宅に近い県道は積雪があったが何とか走ることはできた。しかし、県道をわずか2キロ走ったあたりで、車は早くも渋滞に巻き込まれた。
実は伊豆田知事は以前、緊急事態を想定して、400人の住民が避難する訓練を行ったことがある。ところが、たったそれだけの人間が一斉に車を動かしただけで、大渋滞が発生したのである。そのときの反省は、今回の避難計画には生かされていなかった。
・・・県道の先には国道が、その先には高速道路がつながっている。高速にさえ乗れれば、原発から50キロでも、100キロでも先に逃れることができるだろうに。
見る見るうちに、後ろにも車の列が並んだ。そのうち列の最後尾は見えなくなった。皆、テレビを見て、慌てて集落から逃げ出してきたのだ。
続き>>【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(47) ※7回目の紹介