杉並の純一郎(3)

2009年12月で68歳に!
先の戦争が一体なんだったのかを今一度勉強し、次の世代に伝えてゆきたい。

イラク情勢が好転!

2008-01-09 23:21:35 | Weblog

 正月明けのテレビがバクダッドでの大規模な自爆テロがあり、数十人単位の死亡者がでたと報道していた。私はアメリカ人の死傷者数を知りたかったが、それ以上の報道はなかったので、若干の違和感を覚えていた。
 今日の産経は「湯浅博の世界読解」が昨年夏以降に行われた増派によりイラクでの米兵死傷者の数が大幅に減ったことを伝えている。それだけではブログに書くにはどうかなと逡巡していたが、本日発売の1月16日付きのニューズウィークにペトレアス司令官との短いインタビュー記事がでており、それを読んで湯浅氏の記事をブログに上げることにした。読んでもらえれば何故かを言う必要は無くなるはずだ。
 いずれにせよ、我々のイラクへの目線を変えてゆく時期が来ているようだ。

ニューズウィーク「今のイラクでは油断は禁物だ」
 イラクの首都バクダッドで、暴力が激減している。03年の開戦以来、最も劇的な転換点を迎えているようだ。立役者である米軍イラク駐留部隊のデービッド・ペトレアス司令官(55)に話を聴いた。
―イラク西部アンバル州のスンニ派組織が米軍に協力するようになった。なぜ、実現したのか?
 我々米軍の側に、せっかくのチャンスを無にすまいという気持ちがあったのだと思う。
―米兵を殺したかもしれない相手と交渉することに抵抗は?
 もちろんあった。今のイラクで油断は禁物だ。
―アルカイダの脅威は消えていないのだろうか?
 彼らは格闘家のように、痛烈なパンチを受けても立ち上がる。
―スンニ派組織のイラク治安部隊への吸収は遅々として進まない。
 反政府勢力の元メンバーもいるから、候補者全員の治安部隊編入を承認させるのは至難の業に思える。だがきっと出来るはずだ。
―サドル派とも直接交渉を?
 政治部門とは交渉するし、地方では多くのマハディ軍指導者と交渉してきた。一進一退だが、今は少しずつ前進していると思う。
―サドルが停戦宣言したが?
 チャンスは与えるが、停戦が破られたら犯罪者として対処する。


「イラクの好転なぜ言わぬ」(湯浅博)

 ブッシュ大統領はアホでマヌケで、彼が率いたイラク戦争は泥沼化でなければならないらしい。これは日本で米国通のフリをするさいの決まり文句である。
 だから、昨年の民間人死者数は最大2万4159人というNGOの発表にはすぐ飛びつき、「イラクの悲劇」を吹聴する。ブッシュ批判が売りの民間研究所長が、年明けのニュース解説で熱を入れていた。
 米国嫌いの論者らは昨年9月以降、犠牲者が激減しているとは決して言わない。イラクの石油生産が、戦争前の水準に戻ったとの分析もしない。いずれも「泥沼イラク」の反戦テーゼに反するからだ。
 イラク政治の現状はもちろんバラ色ではない。いまだにテロ組織の残党が潜んでいるし、イラクの政治家たちが互いに有利な地位を占めようと画策している。しかし、軍事面ではペトレイアス司令官率いる「増派作戦」が功を奏し、死者数が劇的に減少しているのだ。
 統計が正確な米兵の死者数でみると、昨年9月から減少に転じ、10月になると1日平均1.3人(前年10月3.6人)になる。これが12月25日までは17人で1日平均0.7人になる。交通事故を下回る数字だろう。
 平均が「1」を切るのは、フセイン大統領が逮捕されて米国の威信が最も高くなった2004年4月以来のこととなる。いまや、米国の悩みはイラクではない。核を持ったパキスタンの混乱、タリバン復活が危険なアフガニスタン、それに核開発を目指すイランの情勢に移っている。
 「泥沼イラク」を報じてきたワシントン・ポスト紙は自らの間違いを認め、左傾斜のニューヨーク・タイムス紙ですら間接的に認めている。
 驚いたのはブルッキングス研究所のオハンロン上級研究員が、早くも昨年7月の段階で、「われわれは勝利するかもしれない」と同紙上でペトレイアス戦略を肯定したことだ。
 その直後から、彼が民主党系の“身内”から袋叩きにあったことは言うまでも無い。ところが、9月以降になってオハンロン氏の観察眼の正しかったことが証明されていく。
 日本人に誤解を与えるのは、この「増派作戦」という言葉にあるのかもしれない。ペトレイアス戦略の本質は3万人増派にあるのではなく、実は戦略の大きな転換にある。
 ペトレイアス将軍は大規模基地から出撃するそれまでの戦略から、地域ごとに拠点をつくって市民との交流に力点を置く戦略に改めた。
 米シンクタンクのAEI客員研究員の加瀬みき氏流に言うと、「交番作戦」と言うことになる。米兵たちは南部サマワの我が自衛隊員のように、現地に分け入って電気、水道、学校を建てている。テロリストの残虐行為に眉をひそめてきた市民との信頼関係が出来つつある。
 その結果、テロリストに関する情報がもたらされ、武器輸送ルートの情報が飛び込むようになった。こうして、米兵増派直後にいったん跳ね上がった死者数も、9月からは下降に転じてきたのだ。
 現地に特派員を送っている英紙タイムズは昨年11月14日付きで、イラク人たちが欠勤の際に使えなくなった「ちっちゃなウソ」として5つの例を挙げていた。
 1.米兵が町を封鎖してしまった 2.橋の閉鎖で少なくても1時間は遅刻する 3.玄関先で民兵と治安部隊が戦闘している 4.いとこが誘拐されて会社に行けない 5.地域内で家宅捜索が始まり外出できないーーである。
 イラクではこれらが笑いになるほど治安が回復しているとの報告だった。一方、米国内でも、「泥沼イラク」が大統領予備選の争点から外された。これでは日本で米国通のフリをすることも難しい。