これはまた素敵な絵です。選んだ人はわたしの好みの的を射ていますね。たしかにわたしはこういうのが好きだ。自分で絵を描いても、こんな風に描くでしょう。
天使はたくさんいますが、みんながみんな、レオナルドやティツィアーノのような写実的な絵を描くとは限りません。モジリアニのようなデフォルメの利いたユニークな絵を描くものもいます。エルナトなどはそうですよ。かなり癖のある絵を描きます。それはおもしろいですね。
わたしもかのじょと似て、花や小鳥などが好きだ。画面いっぱいに好きなものを描くでしょう。明るい生き生きとした色合いだ。バックの風景もよい。よく見ると、幹のところに小さな蜘蛛が描いてある。こんなのも好きですね。小さなものに目をそそぐ暖かさが好きだ。
わたしのことを思って、選んでくれたものでしょう。
こういう友達の気遣いは、うれしい。わかってくれていると思うと、胸が暖かくなります。
かのじょのことを思い出してみましょうか。あの人はボッティチェリが好きでした。あの繊細なヴィーナスの絵に学んで、素敵な女性像をたくさん描いてくれましたね。あの絵にはかのじょの女性たちへの愛がこもっていました。あれらはみな、かのじょが知っている女性たちの、完成予想図なのです。
勉強して修行をして、美しくなった時の、友達の姿なのです。
あなたがたは今はまだ、暗いところを心がさまよっている。だけど勉強をして美しくなれば、こんな風になるんだよと。あの12月の女性たちの絵には、そういう意味があるのです。
5月はかのじょの実母、6月の女性はかのじょの前代のPTAの会長さんです。7月と8月と3月は絵本の読み聞かせボランティアの友達でしたね。この際全部書いてしまいましょう。9月と12月は、パート先で出会った女性の社員の人、11月はある女優さん、2月はかのじょを育ててくれた叔母さん、10月と1月は秘密です。見てみれば、それぞれになんとなく似ているはずです。ああ、4月は、お姑さんです。
きれいな絵でしょう。あなたがたはひどく馬鹿にしていましたが。あの人が描くとああなるのです。もはや女性の域だというほどきれいになるのです。簡単な技術ですいすいと描くから、重厚になりようがない。あの軽やかさが持ち味ですね。
わたしもかわいらしいものは好きだが、あそこまで女性的に描けません。
好きな世界というのは、似ていてもそれぞれに違うものです。
この人生の霊魂が交代してしばらくの間は、わたしも切り絵などを切っていましたが、どうしてもかのじょの技術では男のきつさが痛い感じで出てしまうので、すぐにやめてしまいました。色鉛筆の天使絵はいいですね。実はわたしも時々描いています。
もうかのじょが描いてくれる絵を見ることはできませんが、わたしたちは生まれてくるたび、いろいろな表現をします。それぞれにユニークでおもしろい。絵の勉強をすれば、おもしろいものも描いて見せてあげられるでしょう。
地上でまた、本当のわたしとしてあなたがたと出会いたいものだ。