Josephcunlife107の日記

ロンドン(カナダ)生活、IVEY BUSINESS SCHOOLの日常。

戦略論とタイミング

2006年02月13日 | Ivey
 木曜日から週末にかけて戦略論の48時間レポートに取り組んだ。先週の土曜日に中間テストが終わったばかりだというのに、今週も土曜日の夕方までチームで作業をしている。こんな状況もビジネススクールならではのことだろう。とはいえ、2週間続けて週末がお預けになってしまうというのはなんとも残念だ。再来週には期末テストが控えているので、暫く週末休みとは縁がなさそうだ。

 戦略というと戦争を連想させるような物騒な響きだが、実際には企業の成長には欠かすことが出来ない概念だ。企業は、限られた資源を最大限に利用してパフォーマンスを最適化しなければならない。株主価値の最大化は企業の目的の一つだが、企業戦略はもう少し長期的なものだ。戦略は全てのファクターを包括しているので、広義の意味での知識が問われる。マーケティング、ファイナンス、オペレーションといった企業活動全ての要素を理解しないといい形のレポートが書けないのから改めていい勉強になる。マイケルーポーター教授によると、企業戦略は、最終的に価格競争力戦略、差別化戦略、集中戦略のいずれかに落ち着く。それ故、方向性さえつけられれば、後はデータを組み立てていけばいいので、ある程度形がつけやすい。

 ビジネススクールで学ぶことは実生活に応用が利くと思う。戦略はそのいい例だと思う。マンションや家を買うときに戦略的視点は欠かせないだろう。現在の経済状況・家族構成・将来状況・物件の現在価値を分析して、将来自分があるべき姿の仮説を立て、そして購入の決断する。耐震偽造の話題が日々取り上げられている。規制緩和という外的要因が民間への検査委託を促し、マンションブームの中で価格差別化を打ち出したマンション会社が現れた。彼らの一部が、実は耐震偽造で、顧客が最終的に不利益を被った。こういう巧妙な偽造を見破るのは難しいが、価格重視の戦略を取った企業の顧客はなんとも不運だし、顧客としては、価格を重視した戦略が結果としては失敗ということになる。

 結婚だって、戦略論があてはまるいい例だと思う。一般に"結婚はタイミング”といわれるが、全くその通りだろう。しかし、戦略的視点のある結婚とそうでないものとでは、結果が大きく変わってくる可能性がある。自分がある年齢でこうなりたいという目標のもとで結婚をすることと、単純に結婚をするのでは、意味合いも違うであろう。相手のことを満足に知りもせずに結婚したら、成田離婚だとか家庭内不和に陥いる可能性は大いにあるだろう。実際結婚をしてからでも、あれと思うことは多々あるようだし、相手が自分の思っていた人と違っていた場合にはどうしたらいいのかと戸惑ってしまうだろう。僕のマンションの管理人夫婦が最近離婚したようだ。奥さんは、とっても良く働くいい人だったのだが、彼女は子供を連れて出て行ってしまったようだ。マンション内でも評判のいい人だったので、今後マンションの管理がどうなるのか心配だ。同様に僕の親類も先月離婚した。彼は出来ちゃった婚による学生結婚だったのだが、数年経って駄目になってしまったようだ。新築マンションを買ったばかりらしいのだが、彼の場合は未だ若いので大丈夫だろう。

 MBAに来る前に面白い話を聞いたことがある。MBA留学が決まった独身男性の一部は、付き合っている彼女と留学中か帰国後に結婚の約束をするそうだ。留学者の平均年齢が30歳位なことと、受験勉強の一段落により将来のことを考える余裕ができるので、心理的には自然の流れなのだと思う。当然相手の親にも挨拶に行くらしいのだが、一年経つとしっかり別れているというケースが良くあるようだ。どちらに原因があるのかは分からないけれど、MBAという合理的な定量分析に主軸を置く学習が、ある程度人生観を変えてしまうような部分が無い訳でもない。なんとも理不尽な話だと聞いていたときは感じたのだが、僕自身周りの学生を見ているとなんとなく分かる気がする。勉強で学ぶことが多いのことも事実だが、異文化に新しく触れる人にとっては、北米の個の重視の感覚は何とも気持ちがいいのだと思う。北米では、女性の社会進出が進んでいるので、日本のようにお金を持っているということがか必ずしも最重要な要素にはならない。結婚観にいささか差があるのだ。そして、その北米的感覚と合理性を学んだ学生達は価値観に変化が生まれる可能性がある。戦略論の応用もその一つだ。自分をポジショニングして、相手を選ぶようになる人もいるだろう。卒業後に収入が上がり、その人に対する需要が高まれば、売り手市場にも生り得るだろう。

 "鉄は熱いうちに打て”というタイミング的な発想は背中を押す上で必要だと思うけど、鉄の熱さを持続する"戦略”も大切だと思う。主観を押し通すことに一休みして、客観的に自分のことを捉えるような戦略的視点で物事を進めて行くことは、もしかしたら自分をある程度抑えて、感情を殺すことができる最善の策なのかもしれない。 

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