書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

史学会編 『2007年の歴史学界 回顧と展望』

2008年06月27日 | 日本史
 本欄2008年06月15日、「『池田信夫 blog』2008-06-15、『福澤諭吉―文明の政治には六つの要訣あり』から」の続き。
 2007年版も状況に変化なし(「日本 近現代史」部分)。というより、今年は平山氏の名前どころか、福沢諭吉の名すら出て来ない。
 本欄2005年05月31日、井田進也『歴史とテクスト 西鶴から諭吉まで』で紹介した『史学雑誌 2001年の歴史学界 回顧と展望』の一節を、いまいちど引く。

“『中江兆民全集』編修に携わった井田進也氏が兆民研究と史料論を次々に出版した。『兆民をひらく』『二〇〇一年の中江兆民』『歴史とテクスト』(いずれも光芒社)である。なかでも『歴史とテクスト』は『全集』編纂の過程で培った(溝口雄三氏の発案による)「テクスト認定法」によって、「時事新報」所載の論説を分析し、これまで福澤のそれと信じられてきた諸論説(脱亜論発表前後、日清戦争前後)が弟子達の執筆であることを明らかにし、史料批判の重要性(恐ろしさ)をいやというほど教えた。これによって立論の根拠を失う福澤研究は数知れず、(活字)文献史学を生業とする研究者には最も深刻な問題を突きつけた書である。評者も又、暫くの間寝汗にまみれそうである” (「日本 近現代 三 政治史関係 1」、川口暁弘執筆、同書155頁)

 やはり汗は疾うの昔に退いたらしい。
 これ以上、何を言う気も起こらぬ。

(吉川弘文館 2008年5月)