書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

David Halberstam の"The Fifties"のIndexに・・・(あるいは無題)

2018年08月25日 | 思考の断片
 David Halberstam の"The Fifties"のIndexにローゼンバーグ夫妻の項は立てられていない。マッカーシズムの章をざっと繰ってみたが出てこないようだ。そしてこれは刊行時期から言えば当然だが、同書にVenonaについての記述はない。

 同じくHalberstamの"The Coldest Winter"が見つからず、さては先の大量処分のときに判断を間違えて売ってしまったかと焦ったが、間違いは間違いでも別のジャンルの棚に間違って突っ込んであった。
 朝鮮戦争の発端の経緯の記述を確かめた。北朝鮮の奇襲で始まったことになっている。そしてその成功の原因は、北朝鮮がその企図と行動を見事に秘匿していたというところに主たる重点が置かれているが、米国側も諜報ルートで軍の移動その他兆候となる情報が入ってきていた事実も特記される。
 ただし(以下はいくぶん乱暴な要約になるが)“マッカーサーがOSS(のちのCIA)を好んでいなかったため、それ経由の情報は重視されなかった”という事情に、事態勃発のアクセントが置かれている。なにやら『坂の上の雲』の黒溝台の会戦前をすこし思い出させる描写である。
 余談は措いて、米側は北内部で活発な諜報活動を行っていたこと、北からの戦争開始を推論させる情報が米に入ってきていたことの2点については、その情報が入っていた以上マッカーサーは北からの奇襲を予め知っていたと結論する萩原遼『朝鮮戦争』(本欄2003年4月19日)と、最終的な判断は別れるがその基礎においてほぼ共通する。

Lawrence Grobel, "Al Pacino: The Authorized Biography"

2018年08月25日 | 伝記
 出版社による紹介
 長年にわたって何度も行われた長時間インタビュー集。

  Unlike Nicholson or Hoffman he has no strong public persona apart from his characters.  ('1996 Looking for Al,' p.105)

 これは本当に思う。映画PRや映画祭等の、いわば演技の延長の場ではないインタビュー映像や番組の類を見ても、ご自分でそう認めているとおり、非常に緊張して神経質になっているのが窺える。基本的に自分からは話を広げない。聞かれた話題に答える。そしてその言葉と表現が返事としての情報伝達には足らなかったり、反対にその場の空気から乖離して自身のなかで空回りして過剰にすぎたり。