なんちゃって日記

書きたいときに書く。
日記的な。

健ちゃん。

2006-04-14 20:16:44 | 日記
今日はちょっと真面目な話。

実は今日突然知人が亡くなっていたことを母に告げられました。
3つ年下の健ちゃんが先日急逝していたのです。
健ちゃんはウチの妹と同い年の15歳。
なんと中学校を卒業したその翌日に亡くなったのです。
健ちゃんは眠ったまま最期の時を迎えたそうなのですが、その顔は本当に眠っている時と変わりなかったと、健ちゃんのお母さんは静かな顔でワタシと母に話してくださいました。

健ちゃんと健ちゃんのお母さんとは病院で入院しているときに出会いました。
当時ワタシは(確か)5歳で、2度目の入院でした。

健ちゃんは脳性麻痺という障害を持っていました。
自分で身体をコントロールすることはむずかしく、身体に緊張が走ると手足が棒のように硬くなってしまったり、そのせいで成長期に入ると骨格が歪んでしまったり、さらにここ1、2年は呼吸をするのが困難になったり…割と大変な障害です。
ですが、障害は持っていたものの容態(?)は安定しており、誰一人として健ちゃんがこんなに急に亡くなるだなんて思っていた人はいなかったのです。
健ちゃんは脳は普通に働いているので、周りの人の言うことなどは理解できましたが、おしゃべりはできませんでした。
なので、ワタシは健ちゃんのお母さんにお世話になったというカンジです。
ワタシは当時幼い子どもだったので、入院していた時のことはあんまり覚えていないのですが、健ちゃんのお母さんに絵本を読んでもらったことを覚えています。

ワタシが高校に入学し健ちゃんが養護学校の中等部に進むまでは、ワタシたちが出会った病院でばったり会うことも多かったのですが、この3年ほどはワタシが学校中心で病院に行くことがなくなったため全く会うことがありませんでした。

そして今日ワタシたちは健ちゃんに会いに、健ちゃんのおうちへ行ってきました。
健ちゃんはディズニーのキャラクターやトム&ジェリーが好きだったそうで、それこそまるでディズニー映画に出てきそうな可愛らしいお部屋で眠っていました。
それまでテレビでしか見たことのなかった小さい箱の中で。
一番上に健ちゃんの写真のある白い段々には健ちゃんの好きなもの―ミッキーを始めとしたディズニーのキャラクターグッズ、お菓子、愛用の椅子や靴など―がたくさん並んでいました。
隣には小さな炎を揺らす白いろうそくと箱にたくさんのお線香がありました。
壁には一面に健ちゃんの写真が貼ってありました。
本当にたくさんの写真です。
コラージュ作品になっているものもありました。
卒業した養護学校の中等部の先生からのプレゼントだそうです。
ワタシたちが出会った当初の健ちゃん、それより前の小さな可愛い健ちゃん、ワタシたちの知らなかった大人っぽくオシャレさんになった健ちゃん。
どの写真の中でも健ちゃんは素敵に笑っていました。
その時ワタシは病院でばったり会った時の健ちゃんを思い出しました。
いつも健ちゃんはニコニコでした。
写真の中のように本当に素敵な笑顔で笑っていたのです。

それからワタシたちはお母さんからたくさん健ちゃんの話を聞きました。
健ちゃんの卒業式の話。
本当は卒業祝いに泊りがけで大好きなディズニーランドに行くはずだった話。
300人もの人が来たと言うお葬式の話、などなど。
どのエピソードも健ちゃんがご家族を始めたくさんの人に愛されていたことが伝わってくるものでした。

健ちゃんはとても甘いものが好きでした。
昼間におやつを食べ、ワタシたちと同じように普通に晩ご飯を食べたあとでも、コージーコーナーのケーキ2つをあっさりたいらげていたそうです。
普通の人がコレだけ食べたら太りますよね?
でも亡くなった時健ちゃんは身長130センチ、体重14キロ。
ここから健ちゃんがどれだけ全力で日々を生きていたのかがうかがえます。

なんだか胸がいっぱいでうまく書けないのですが、健ちゃんのいるお部屋からは温かさを感じました。
健ちゃんを包むたくさんの人の愛情の温度なのでしょう。
彼の人生は短く満足のいくものではなかったかもしれません。
でも彼の人生は決して「不幸せ」ではなかったと思います。