ドラマ最前線 制作者インタビュー2 日本テレビ 河野英裕 なぜいま『ど根性ガエル』なのか
木俣冬 | フリーライター
2015年7月17日 11時0分シャツに貼り付いてしまったカエル・ピョン吉がど根性で生きて行く人気アニメ『ど根性ガエル』(原作は吉沢やすみの漫画)。70年代に誕生し、いまなお愛されているこの作品が実写化された。
漫画やアニメの設定から16年経過し、登場人物はみんな大人に。ひろし(松山ケンイチ)は30歳にもなって無職のダメ人間。京子ちゃん(前田敦子)は離婚して実家に帰ってきた。梅さん(光石研)は52歳のいまもなお、よし子先生(白羽ゆり)にプロポーズできず。ピョン吉(声・満島ひかり)はいよいよ寿命が近づいてきて……と、ど根性だけで突破できない問題に直面した面々が右往左往する姿をユーモアいっぱい、でも少し切なさも盛り込んで描く。
胸のなかでアニメが動き、ドタバタと暴れている松山ケンイチが不思議とまったく不自然でない。2015年の下町に生きている人間として当たり前に見えてしまった。無理してアニメの年齢設定にしてないからか、アニメとの違和感も感じない。これは相当、丁寧に考え抜いたうえで制作されたのだろう。
ドラマをプロデュースしている河野英裕は、これまでも『すいか』『Q 10』『銭ゲバ』『妖怪人間ベム』『泣くな、はらちゃん』など、原作もの、オリジナル問わず、貧しい人もそうでない人も、人間、妖怪、ロボット……この地球に生きるあらゆるものたちに眼差しを向けてきた。
そのなかで『ど根性ガエル』は、彼のこれまでの集大成になりそうと語る河野の、ほんとうにつくりたいドラマとはどういうものなのだろうか。
『ど根性ガエル』を実写化しようと思ったわけ
『ど根性ガエル』1話の編集中に、プロデューサー河野英裕さんにお話を伺いに行ったところ、ピョン吉がまだ全然完成してないと笑いながら迎えてくれました。
ーCGのために本編の完成がギリギリになっちゃう感じですか?
河野それもあってかなり余裕をもってクランクインしたのですが、梅雨時期だったものだから雨でスケジュールがずれて、結果的にギリギリです。まあ、ギリギリまで最良のところを探りたいという思いもありますし。
ー期待してるひとが多いドラマですから。
河野どうやってピョン吉を表現すんの? ってたくさん聞かれました(笑)。
ー16年分、大人になった『ど根性ガエル』のキャラクターたちという設定も。どうしてこの企画を思いついたのですか?
河野すべては、松山ケンイチ君なんです。ぼくが松山君とまたドラマをやりたくて、土曜ドラマで彼とやるとしたら何をやるべきか考えたとき、明るく脳天気な松山ケンイチのドラマにしようと思ったんですね。昔、ぼくが彼とやった作品だと、『銭ゲバ』(09)ではなく、『セクシーボイスアンドロボ』(07)の路線ですね。
ー松山さんは暗いのも明るいのもどちらもみごとに演じられます。
河野もともと彼本来の気質は抜けのいい明るさのほうだと思うんです。優しくて大らかで、気さく。青森のなまりも、ずるいぐらい面白いし(笑)。
ー純朴な。
河野ええ、純朴な(笑)。そういう大らかな松山くんのドラマをやってみたかったんです。
ー大らかな松山ケンイチさんとなったときに『ど根性ガエル』という発想がすごいです。
河野たまたまなんですよ。すごい昔にちょっと考えたことありますが、その時は絶対無理だと思って。どうやったらいいか全く分からなくて。ただ、これまで、昔のアニメのリメイクでいうと『妖怪人間ベム』(11)とか、オリジナルだと『Q10』(10)『泣くな、はらちゃん』(13)と、人間でないものが登場するドラマを3作やってきて、ぼくはそういう異形のものと人間が出会ったときどうなるかっていうことを描くのが好きなんです。とはいえ、もう3作もやったからいいかなとも思いながら、結局、またそっちに行ってしまいました(笑)。土曜の夜9時枠は、ちびっ子から大人まで、年齢、男女性別問わず、みんなが楽しめるテレビの王道の枠、そこに、明るい松山くんで、人間と人間じゃないものが同じ世界に屹立し触れ合っていくものといういくつかの条件に当てはまったのが、『ど根性ガエル』だったんです。
ひろしは30歳、ピョン吉には寿命が
ーやろうとなったときに、シャツのなかでカエルが動く難しさについてはどのように考えましたか。
河野いや、なんとかなるだろうと思っていました。いつものチームがなんとかしてくれるだろうと(笑)。それより悩んだのは、ピョン吉のあり方です。1話で、ピョン吉がシャツからはがれはじめ、いよいよ寿命が来たのか? ということが描かれます。キャラクターを16年分、大人にしたうえに、ピョン吉が死ぬかもしれないという完全オリジナルな内容を、原作者さんサイドからはたして許してもらえるだろうか。それが一番心配でした。ところが、面白くしていただけるのなら何をやってもいいと言ってくださったんですよ。ちょうどその日はぼくの誕生日2月2日で、最高の誕生日プレゼントをもらった気持ちになりました。
ーなぜ、皆を大人にして、ピョン吉の寿命を描こうと思ったのですか。
河野実写化するにあたって、原作を最大限リスペクトし、かつ、原作以上のものを提出しないと意味がないと思っていました。45年前に生まれた原作は、1話完結のギャグ漫画で、大きな縦軸となるストーリーはない。それを、2015年の連続ドラマとして再構築するためには、ストーリーは完全オリジナルにし、新設定もつけることを考えました。漫画では中学校2年生ですけど、主演は松山君ですから、30歳の大人のひろしにする。そのとき、30歳の大人が転んでカエルがひっついたというところからスタートする方法論もあるでしょうけれど、そこに論理的な話を交えずに描いていくとあまりにも子供じみている。じゃあ、どうしたらいいかと考えたとき、中学校2年生のときからひっついたまま2015年になったことにしようと、脚本家の岡田惠和さんと話しました。そのほうが大変だけどチャレンジはできると思ったんです。
ーそこで行ったチャレンジがーー。
河野“ピョン吉とはなんぞや?”ということを描くことです。連続ドラマを作る際、背骨を作る作業、つまり大きな縦軸を何にするかをまず考えなければならないんです。『Q10』のときは“Q10というロボットはなんだったのか?”をひとつの縦軸にしていて、『はらちゃん』では“漫画の世界の人との愛は成立するか”『ベム』は“人間になれるかなれないか”を描きました。今回はなんだろうかと考えると、それは“ピョン吉とはなんぞや?”ということ。そうなると、「ひろしとピョン吉の別れ」という縦軸で展開し表現してゆくのがいいだろうと。じゃあどんな設定で別れを描くのか、いろいろな案を考えていくうち、岡田さんが、シンプルにピョン吉が死ぬかもしれないということがいいんじゃないかって、言って。それだ、と。
ー『泣くな、はらちゃん』は漫画のキャラとの共存を描いた作品でした。昔だったらたぶん漫画の世界の人とはさようならをしなければいけないという最終回を描くところを、お別れしないで共に歩む選択をされたことに現代性を感じたものです。それが今回、あり得ない形状のものといっしょに暮らし続けている『ど根性ガエル』をやるところに、『はらちゃん』を進化させているような気がします。
河野そこまで深く考えてないです(笑)。今回は、単純に、爆発力のあるものを作って、見ている人に驚いてもらいたいという気持ちが大きいですね。
平面ガエルの描き方
ー実際、驚きました(笑)。ピョン吉の声が満島ひかりさんだったり、キャストがすごく豪華で、前田敦子さんも出ていらっしゃるし。で、やっぱりTシャツのなかのカエルが動くのが肝ですよね。
河野やるとなったとき、『ベム』や『はらちゃん』をやってもらっていたグラフィック担当のチームにまっ先に相談して、いけるよね? と確認しました。
ー半ば強制的な「いけるよね?」ですね(笑)。
河野テレビドラマのスケジュールと予算のなかで、あのピョン吉を再現する手段が、いまの技術だったらあるよね? っていう(笑)。
ーどんな技術でどんなことになってるのです
河野どっちかっていうとアナログです。『デスノート』(日本テレビ 日曜10時)のリュークは3Dなので、モーションキャプチャとか最新技術使ってやるんでしょうけれど、うちは平面で、Tシャツのなかでしか動かないので、いわゆる二次元アニメの手法でつくっているんです。
ー撮影のときは、当然、絵がないですよね。どうしているのですか?
河野撮影のときは、何パターンかのピョン吉が描いてあるTシャツを着て演じてもらっています。撮影の状況によって、色目などが変わるんです。
ー色目とかも違う? 黄色くない?
河野何種類かあって。で、それを状況によって変えています。
演技巧者がそろった
ーいろんなパターンのピョン吉Tシャツを松山さんが着て、さも、ピョン吉がいるかのようにしゃべりながら演じていると。
河野パントマイムですよね。それを松山君はじめ、俳優さんたちがやっているんです。1話ではひろしのお母さん役の薬師丸ひろ子さんが着ていますが、今後も、いろんなひとが着ます。2話では京子ちゃん、3話で梅さんが。ピョン吉に引きずられて飛んだりピョン吉走りしたり、ジブリ的な日常を超越した動きを(笑)、みんなが挑戦しなきゃいけないから、大変だと思いますよ。
ー芸達者な人ばかり集まっているから頼もしいですよね。
河野みんなすばらしいですよ。基本コメディですし、子供向けに見える作品ですが、そういうものこそ本格的な俳優さんをキャスティングして、真剣に芝居をしてもらいたいと思っています。今回は、今までお仕事させていただいた俳優さんと、一度仕事をしてみたかった俳優さんに集まっていただき、ある意味、ぼくのドラマの集大成のようでもあります。これが最後でもいいと思うほどの座組です(笑)。主題歌も、ぼくの神様みたいな存在のザ・クロマニヨンズにお願いできたので、本望ですよ。
ー今回、相当、力が入っているんですね。
河野ぼくももう47歳なので、疲れてきまして。そろそろ最後と思って頑張ろうかなって(笑)。
ーいやいやもっとつくってほしいです。話を俳優に戻しまして、アニメと共演するとなると、巧い方がやらないとたぶんおかしなことになってしまいますよね。
河野胸にカエルのアニメがはりついてしゃべっているというファンタジーの世界はへたしたら敬遠する方も多いでしょう。テレビドラマではどちらかといえば、身近な世界が好まれますが、その点、今回の俳優さんたちは、日常とファンタジーの狭間をうまいこと泳いでくれています。満島ひかりさんが「薬師丸さんって、ほんとにカエルと暮らしてそう(笑)」とよく言っていて、実際、そういうタイプの役者さんが多いと思うんです。松山君だって、胸にピョン吉がいるのが自然に見える。
ー前田敦子さんも、カエルとしゃべっていてもおかしくないような(笑)。
河野そうそう(笑)。ある種の特殊性をもった役者さんたちの集まりなんですよ。
ーそれはいい意味の異形で、どこかちょっと超越している方たち。
河野ぼくはそういう俳優さんが好きなんだと思います。あとこれは、物語の本質的なことになりますが、『はらちゃん』をつくったときも同じことを思っていたことがありまして。異形のもの----人間じゃないものたちは、ある種の不自由な世界に生きていますよね。はらちゃんは漫画の世界で、ピョン吉はシャツの中。とくにピョン吉はアマガエルのときはカエルなりの自由があって、好きなところに行けるし、たぶん、家族もいて、ゆくゆくは子孫も残して……みたいな生き方があったはず。ところが、Tシャツのなかでは自由がない。ぼくはそこに興味をもったんです。人間もそうで、なんらかの不自由さを背負いながらもタフに生きていくもので。つまりピョン吉も人間たちも、全ての生命体は不自由さの中でがんばって生きていくものなのだ、と。ただ、“なにがなんでもど根性で生きるのだ”という根性を押しつけたくはまったくありません。根性で解決する時代ではなく、それふりかざした途端にもう終わりだってことはわかっていますから。
根性でなんとかなるのはアクションだけ
ー生き物には必ず死が来る。限られた時間のなかでどう生きるかがひとつのテーマだと。タイトルに“ど根性”がついているので、ある種の昭和根性論回帰なのかと思いましたが、河野さんのドラマは根性を押しつけるようなマッチョなドラマはいままで、ひとつもないですよね。
河野押しつけられてもねえ……。だってみんながんばっていますからね。
ーあ。お優しい。
河野(笑)。がんばってない人もいるとは思いますが、基本みんながんばって生きていて、それだけでもう充分みたいなところもある。そのがんばり方も人それぞれで、例えば、朝一生懸命起きることや誰かに告白することから国会前のデモに参加することまで、出す根性にはふり幅があります。根性を否定するつもりもなくて、このドラマのなかのひとたちは、自分なりのスタイルで、ちょっとだけがんばってみる感じのことなのかなと。「ささやかな、ど根性」、そんなもんあるのかわかりませんが、そんなものが描けたらと思っています。あとはもう、楽しく見てくれればいいなっていうぐらいの、「根性」に関してはギリギリのラインに仕立てたいですね。
ーメッセージ性を強く出すのではなく、毎週土曜日に笑って見られるような。
河野根性でなんとかなるのはアクションだけですよ。そうそう、『ど根性ガエル』をドラマ化できるんじゃないかと思った理由のひとつに、岡田さんの書く人間ドラマに、ピョン吉という物体が持つアクション性というか、ドラマチック性が物語にドッキングできたら、面白くなるなあと思ったとこがありました。ピョン吉に、人間ではできないど根性によるアクションを背負わせられるなら、見た目の快楽を盛り込みながら、一方で、生と死の人間ドラマも進行してく、そういう仕立てが可能かなと。
ー死を覚悟したピョン吉の葛藤みたいなのもありますよね。
河野当然死にたくないっていう思いと、死ぬ前にダメなひろしをなんとかしたいと思い悩みます。
ーそういうとき、満島ひかりさんを声に起用したことが生きるのでしょうね。
河野そうなんですよ。いま、編集しながら、演出の菅原としゃべっていたのですが、まだCGが完成してなくても、満島さんの声だけでも泣けたりするんです(笑)。
ー満島さんにピョン吉の声を演じさせるのもすごいアイデアです。
河野よく出ていただきましたよね。ほんと嬉しかった。彼女の声、大好きなんですよ。当然、演技も好きで、映画『愛のむきだし』や『川の底からこんにちは』、ドラマ『それでも、生きてゆく』など、ぷちっと切れる瞬間に声がシャウトするのがいいのと、あと、飛び蹴りさせたら日本一の女優だと思う。いや、世界一かな。そういうのも含めて、ロックンロールな感じがして。強いけどどこか切ない感じがして、ピョン吉には最高だと思ったんですよね。
生と死、そして日本の問題をどう描くか
ーピョン吉に関して、そうとうドラマチックになっていくと考えていいんですか?
河野そうですね。なんで結果的にそういうふうに生と死の話に収斂していきそうと思ったかというと、原作も、ひろしは、お父ちゃんが死んじゃっているんですよ。
ーお母さんが女手ひとつで育てたんですもんね。
河野そして、京子ちゃんも、1話で白石加代子さん演じるお婆ちゃんが言いますけど、両親が死んでいるんです。なんだか、みんなどこかに死がはりついていて、そのうえ、ピョン吉も死にそうで……ということで。ただ暗い話にはしないですよ。
ーそういうのがあると、視聴者はいろいろ解釈を語り出しそうですね(笑)。
河野勝手にいろんなことを深読みされそうな気もしますね。
ーそれ、わざとやっていません?
河野わざとやってないです。
ー視聴者に餌撒いていません?(笑)
河野2話では福島に行くんですよ、ロケで。ゴリライモがパン屋を経営していて、大量の移動販売車で下町を渡り歩いています。その車をひろしがちょっと拝借して、福島に逃亡するんです。ロードムービーっぽい話になります。
ー福島のことは盛り込んでおきたかった?
河野6話目が8月15日(土)の放送になります。そこでメッセージを声高にあげたくはないですが、土曜の9時に、ちびっ子から大人にも見てもらうドラマをつくるある種の責任は感じているんです。とすると、8月15日で、しかも今年は戦後70年という節目なので、ドラマなりにちゃんとなにかを伝えなきゃいけないという思いもあって、6話に至るフックを2話でつけておきたいという考えがありました。1話でも「変わるのが嫌だったら自分の力でなんとかしろ」というシーンがありますが、いろんな意味を含めて作っています。勝手な解釈で憲法を捻じ曲げて欲しくないですし(笑)。
ー『はらちゃん』でも、震災や世界の紛争の映像を見て、はらちゃんが涙した回(9話)がありました。
河野そうですね。あれはあとで、めっちゃ怒られましたけどね。
ー誰に怒られたんですか?
河野会社に。
ーなんでですか?
河野クレームの電話があったから。そのため、DVDでは画を差し替えてるんです、実は。
ーそれ、生々しすぎる、みたいなことで?
河野過去に実際にあった紛争や震災の映像を入れたくて、そのなかでも、生々しすぎない、ギリギリのものを選んだつもりでしたが、ぼくのエゴだったのかもしれません。そうしたら、『はらちゃん』というファンタジックなドラマを見てほっこりしたいのに、リアルな映像は見たくなかったなどの意見があったんです。その方には大変申し訳なかったと思っています。嫌な思いをさせてしまったこと。でも、すぐに画を差し替えろとかそんなの描く必要がないとか、上から言われてしまう。そんな話になってしまう。だからDVDでは、ぜんぶ色を抜きましたし、震災の画はなくしています。だからぼくは、あの回のDVDを見返していません。
ーもちろんつらい思いをする人の気持ちも分かります。でも、折りにつけ過去の出来事を語っていかないと、記憶を薄れさせてしまうことになりませんか。
河野そうだと思うんですよ。
ー『はらちゃん』は漫画の登場人物が、現実世界の悲劇を知るというエピソードを描くことで、現実世界と向き合おうとしていたと思います。いまの日本は、何かと、難しい問題を隠しておこうとしている感じですよね。
河野恐ろしいですよね。だから、今回も、やれる範囲で、投げこめることは投げこんでおこうかなあと。これで最後になるかもしれないしと思ってやっています。
ー常に最後の気持ちでやってらっしゃるという意味合いですよね?
河野常に最後。そうですね、常に最後だから。
ーまだ40代ですから、もっとドラマをつくっていただきたいと思いますけども。
河野体力的なこともありますし、そもそも飽きっぽいんですよ。ドラマづくりは、立ち上げがいちばん大変だけど面白いし、1、2話までが最も気分が盛り上がりますね。とくに、楽しいのは、MA という音楽を入れる作業です。やっぱり音楽の力は大きくて、徐々に完成していく過程は溜まらないですよ。
ー音楽はどんな感じですか?
河野サキタハヂメさんという、『ベム』の音楽をやってくれたノコギリ奏者で有名な方です。NHKの『シャキーン!』などの子供番組もやっています。今回もノコギリの音も入ってきますが、最初の音打ちのときに、口琴を提案されたんです。それがちょっと切なくていいんですよ。
ファンタジーとテレビの相性
ーそういうところにも、人間の膚感覚があっていいですね。ところで、いろんな技術や価値観が進化、変化されているいっぽうで、逆に抑制されることもあるなか、河野さんはこれからのドラマづくりをどう思っていますか?
河野実は、7月1日から日本テレビに籍をおきながら、制作会社の日テレアックスオンに兼務出向するんです。多くの方にわがまま言って、すごく迷惑かけて、出向させてもらいました。日本テレビの土曜ドラマ、水曜ドラマ、日曜ドラマという枠以外のものもこれからはつくっていければと思っています。
ーむしろ、攻めに出たんですね。
河野はい。それで、『ど根性ガエル』は、ある意味、第一次日テレ時代の最後のつもりなんです(笑)。
ーそれで、最後、最後と。でも、いいことですね。
河野でも、よそさまのところでやるのはやっぱり怖くもありますよ。これまでは、自分の会社のなかだったから好き勝手もできたけど、これからはひとさまのとこだから、よけいにちゃんとやらなきゃいけないかもしれなくて(笑)。
ーある種の出入りの業者になるわけですもんね。そうまでしても、自分がやりたいドラマを作りたいという気持ちっていうことですよね。
河野意地ですよ意地。不自由のなかで、自分なりの方法論を見つけて、出口探そうと思っているんです。
ーそういう意味ではど根性の方ですね。
河野はい、たぶん。かっこわるいけど(笑)。だから、どこにいようと自分自身がつくりたいものをつくる、ということに関しては、とりあえず今のところなんとかなってるんですが、一番の問題は視聴者のみんなの気持ちがわからないということ(笑)。どうやったらみんなに見てもらえるんだろうっていう、そっちが問題です。
ーテレビを見るひとが少なくなってきたことで。
河野どうやったらスマホに勝てるんだろうと。ぼく自身、テレビを見ながらケータイいじっていますしね(笑)。日本テレビとしては、スマホと連動する企画・フリフリというのをやっています。スマホのフリフリアプリっていうのをドラマ中に振るとなにかがプレゼントがもらえるというような企画です。でもそういうことじゃ、ないんじゃないかと思うけど、何かしなきゃって思いもあるので。
ーじっくりドラマを見るのはお年寄りばかりで、インタラクティブにしていかないとテレビを見ないと。
河野30年くらい前は、ぼくたち、好きなドラマをかじりついて見ていたけれど、もうそういうことじゃないんだろうなあという現実を目の当たりにして、どうしようとみんな悩んでいます。
ー20代の若い社員は、まったく違う発想で、じゃあこういうふうにしたら、みたいなことはないんですか?
河野どうなんでしょう。ぼく、若い子とあんまりしゃべらないし、しゃべりたいんですけど、向こうもしゃべりかけてくれないので(笑)。だけど、見るひともつくるひともみんな、目は肥えていて、面白いもの面白くないものの嗅覚はあるはずなんですよ。
ー今回、ひろしが30歳の設定だから、30前後の視聴者を狙っていますか。
河野本音を言うと、もっと若い子に見てほしいです。小中高大……社会に出るまえの子たちに見てもらいたい。
ーとすると、本当は中学生のひろしを描いたほうがよかったんですかね?
河野いや、そうでもないと思います。要するに、若い子が自分たちと同じぐらいの年齢の主人公を見て楽しむ場合もありますが、自分たちより上の世代の話を見て、何かを感じるようなことのほうがぼくは好きです。ぼくも中高生の頃、『ふぞろいの林檎たち』を見て、大人になるっていうことことなんだなあ、なんて思っていました。たとえ100%分からなくてもいいと思うんです。
ーひろしの生き方を見て、なにを感じるかっていうところですね。大人は絶対見ると思うんです。あとは、その下の世代にどれだけ受けいれられるか。視聴率によって脚本が変わっていくことはありますか?
河野いわゆるテコ入れはしないです。視聴率が悪くても、最初に考えたことを変えないです。いろいろ言ってくるひともいますけど、そのへんはふわーっと逃げて(笑)。たとえば、急遽スペシャルゲスト出したところで、ドラマの色合が変わってしまうし。
実際どうしていいかもわからないですし、数字上げるために(笑)。
ー見ていて、なんか変わってきたなあと感じるとちょっと醒めますからね。それにしても、面白いですね、カエルと人間のドラマ『ど根性ガエル』が土曜日に、悪魔と人間のドラマ『デスノート』が日曜に同じ日本テレビで放送されている。
河野そうなんですよ。しかも、松山君は、映画の『デスノート』(07)ではL役で。いま、撮影スタジオが隣同士なんですよ。
ー今夏、映画だと、人間とクマのぬいぐるみの共生を描いている『テッド2』もありますからね。
河野細田守監督の『バケモノの子』も『ど根性ガエル』の第1話と同じ7月11日に公開されましたし、『進撃の巨人』も夏公開でしょ。
ーあの異形は人間との共存どころじゃない、食べられちゃう話ですが(笑)。
河野夏、映画はけっこう面白そうな作品がそろっていますね。
ーファンタジーっぽいものが目白押しですね。
河野そうなりますね。宮崎駿監督が、震災のあとで、もうファンタジーはとうぶんつくらないと言って、『風立ちぬ』をつくられた。その意味もすごく分かったうえでの『はらちゃん』だったんです。実は『はらちゃん』つくったあとに、ぼくもファンタジーやめようと思ったんですよ。なぜかというと、視聴率も悪かったし、好きな人はすごく好きでいてくれるのですが、より多くの人に見てもらうためみたいなところが抜け落ちている反省もしました。それで現実的な『弱くても勝てます』(14/新書を原作にしたノウハウもの)をやって、あれはあれで勉強になったことがいっぱいありました。その結果、またファンタジーに戻ってきちゃったんですけど(笑)。さきほども言いましたが、ファンタジー具合のさじ加減を大事にしたいと思っています。
ー河野さんは子供の頃、『ふぞろいの林檎たち』や『3年B組金八先生』が好きだったそうですが、ファンタジーで好きな作品は?
河野長年、いちばん好きだった映画の座を守っていたのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ですね。あとは、ウディ・アレンのファンタジー要素が入っているもの。
ー『カイロの紫のバラ』とか。
河野『カイロの紫のバラ』は『はらちゃん』でオマージュを捧げました(笑)。あのぐらいのさじ加減が好きなんですね、きっと。
ー日常にちょっとだけ潜むファンタジー。
河野『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なんて、タイムトラベルの部分をのぞけば、描いていることの大半は日常ですよね。家のリビングで、スマホを使える状態で見るドラマには、それくらいのファンタジー性がいいのかもしれません。逆に言うと、日常の地続きだからファンタジー性が入れこみ辛い。そこを見極めてつくっていく必要があると思います。
『ど根性ガエル』をシリーズ化したい
ーでは、最後に、ドラマを見る方にメッセージをお願いします。
河野1話の視聴率がふつうに良かった場合だけ書いてください。続編作りたいんです(視聴率は13.1%〈関東地区 ビデオリサーチ調べ〉だった)
ーシリーズ化を狙いたい?
河野はい。シリーズ化したいです。『ふぞろい』も『金八』もシリーズになっていて、
ああいうことやりたいんです。民放においては、朝ドラや大河ドラマのような長い時間のものを描ける枠がありません。長い時間を描くドラマをやるには、シリーズにするしかない。ひろしをおじいちゃんになるまで描いてみたいですよね。
ーこれは、第1話の視聴率がけっこうよかったら書けるってことですか?
河野はい。でもいいですよ、書いてもいいです、低くても。低くてもシリーズ化したいんです(笑)。
ー低くてもシリーズ化してください。弱くても勝てます的に低くてもシリーズ化。松山さん、WOWOWの『ふたがしら』(6月に5回連続で放送された時代劇)もシリーズ化したら、ふたつもシリーズをもっちゃいますね。
河野シリーズものをつくりたいと言ったら、岡田さんも「なんかわかるなあ」って言っていました。シリーズものという帰る場所があるとチャレンジできるというんですね。ぼくらは会社という拠り所があるけれど、フリーでやっている作家さんや俳優さんにとって、そういう場があるとひとつの安心材料というか。
ー『北の国から』シリーズなども、見てるこっちもドラマといっしょに成長してくみたいな、主人公たちと同じく年をとっていくのって、いいですよね。
河野だからこそやってみたいんですよ。ひろしみたいなダメ男が「ど根性だー」と叫びながらがんばり続けて、40歳、50歳になったらどうなるか見続けていただけるものをつくってみたいですね。
文系男子ふうな河野氏PROFILE
かわの・ひでひろ
1968年生まれ。プロデューサー。91年、日本テレビ入社。03年に木皿泉が脚本を書いたオリジナルドラマ『すいか』を制作、以後、『野ブタ。をプロデュース』(05)、『マイ★ボス マイ★ヒーロー』(06)、『セクシーアンドボイスロボ』(07)、『銭ゲバ』(09)、『Q 10』(10)、『妖怪人間ベム』(11)、『泣くな、はらちゃん』(13)、『弱くても勝てます』(14)とオリジナルドラマと原作ものドラマをバランスよく制作。切なさや苦さのあるドラマにファンが多い。
『ど根性ガエル』
毎週土曜日夜9時~ 日本テレビ
脚本:岡田惠和
演出:菅原伸太郎 狩山俊輔
出演:松山ケンイチ 満島ひかり(声の出演) 前田敦子 勝地涼
光石研 でんでん 白羽ゆり 新井浩文 白石加代子 薬師丸ひろ子
フリーライター
ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。主な著書に「ケイゾク、SPEC、カイドク」(ヴィレッジブックス)、「SPEC全記録集」(KADOKAWA)、「挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ」(キネマ旬報社)、共著「おら、あまちゃんが大好きだ! 1、2」(扶桑社)、ノベライズ「マルモのおきて」「リッチマン、プアウーマン」「デート〜恋とはどんなものかしら〜」など。
松山ケンイチ『ど根性ガエル』 斬新なチャレンジに作家脱帽
NEWS ポストセブン 7月18日(土)16時6分配信
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- 映像における特殊効果の技術革新は、ドラマの常識をも変えるかもしれない。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
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一斉にスタートした夏ドラマの中で、ひときわ異彩を放つ作品がある。『ど根性ガエル』(日本テレビ系土曜午後9時)。
有名な原作から16年後の後日談、という設定のオリジナルストーリー。主人公・ひろし(松山ケンイチ)は30歳になっても母親に依存し、ブラブラしている情けない男。放送が始まる前、人気漫画・アニメの「実写化」に不満・批判の声もあったとか。
しかし、第1回目が放送されると否定的な声はぶっ飛んだ。これまで目にしたことの無い斬新なチャレンジ。このドラマの際立った個性を、次の3つの点から考えてみたい。
●説明セリフを排する姿勢
いくら有名な漫画でありアニメが下敷きだとしても、物語の設定そのものは荒唐無稽でシュール。平面ガエルのピョン吉が人間と会話したり、人生相談にのったり。ピョン吉に引っ張られてTシャツは空を飛び、水に潜る。そうした奇抜な設定が、「実写版ドラマ」として馴染むのかどうか。物語として成り立つのかどうか、が関心の的だった。
一言でいえば、成功している。「あり得ない」を、くだくだと説明するセリフを排して、映像と演技で語りかけてくる。VFX(特殊視覚効果)を駆使し、Tシャツのピョン吉をしゃべらせる。しかし、特殊効果の技術に依存しすぎず、声を担当する満島ひかりのセリフとVFXとが、うまくバランスしている。満島の巧さが光る。
松ケンをはじめ他の登場人物たちも、躊躇なく全力でシュールな世界を演じきっている。おかげで視聴者はつまずくことなく物語の内側へ、すっと自然に入っていける。それもこれも、高度な演出の技があってこそ。ドラマ設定の不自然さを視聴者がいちいち気にし始めたら、ストーリーに没入できなくなる。その危険性を上手に超えた。
●役者の配置、絶妙なバランス
ヒロイン・京子ちゃんを演じている前田敦子が、実にいい。「一人だけ演技下手」などとネットでは酷評されているが、私はまったくそう思わない。
このドラマの京子は、ひろしの「しょうもない熱さ」に対置する駒だ。だから、感情を入れずクールに、棒きれのようにぶっきらぼうにしていなければ。前田敦子は、そうした自分の役の意味を、よく理解している。素っ気なく不機嫌を貫く演技はなかなかのもの。後半に突如爆発する感情的セリフが、その分、ド迫力を持った。
京子の祖母役・白石加代子の登場にも、思わず唸らされた。白石といえば、早稲田小劇場出身の大ベテラン、アングラ女優の筆頭株。しかし彼女の持つ「毒」「狂気」の気配ゆえか、これまでテレビドラマに登場する機会は多くはなかった。しかし今回、白石は主要人物の一人として登場。かつて早稲田小劇場の舞台で私が出会ったあの異様な存在感を、今もなお放っている。
制作陣はきっと、吉田鋼太郎や田中泯といった最近の中高年個性派舞台人ブームを横目でにらみつつ、「白石加代子をいつ投入するか」と頃合いを見計らっていたに違いない。
さらに、五利良イモ太郎役の新井浩文、母役の薬師丸ひろ子、梅さん役の光石研、五郎役・勝地涼、よし子先生役の白羽ゆり……見れば見るほど、あっぱれなキャスティング。輝く個性を、きれいな星座のように見事に配置している。
●根底には一本の「哲学」
一見すると、ギャグドラマ。しかし根底には一本の「思想」が貫いている。
?「いつまでも変わらないものなんて無い」
「昔はよかったなんて話はやめろ、今を生きろ」
「次の瞬間、もう失われてしまうのかもしれないのだから」
そんなメッセージが随所に隠されている。昭和レトロ風の舞台作りは、日本が青春だった時代、成長と発展を素朴に信じられた時代を現している。しかし、すでにその時代を私たちは失ってしまい、決して過去の栄光に戻ることはできない。
このドラマは「喪失」と「今」を描いている物語でもある。Tシャツから剥がれそうになっているピョン吉の耳は、「老い」と「別れ」を暗示している。だからこそ、「今」の意味を考えよ、というメーセッジが効いてくる。
コミカルな軽さ、VFXと役者の力を拮抗させた映像的チャレンジ。そして、骨太なメッセージ。それらをひとつにまとめ上げていく演出家の腕力に脱帽。松ケンの「ど根性」がいささか冗漫で暑すぎるけれど、今後の展開に大いに期待したい挑戦的ドラマだ。
弁蔵と宗次、そのもの!オノ・ナツメ感嘆
「撮影を見に来るのを楽しみにしてたんですけど、すごく楽しい!」
オノさんは京都撮影所で終始瞳をキラキラさせていました。
撮影は中盤に入った頃で、入江悠監督いわく「手さぐりで撮影してきたなか、ようやく弁蔵(松山ケンイチ)と宗次(早乙女太一)の人物像が見えてきた」と、強い手応えを感じていた時期でした。
話数の順番ではなくバラバラに撮っているため、この日は5話(最終回!)で、弁蔵が盗みに入る家の情報を得るために主人と飲み比べをする場面。東映京都撮影所のスタジオの中に立て込まれた座敷のセットで撮影を見たオノさんは、「酔ってご主人に絡んでいるところを見て、弁蔵がいる!と思いました。まさに弁蔵そのものだし、それに対する宗次の無表情な態度もまさに宗次!漫画が動くとこうなるんだと嬉しくなりました」と絶賛です。
オノさんが描いた『ふたがしら』は、若い盗賊が自分たちの一味をつくるべく、次第に成り上がっていくドラマ。まだ何者でもない弁蔵と宗次が頂点を極める前の不完全な若者の成長劇という側面と、盗みという反社会的なフィルム・ノワールの側面の二つの魅力が匂い立ちます。
「漫画だと、ふたりはまだかっこいいところにたどりつく前段階ではあるのですが、松山さんと早乙女さんが演じてくださると、全然かっこ良くて(笑)。漫画では表現できない、実写ならではの役者さんの色気に惹きつけられます。着物の着こなしもステキです」とオノさん。作戦だったはずなのに結局へべれけに酔ってしまうこのシーンの弁蔵の有り様は、ささやかなシーンではあるものの、脚本の中島かずきさんも入江監督もさりげなくこだわった部分。松山さんが弁蔵の酔った動きのアイデアを自ら出し、現場を沸かせていました。
オノさんは中島さんの脚本について、「原作を無駄なくまとめてくださって、ひとつひとつのエピソードが、伏線として生かされ、最後にちゃんとつながっていくことに驚きました」と信頼を寄せていました。
中島かずきが力を入れたシーンとは?
脚本を手掛けた中島かずきさんは、「最初にプロデューサーから脚本のオファーがあったとき、オノさんの作風はオフビートで、ぼくはオンビートと真逆だから、オノさんの世界観を壊さないだろうか?と思ったりもしましたが、ぼくが脚本を書いた舞台『蒼の乱』(14年)に出演した松山ケンイチさんが主演を務めるというのもあり、また、盗人ものはぼくも昔から好きな世界で、憧れていた『必殺』シリーズの初期などを思い出しながら楽しんで書きました」と語りました。
松山さんも早乙女さんも、中島さんが座付き作家をつとめる劇団☆新感線の舞台『蒼の乱』に出演しており、中島さんは、ふたりの個性を加味しながら『ふたがしら』の脚本を書きあげたということです。
「『蒼の乱』で、ふたりのやりとりがちょっとだけあったので、あれを全編描けたのは楽しかったです。ふたりをイメージしながら、一直線で無鉄砲な弁蔵と、クールでつっこみ役の宗次を思いきり描きました」
原作と少し違うところについては、「原作をリスペクトし、作家が大事にしているところを大事にした上で、原作ではムードになっている部分に少し説明を加えています」とのこと。例えば、盗みの場面の描き方。
「オノさんはわざと漫画ではそこは描いてないとも聞いたのですが、せっかく泥棒ものをやるからには泥棒シーンをディテール含めてアイデアをもって描きたいというのはありました。入江監督も『ミッション:インポッシブル』が好きで、ああいうのがやりたいとおっしゃっていたんですよ」
こうして、表の顔は町人でありながら、盗賊という裏の顔を持つ男たちの騙し合いの頭脳戦と、華麗なる盗みのテクニックが炸裂する痛快盗賊エンターテインメントが生まれました。
また、舞台等で時代劇をたくさん描いている中島さんが撮影現場を見た印象は、「ろうそくの炎のゆらめきを生かしているような照明が良かった。もっといまどきのフラットな画面なのかと想像していたら、奥行きと陰影のある画になっていて出来上がりが楽しみです」とのこと。入江監督や中島さん、そしてオノさんが昔好きだった時代劇の雰囲気も盛りこまれているようです。
弁蔵、宗次の「ふたがしら」のように、入江監督と中島さんの「ふたがしら」体制で、それぞれの才能と個性が掛け合わさって、よりパワーアップしたドラマ『ふたがしら』にどうぞご期待ください!
やっとWOWOW契約しました
これでばっちりふたがしらが見れるぞ
BEAST - 「HANDS UP」 (LYRIC VIDEO)
5月20日まであと4日
注目映画紹介:「ゲキ×シネ『蒼の乱』」天海祐希、松山ケンイチの舞台を映像化 戦乱ドラマに感涙
2015年05月08日映画
「ゲキ×シネ『蒼の乱』」のワンシーン (C)2015ゲキ×シネ「蒼の乱」/ヴィレッヂ・劇団☆新感線
2015年に35周年を迎える「劇団☆新感線」の人気舞台を映画館で上映する「ゲキ×シネ」シリーズの「蒼の乱」(作・中島かずきさん、演出・いのうえひでのりさん)が9日に公開される。同劇団への出演が3度目となる天海祐希さんが主演を務め、共演に松山ケンイチさん、早乙女太一さんらを迎えて2014年に上演された舞台を映像化。平安時代を舞台に、国を追われ孤独ながらも優しく強い女・蒼真(天海さん)が、不器用ながらも真っすぐに生きる男・将門小次郎(松山さん)と出会い、戦いへと身を投じていく姿を描いている。天海さんの歌や豪快なアクション、松山さんの純粋ながらも秘めた情熱を体現した演技は迫力十分だ。
左大臣の屋敷で国の行く末を占っていた蒼真(天海さん)を長とする渡来衆の一行は、卦(け)で動乱を予測したのを理由に武士たちに襲撃される。蒼真と親友の桔梗(高田聖子さん)は、京を訪れていた将門小次郎(松山さん)に救出されるが追い詰められてしまう。そこに帳の夜叉丸(早乙女さん)が現れ、追っ手を蹴散らし、引き合わせたい人がいると3人を西海へと連れて行き……というストーリー。
ゲキ×シネシリーズの魅力は、なんといっても舞台の臨場感と映画ならではの表現が化学反応を起こした独特の味わいと見応えにある。今作は上演当時、毎回拍手が鳴り止まないほど激賞されたという。壮大なスケールの戦乱ドラマでありながら、蒼真や小次郎といった主要人物のみならず、登場するキャラクターのほぼすべてに背景と思想が見え隠れし、物語に説得力を与えている。とにかく芸達者な天海さんの歌や演技に殺陣が圧倒的で、凛とした中にも垣間見せる女性らしさが艶やかで色気を感じさせる。小次郎を演じる松山さんも情けない姿を見せつつも男らしい生きざまを体現。笑いあり涙あり、そしてアクションもあり、二転三転する物語に華を添えている。クライマックスは色彩、空間、心理的に圧倒され、感動に包まれて、しばし立ち上がるのを忘れてしまうほどだ。上映時間が少し長いけれど、舞台と映画の双方の良さが詰め込まれている。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
ゲキ×シネ「蒼の乱」予告編
またまたヒョンスンを追いかけているうちに
ケンちゃんのゲキシネが公開されてました
松友さんは舞台あいさつに出かけられたのでしょうね
[Eng Sub] Jang Hyunseung Ma First MV making film
You Tubeの方がブロックされてしまったので
↓
Jolly Bee様、動画お借りしました
メイキング大好きです
かわいすぎる
[1O8O] 150507 ??? Break Up With Him + You're the First
綺麗でかわいくて、かっこよくて
声もダンスも痺れるステージ
ありがとう ヒョンスン
心からステージを楽しんでいるヒョンスンが見れて
感激です
「ど根性ガエル」初実写化
の情報を聴かされ「ど根性ガエル」初実写化 松山ケンイチが16年後のひろし演じる
アニメでも放送された昭和の人気漫画「ど根性ガエル」が、7月スタートの日本テレビの連続ドラマ(土曜後9・00)で初めて実写化されることになった。
1970年に週刊少年ジャンプで連載がスタートし、72年にアニメ化された。ひろしとTシャツに張り付いたカエルのピョン吉が織り成す人情劇。奇想天外な設定が当時の子供たちのハートをつかみ、♪根性 根性 ど根性…の歌詞の主題歌も大人気となった。
実写版で主人公のひろしを演じるのは松山ケンイチ(30)。漫画の世界から16年後を描く。ひろしは無気力な30歳。いつも元気なピョン吉をうっとうしく感じることがあり、ピョン吉が付いたTシャツを着ないときもある。それでも諦めずひろしを叱咤(しった)激励するピョン吉。その熱い気持ちで、現代の疲れた大人を元気づける痛快なストーリーになりそうだ。
河野英裕プロデューサー(47)は松山の起用について、「演技に定評のある松山さんだが、プライベートで見せてくれるおちゃめではじけた部分を、ひろしを通じて視聴者に見せたかった」と話している。
外見はアニメ同様に眼鏡を頭に載せる予定。そのほかの衣装の細部については、松山と制作サイドが話し合っている。松山は「どんな撮影になるのか想像もつかないので楽しみです」とクランクインを心待ちにしている。
国民的人気漫画『ど根性ガエル』が、7月期日本テレビ系土曜21時枠の連続ドラマとして初めて実写化されることが4日、明らかになった。主人公・ひろし役として俳優の松山ケンイチが『銭ゲバ』(2009)以来、6年ぶりに民放連ドラに主演。登場人物たちの16年後の未来というオリジナルストーリーと新設定、そして最新技術でリアルに動く“平面ガエル”のピョン吉が、2015年に蘇る。
<こちらも実写化>『デスノート』初の連ドラ化 日テレ7月期より放送開始
原作漫画は、おっちょこちょいな中学生・ひろしと、彼が転んだ際にシャツに張り付き“平面ガエル”となったピョン吉によるコメディー作品。1970年に『週刊少年ジャンプ』で連載開始し、1972年にスタートしたアニメも大ヒットした。今回は、なんとか人生を「ど根性」で乗り切ってきたものの、現在はダメ男になった30歳のひろしが、ピョン吉のある異変をきっかけに、人生をやり直そうとする…というストーリーを明るく描き出す。
松山は、これまでに実写映画『DEATH NOTE』シリーズの探偵・Lや、『銭ゲバ』の蒲郡風太郎など強烈な二次元キャラクターを度々演じてきた。今作も「どんな撮影になるのか想像つかないので楽しみです」と期待を寄せ、「僕はこの作品で根性というものともう一度向き合いたいと思います」と意気込んでいる。
ひろしの“永遠のマドンナ”・京子ちゃん、ひろしの中学時代の先生・ヨシコ、寿司職人・梅さん、ガキ大将・ゴリライモなど、おなじみのキャラクターもすべて16年後の姿となり、それぞれに生まれた大きな変化も見どころ。『ちゅらさん』や『最後から二番目の恋』などの脚本を手がけ、オリジナルストーリーとなる本作の脚本も担当する岡田恵和氏は「熱くてバカだけど、笑って泣いて、力が沸いてくるようなドラマを目指したいと思います」と“ど根性”を込めている。