:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ 「福島異聞」 (そのー4)

2017-01-09 00:01:50 | ★ 大震災・大津波・福島原発事故

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「福島異聞」 そのー4

チェルノブイリリング

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舞台で重々しい「能」の演目ばかり続いたら、好きな人でも途中で疲れてしまうだろう

だからその合間に「狂言」を挟むのが 日本人の知恵だ

私は「ある神父の告白」と言う「狂言」を一つ挟んだ

だから「福島異聞」のまじめな「能」に戻るのを許していただきたい

 

 

 発事故現場からあまり遠くない土地(しかし、避難指定地区の外)に住むわたしとお友達のある小学生に甲状腺異常と数個の膿疱(この字で正しいかな?)が見つかった。汚染した生活環境からの放射線被ばく(特に内部被ばく)を疑った若い母親から、SOSが届いた。自分の人脈の中から九州の某施設に話をつないで、転地療養の手はずを整えた。それなのに、いざとなったら、親はなかなか実行に移さない。特別にお願いして受け入れ態勢を整えてもらった手前もある。「何をもたもたしているの?」と不審に思って尋ねたら、学校が必要な手続きに協力してくれないという。学校の言い分は、「福島の子供が、放射能被ばくで転地してきたことが知られたら、行った先で社会問題になるから」という理由のようだった。福島には「放射線被ばく児」はいないことになっているらしい。自然の甲状腺ホルモン異常の子」は大勢いるのだが・・・。

日本は国として世界に向かって胸を張って公言してはばからない

「エブリシングアンダーコントロール!」

「ノーデンジャー」「プリーズカムトゥーザオリンピックゲーム!」

日本にもやがて「チェルノブイリリング」(首に月の輪熊みたいな甲状腺手術の痕)のある子供たちが続出しなければいいのだが・・・。 

ここまでが私の短い話だ。

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以下の文章は、もっと怖くて説得力がある。少し長いが、我慢してお読みいただきたい。2011年7月11日といえば、3.11からわずか4か月のきわめて早い時期の予言的な記事だった。

ニューヨークタイムズの記事
チェルノブイリのネックレス(傷跡のリング)

これは、チェルノブイリ原発事故が、よく知られているベラルーシやウクライ
ナだけではなく、はるかに遠く離れたポーランド北部に、大量の被爆者を作った
実例です。そして、そのようなことがいかに無視され続け、事実を調べもせず
に「無関係」とされてきたのかということへの痛烈な告発でもありま す。

おそらく日本でも今から、子どもたちに鼻血が出ようが皮下出血があろうが、
甲状腺が腫れようが癌が増えようが、「フクシマとは無関係」と言い張る似非学
者・似非医者と似非ジャーナリストたちが跳梁跋扈する時代が 訪れるでしょう。

このNYタイムズ記事は、そういった時代への警告ということができます。

そんな時代に、それぞれの立ち位置から、いったい何をなすべきか、この記事
は鋭く問いかけているようです。

童子丸開 拝

=======以下転載・転送歓迎=======

ニューヨークタイムズ記事:全文和訳(暫定訳)

《チェルノブイリのネックレス(傷跡のリング)》


【訳者より】
 これは2011年7月11日付のニューヨークタイムズ紙に掲載された、
ジョー・ノシーラによるコラム記事の和訳(暫定訳)である。
記事原文は、和訳の後ろに貼り付けておくことにする。


 まずは訳文の全てをお読みいただきたいのだが、この中で私が注目したいの
は、25年前のチェルノブイリ核(原子力)発電所事故の後に、東ヨーロッパで
拡大している膨大な数の健康障害について、まともな「疫学的な研究が全く始
められなかった」と作者が述べている点である。当時のソ連当局が十分 なデー
タを出 さな かったせいもあるのだろうが、何よりも、顕著にそして膨大に現れ
てきた事実を研究しようともせずに、癌についてすら「欠陥のある研究の方
法」と語ってこの 問題を「かなりの論理的な難問」と話をすり替える頑迷な専
門家たち、そしてせいぜい動物の異常出産に注目する程度のジャーナリズムにこ
そ、最もその責 任を問うべきものだろう。

 今から後、福島のみならず日本の各地で発生する様々な健康への被害に対し
ても、チェルノブイリに関して行われてきたのと同様に、この種の専門家たちや
ジャー ナリズムによる無視と矮小化とすり替えが始まることだろう。いやもう
すでに始まっている。インターネット上で各地から報告される鼻血、下痢、皮
下出血などをまともに調べてデータを集めている研究者が何人いることだろう
か。そしてそれをまともに知らせようとする報道機関がいくつあることだ ろうか。

 まともな研究がいまだに行われていないのだから、「科学的」も「非科学
的」もあったものではあるまいが、やがて日本人の中に甲状腺障害や白血病など
の事実が現れてきたときに、いくつかの明白な態度が出てくる だろう。

 それらの事実に対して「福島事故との関係性は認められない」と言いなが
ら、関係性を指摘する声を「非科学的」として否定し非難する専門家、およびそ
の取り巻きたち…、彼らの声を単に垂れ流しにして事実に蓋をする報道機関…。
下部の医療機関に調査をしないように圧力をかける上級の機関、下部の研究者
に調査と分析を行わないように圧力をかける上級の研究者や機関…。おそらく
我々は、そういった様々な醜い者たちの姿が事実の前に立ちふさがるのを、
しっかりと目撃することだ ろう。

 もちろん最初から福島事故と健康障害の事実との関係を追及する専門家たち
もいるし、いままでの態度はともかくも途中で事実に気づいて態度を変える人も
いると思う。そのような人々が一人でも多いことを祈りたい。

 しかしその前に、何よりも、過去にあったチェルノブイリ事故の影響につい
て、世界中の良心的な研究者と支援団体によって数々になされた研究成果が報道
機関によって正当に幅広く伝えられ、多くの人が事実を知り、また研究機関の
間で大きな話題として議論されなければなるまい。我々は、チェルノブ イリに
ついて、そしていずれ日本人の上に迫り来る大災厄について、どこの誰が、い
つ、どのように語っているのか…、それを克明に記録し、正確に伝えなければな
らな い。そういった一般の多数の非専門家による作業が、日本国とそこに住む
人々を破滅に導く者と救おうとする者の区別を、白日の下にさらすことだろう。

 さらに大切なことは報道に対するチェックだろうと思う。頑迷な専門家たち
の声を垂れ流しにして事実を覆い隠す報道機関はどれか…。これに対し て、大規
模なボイコット(新聞や雑誌の不買運動、テレビやラジオの不視聴運動、それ
ら のスポンサーとなる企業に対する不買運動、等々)が組織される必要があ
る。また その 逆に、事実を収集し正確に伝え、専門家たちに正直で価値ある調
査と研究を促そうとする報道機関があれば、それへの推奨運動(新聞や雑誌を
買って経営を支える、視聴率を上げてその番組や出演者を応援する、等々)の
動きが、是が非でも必要となってくるだろう。

 このような種類の全国規模の巨大な動きが、強大な権力を動かし政治を動か
し、世界を破滅に導く者たちの歩みにストップをかけていくことになる。我々日
本人こそがその当事者なのだ。

 最後に、この報告を書いたジョー・ノシーラ氏とこれを掲載したニューヨー
クタイムズ紙に感謝を捧げたい。

2011年7月13日 バルセロナにて 童子丸開

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【和訳】

《チェルノブイリのリング状の傷跡》
     ジョー・ノシーラ
    2011年7月11日 

 実に奇妙なことだが、史上最悪の核事故の25周年にジャーナリズムが注目
したのは動物に関してであった。二つの雑誌 Wired と Harper's は、ウ クライナ
にあるチェルノブイリ原子力発電所付近の、いわゆる避難地域での、動物の新生
児について長ったらしい記事を発表したのである。

 まあそれはそれで結構なのだが、しかし最近起こった日本での核事故を考え
るならば、あなた方はむしろ…、チェルノブ イリで被災した人々に何が起こって
きたのかを知るほうが良いのではないだろうか。

 私はそういった人を知っている。彼女の名はマリア・ガウロンスカ。30歳
で賢く魅力的な女性のマリアは、2004年にニューヨークに移り住んだポーラ
ン ド人である。私は4年前に私の婚約者の紹介で彼女を知った。彼女はいつも
タートルネックの服を着ていた。どんな暑い日でもだ。

 マリアが生まれた町オルスチンはポーランド北部にあり、チェルノブイリか
ら400マイル(約644km)も離れている。その原子炉がメルトダウンし膨
大な量の放射能を空高く吹き上げた1986年4月に、彼女は5歳だった。そ
の事故で放射能はウクライナやベラルーシをこえて、そう、ポーランド 北部に
まで広がったのである。

 「最初は」と彼女は言った。「爆発だけど危険じゃないと言われたんで
す」。しかし数日のうちに、ソビエト連邦はそれが事故であることをしぶしぶ認
めた。マリ アは、みんながヨウ素の錠剤を渡され、屋内に留まるように命令さ
れたことを思い出す。彼女は続く2週の間自宅内に留まった。

 同時にまた彼女は、その事故の健康への影響をポーランド人たちが知るのに
何年もかかるだろうと言っていた人々の声を覚えている。何にもまして放射線は
甲状腺の重大な障害を引き起こす。それが、人々がヨウ素剤を飲む理由なの
だ。甲状腺が吸収する放射性のヨウ素の量をできる限り減らすためである。

 案の定、この四半世紀を通して、オルスチンでは甲状腺障害が爆発的に増え
てきている。あらゆる病院の病棟がいま甲状腺疾患に充てられているとマリアは
私に語った。これは決して大げさではない。オルスチンの甲状腺外科医アル
ツール・ザレウスキ博士は、1990年代初期以来、莫大に増加する甲状腺の
手術に携わってきたと断言した。一部の人々は甲状腺ガンを患うが、多くは甲
状腺の肥大、あるいは正常な機能を失った甲状腺に悩んでいる。

 しかしザレウスキ博士は同時に、甲状腺の疾患とチェルノブイリとを結びつ
ける科学的な証明は無いのだと私に注意した。一部にはソビエト連邦の頑迷な態
度のため、また一部には、ランセット【注】が「かなりの論理的な難問」と述
べるかも知れないもののために、チェルノブイリの大災害とポーランド におけ
る甲状腺の問題とを結びつけるのに役立ったかもしれない疫学的な研究が全く
始められなかったのだ。
【訳注:「ランセット」は週刊で発行される査読制の医学雑誌。こちらを参照
のこと】

 いままでになされてきた研究は癌に焦点を当てたものだ。ランセットによれ
ば、ベラルーシとウクライナでの小児白血病と乳がんの増加はチェルノブイリに
起因しうるが、「欠陥のある研究の方法」のためにこれらの研究は決定的なも
のではない。

 しかし、私がマリアの母親のバーバラ・ガウロンスカ-コザクにeメールを送
ると、彼女は頑として譲らなかった。「私はチェルノブ イリが甲状腺障害を増
やしたのだと確信します。」バーバラは自身が(疫学者ではないものの)科学
者であり、これが「平均的なポーランド国民」の信じていることだと私に語っ
た。彼女自身、あの事故の10年後に甲状腺手術をしなければならなかった。
彼女の母親は2回の甲状腺手術を受けた。彼女の親友は甲状腺手術を1度受け
た。高校時代の古い友人は甲状腺腫瘍の摘出手術を受けた。父親が甲状腺の障
害を持たなかった唯一の家族だと、マリアは私に語った。

 5年ほど前にマリアの番が来た。徐々にだが、彼女の甲状腺は気管を圧迫す
るまでに膨れ上がり、姿勢によっては呼吸が困難になっていった。もちろんだ
が、 その 醜い成長こそ彼女がタートルネックの服を着る理由だった。ニュー
ヨークのある専門家は彼女に、こんなものはいままで見たことがない、その矯
正の手術はきわめて危険でありおそらく声帯を痛めるだろうと彼女に言った。
だからマリアはポーランドに戻り彼女の故郷の町で手術を受ける決心をしたの
だ。今年に入ってすぐ、彼女は手術を受けた。

 チェルノブイリで起こったことと全く同じように、福島第一原子力発電所の
事故が近隣に住んでいた人々の健康にどんな影響を及ぼすのかを我々が知るまで
に、 何年もかかるだろう。漏れた量がずっと少ないにもかかわらず、放射能は
海に流れ込んだのだ。そしてその跡は食料の中で発見されている。どのように
核力(原子力)を取り扱うべきか考えこまされる。それはクリーン・エネル
ギーの見通しが立たない苛立たしさを与えるものだ。いままでに存在している
災厄の危険性と相まって事態は悪化していくに違いないという…。これらは単
純な疑問ではない。我々が福島第一のような、またはチェルノブイリのような事
故が起こるときには必ず思い起こすはずのものだからである。

 少なくともマリアにとってこの話はハッピーエンドになっている。彼女を手
術したザレウスキ博士はその甲状腺の大きさを見たときにひるまなかった。手術
は成功した。彼女の声帯は良好なままである。彼女はいままでにも増してエネ
ルギッシュになっている。
 マリアは私に、オルスチンにいた間に旧友たちを探し出したと語った。故郷
に戻った理由を彼女らが聞いたときに「みんな笑って自分たちの傷跡を指さしま
した」と彼女は言った。

 彼女がニューヨークに戻ってからほどなく、私が彼女に会ったとき、彼女自
身の小さな傷跡に気づかざるを得なかった。タートルネックを着ていなかったの
である。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  * 

【原文】
http://www.nytimes.com/2011/07/12/opinion/12nocera.html?_r=2&emc=tnt&tntemail0=y

Chernobyl’s Lingering Scars
JOE NOCERA
Published: July 11, 2011

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1 コメント

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シェアさせて頂きました (田邉潔)
2017-01-12 01:02:52
科学者、医療機関者にも見捨てられ
自分が住む国も信じられず
子供達をどのように守ればいいのだろう
報道の自由72位は
何を物語るのだろうか
この国、この青い地球
子供達をどのように守ればいいのだろう
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