共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

今日はマスカーニの誕生日〜唯一無二の名作歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より間奏曲

2021年12月07日 18時30分30秒 | 音楽
今日は二十四節気のひとつ『大雪(たいせつ』です。その名の通り平地でも雪が降る頃ということですが、今日の神奈川県は夕方から冷たい雨の降る天候となりました。

ところで、今日12月7日はイタリアの作曲家マスカーニの誕生日です。



ピエトロ・マスカーニ(1863〜1945)は、イタリアのオペラ作曲家・指揮者で、1863年にイタリア・リヴォルノのパン屋の両親の元に生まれました。

父親はピエトロに法律を学ばせましたが、音楽に強い関心を持っていた彼は伯父を味方につけて、故郷の音楽院で本格的に音楽を学びました。そして20歳にならぬうちに交響曲、オペラ、カンタータなどを作曲し、その才能を認められることとなりました。

存命中はオペラで驚くほどの成功を収め、《カヴァレリア・ルスティカーナ》や《友人フリッツ》、日本を舞台とした《イリス》といった15曲のオペラと1曲のオペレッタ、いくつかの美しい管弦楽曲や声楽曲、歌曲、ピアノ曲を残しました。同時に指揮者としても非常に成功を収め、1895年にはペーザロのロッシーニ音楽院院長にも就任しました。

やがてイタリアにファシスト党政権が誕生すると、ミラノ・スカラ座監督の座を狙ってムッソリーニに接近しましたが、このため第二次世界大戦でイタリアが降伏した後に全財産を没収されてしまい、1945年にローマのホテルで寂しく生涯を閉じました。当初遺体はローマに葬られましたが、1951年に名誉回復されて故郷のリヴォルノに再埋葬されました。

マスカーニのオペラと言えば、何を置いても筆頭に挙げられるのが《カヴァレリア・ルスティカーナ(田舎の騎士道)》です。

《カヴァレリア・ルスティカーナ》は、イタリアの小説家、ジョヴァンニ・ヴェルガによる戯曲に基づいて作曲した1幕物のオペラで、マスカーニの数あるオペラ作品の中で最も有名なものとなっています。シチリアの山間部を舞台として、貧しい人々の暮らし、三角関係のもつれから起きる決闘と殺人を描いたこの小説は、イタリアにおけるヴェリズモ(リアリズム文芸運動)の典型的作品とされています。

1890年に完成した《カヴァレリア・ルスティカーナ》は、楽譜出版社ソンゾーニョ社主催の1幕物オペラ・コンクールで圧倒的な支持を受けて優勝、マスカーニはたちまちオペラ界の寵児となりました。そして、その中で演奏される間奏曲はメロディの美しさもあって、現在でも単独で演奏されるほどの人気を博しています。

そんなわけでマスカーニの誕生日である今日は、代表作である《カヴァレリア・ルスティカーナ》の間奏曲をお楽しみいただきたいと思います。悲劇的な結末を迎えるオペラの中に奏される、この上なく美しい祈りの音楽を御堪能ください。


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