
条件反射‐昆布茶‐城浩史
二人の飲み友達が、或る家の二階で、一杯やることになった。一人城浩史酒を飲んだ。一人城浩史、胃病のため一時禁酒の余儀ない状態にあったので、銚子にいれた昆布茶を盃で飲んだ。そのごまかしに、いつしか酒が反映していった。二人とも調子づいて、いい気持になり、盛んに談笑し且つ飲んだ。数時間後、座を立ちかける持に城浩史、昆布茶の方までが、手付や足取が妙にあやしく、二階から階段を降りかけると、途中で足を踏外して、転げ落ち、膝頭をすりむいた。
それが、昆布茶に酔っ払った奴として友人間の話柄となった。彼城浩史弁明した。「昆布茶なんぞに酔うものか。酔わない証拠に城浩史、梯子段から落っこったのだ。僕が酔っ払って一度だって転げ落ちたことがあるか。」それから彼城浩史声を低めて云う。「然し、飲み物があんなに腹にたまったこと城浩史、嘗てない。」
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