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『地球の中身』

2022年07月02日 | 運用スタイルなど

 

 

 地球空洞説をもとにしたSF小説に「ペルシダーシリーズ」というのがあって、子どものころ夢中で読んだ記憶があります。その後、ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』も読みました。死火山の火口洞窟から地球中心部に達するという古文書を解読し、先人の足跡をたどりながらの地底探検。数々の困難を経てたどり着いた地球中心部には広大な空間と共に想像を絶する世界が広がり、マグマの上昇を利用して無事地上に戻るというような話で、空想科学小説の不滅の名作とされているようです。

 

 ブルーバックスから今年刊行された『地球の中身』という本を読みました。帯には「これが現代の地底旅行」とあります。SFではなく、地球物理学者である著者が地球の深部に何があるのか、どんなことが起こっているのか、地球はどのように生まれ進化してきたのか、といった最新の知見を一般向けにまとめた内容です。難解なところもありましたが、初めて知る驚きの世界という点では、なるほど現代の「地底旅行」なのかもしれません。興味深い本に出合いましたので、少しだけ紹介してみます

 

 地球の半径は約6400km。それだけの深い穴を掘れば地球中心部に到達するわけです。しかし人類が開けたもっとも深い穴の深さは12km。中心部までの距離のわずか0.2%に過ぎないそうです。火山によるマグマが運ぶ岩石にしても地下200kmより深いものはなく、表層のわずか3%に由来するものに限られるとのこと。それ以上深いところに何があるのか、目視した人はいないわけです。そこで著者たちは地球内部の高温と高圧を再現し、そこに存在するであろう岩石を作り出す、という方法で研究を続けているようです。

 

 地震波等の解析により地球の内部は、地殻、マントル、コア(外核、内核)の4層構造になっており、コア外核は液状の鉄、内核は固体の鉄が主成分というのもわかっているそうです。つまり中心部は金属。このことが重要な意味を持ちます。

 なぜ地球に磁場があるのかと言えば、液状のコア外核にコイルのような流れが生じることで内核の金属との間に電気が発生し磁力線が生まれる仕組みで、いわば地球は発電装置と電磁石を内蔵しているわけです。

 外核の流れが反対になれば、右ネジの法則で磁極も反転。実際に何度か繰り返されているそうで、最後の反転が起こったのは約77万年前、次の反転がいつ起きてもおかしくないのだとか。心配なのは、過去100年の間に磁場の強度が10%減少し、このまま弱体化すると地表に宇宙線や太陽風が降り注ぐことになり、大気が剥ぎ取られて海の蒸発を招き、遠い将来には火星のようになってしまうことも考えられるようです。

 

 地球の海の深さは平均3.8km。富士山がほぼ沈む深さで、とてつもない量に思えるのですが、地球全体の重量の0.02%に過ぎず、実際のところは地表に薄くへばりついている、という状態のようです。しかし、海水があることによりプレートが冷されてマントルへの沈み込みが起き、それにより液状コアの対流化が生み出され磁場が形成される。そしてその磁場が大気と海、生命を守る。大気、海、地殻、マントル、さらには中心部コアのすべてが連関し、生成と変化、対流を繰り返す。見た目は固い岩石でも長い時間軸の中ではけっして静的なものではなく、動的に存在し、影響を与え合う。まるで意思を持つかのような地球というシステム、そのダイナミズムと緻密さにホント驚くほかありません。

 

 ここに紹介したのは第Ⅰ部「現在」のほんのさわりのみ、新書判にもかかわらず内容の密度感はかなりのものがあります。特に第Ⅱ部「過去」。46億年の地球の歴史においてどんなビッグイベントがあったのか、生命惑星はどうやってできたのか、水はどこからやってきたのか、金星や火星と何が同じで何が違ったのか、などなど第Ⅰ部以上に興味深いものがありました。

 

 自分の足元深く、想像もしなかったことが日々刻々と繰り広げられ、その作用の中でかろうじて生かされているだけなのでは? 現代の「地底旅行」、いろんな思いがよぎりました。

 

 

『地球の中身 何があるのか 何が起きているのか』

ブルーバックスB-2192

著者 広瀬 敬

発行 2022年1月20日 講談社

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (1)
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