JO7TCX アマチュア無線局

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ノンラジアルアンテナ実験ボード

2019年11月11日 | ノンラジアルアンテナ


 RH770やデジ簡用SRH350DHはどちらも1/2λのノンラジアルアンテナで、山岳ではよく飛んでくれます。最近使い始めたRH-660Sも1/2λノンラジアルタイプです。これなどは重さわずか65gで、たぶん細い銅線のマッチングコイルを使っていると推察しますが、それでも意外な性能を発揮してくれます。整合のとれたアンテナは気持ちよく電波が飛んでくれる、という当たり前の話しではありますが、あらためてノンラジアル(ツエップ)というものに興味がわいて、簡単な実験ボードを作ってみました(145MHz用)。

 ノンラジアルアンテナというは、エレメントとケーブルの間に整合をはかるためのLC回路を入れるだけです。耐圧を考えておく必要はあるものの、難しくはありません。ボード上にエレメント、コイル(L)、コンデンサー(C)および回路を変更できるように配列しました。

〈ボードの材料〉
・長さ160cmのロッドアンテナ(エレメント)
・塩ビパイプ(ロッドアンテナ固定用)
・プッシュ式ターミナル端子2個
・タイトバリコン 10pF
・BNCコネクター
・7cm×8cmの木板
・三脚取付け金具(裏面)

 入手しにくいのはタイトバリコン。だいぶ前に秋葉原で購入した10pFが手元にあり、それを使いました。容量はコンデンサーを直列や並列に追加して調整します。ターミナル端子の一方にコイル、もう一方にコンデンサーを差し込みます。


実験ボード



回路図


 この実験ボードで何をするのかというと、
1)コイルの直径、巻き数、巻き方、線材の太さ、材質などを換えてみる
2)コイルの何巻き目に接続するか、Cの直列、並列など回路の変更
3)コンデンサー容量の可変
4)ロッドエレメント伸縮(1/2λ〜6/8λ)

 などで、要はこれらを通してマッチングを探ってみる、ということです。アナログな実験自体に楽しさを見出しているので、こういうのも有りかな、と。

 ボードが完成したところで、さっそくコイルを巻いて試してみました。

〈実験〉
 ・エレメント 1.04メートル(145MHz 1/2λ)
 ・コイル 2mm銅線を直径1cm、6回巻き
 ・コンデンサー バリコン10pF(+8pF)






 基本の1/2λ。145MHzに共振させることを念頭に、コイルを巻いてみました。ターミナル端子にセットし、アナライザーで測定したところ、共振点が低く、バリコンを回しても145MHz帯にはマッチングしてくれません。

 





 コンデンサーを直列に追加するとCは減少し、共振周波数が高くなります。コイルの巻き数を減らすとかスペース巻きでもL(インダクタンス)が小さくなり共振点が上がります。ということで、8pFを直列に追加。さらにコイル間隔を広げ、中間くらいに接続。その上でほんの少しずつ慎重にバリコンを回し、なんとか145MHzメイン付近でマッチングがとれました。コイル接点もバリコンも1ミリ動いても大きく変わります。思いのほかクリティカル。エレメントの長さは1/2λで固定し、コイル接点とコンデンサーを可変しながら共振点を絞り込むのが良いようです。ノンラジアルアンテナというのは、微妙な調整の上に成り立っているのだな、と妙に感心してしまいました。




〈課題〉
 ミノムシクリップ配線のため線材が長く、目に見えないコンデンサー成分(浮遊容量)があちこちに存在する可能性があります。短い配線の工夫が必要。





 実際の送受信性能はどうなのか? といったことはこれからです。とりあえず、ノンラジアルアンテナとして機能しているようなので、今後、いろいろ試してみることにします。何か得られるものがあれば、山岳用に1本作ってみてもいいかな、と考えています。
 




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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いつも感心させていただいております (サイタマKM117)
2019-11-11 22:21:42
はじめまして。
地震予知器の頃から拝読させていただいております。アンテナ製作の記事は数あれど、このようなアンテナ実験ボードは初めて拝見しました。ターミナル端子を用いたコイルの固定など、頭が柔らかくないと思いつかない発想で唸ってしまいました。
意外なまでのクリティカルな結果とクリップ配線によるコンデンサ成分の影響と、考えることは多そうですが、これからの進展を楽しみにしております。また改めて市販のアンテナというのは、あのサイズで再現性も含めてよく考えられているんだなと思ったしだいです。
サイタマKM117さま (JO7TCX )
2019-11-12 05:31:01
はじめまして。コメントありがとうございます。
LC回路ならゲルマラジオと同じではと考え、作ってみました。カットアンドトライすべき部分を交換式のボードにしてしまおうか、と。VHFかつ送信もするとなると、それなりの難しさはありますね。追々試してみます。今後ともよろしくお願い致します。
面白い発想だと感心しています (iau9229)
2019-11-13 10:24:13
私もいろんなアンテナを試作しては遊んでいますがこんな実験装置は初めてでした。
私もぜひ作ってみたくなってしまいました。
ぜひCQ誌か何かにも紹介していただけるとこれからのノンラジアルアンテナの開発にもいろんな進展が出てきそうですね。
iau9229さま (JO7TCX)
2019-11-13 21:38:12
はじめまして。
見ての通りの簡単なものなので、作って試していただきたいと思います。エレメントをワイヤーにすれば他バンドの実験もできなくもないですね。ゲルマラジオ作りでも随分試したLC回路ですが、試したいことが次々出てきます。奥が深いです。
Unknown (おかざきKG295)
2019-11-14 07:42:11
アンテナ、いろいろとご研究されているようですね。

ところで10/10、せんだいSD550さんのホームグラウンド、泉ヶ岳に登ってきました。幻の沼(岡沼)は干上がっていて、少し残念でしたが、秋らしい1日を楽しめました。

一応、DCRと145MhzFMでCQを出したのですが、つながらなくて残念!!!(もっとも、人が多くて、積極的運用には至りませんでしたが・・・)

年内、もう一度、出かけたいですね。
おかざきKG295さま (せんだいSD550)
2019-11-14 18:18:31
ご無沙汰しております。
泉ヶ岳に登られたんですね。その日は諸用で仙台におりませんでした。交信できず残念です。
自分はもう里山モードに入りました。近郊の低山からとなりますが、どこかで聞こえてましたら、宜しくお願いします。

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