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せんだいSD550  山岳移動運用 

実験用アローライン

2018年07月29日 | アローライン



 サガ電子がアローラインを開発したのは1970年代初頭なので、かれこれ40数年もの歴史を刻んできたことになります。その間、大きな改良があったという話もないので、ほぼ原型を留め、今に至っているのだと思います。周波数帯は異なりますが、放送局や行政機関でも使われ実績を重ねてきたのだとか。なので、なおさら前回も書いたAL-144Fのエレメントの件、ラジエーターの長さがなぜ46cmなのか、気になっています。このアンテナは、グランドプレーン(GP)の一種と言われたりします。自分としてはGPというより変形垂直ダイポールと考えた方が妥当な印象を受けます。1/2λなので、エレメント上下50cm前後が定説と考えていたのですが・・・。いづれにしても独特の形状は他になく、アローラインはあくまでアローラインなのだろうと思います。

 AL-144Fのパッケージの裏に、ネットワークアナライザーによるスミスチャートと簡単な説明が付いています。それによると、インピーダンスは145MHzにおいて54Ωで、ラジアル角度を60度(ラジエーターに対し120度)にすれば50Ωになるものの打上げ角が高くなり、遠距離通信に不利になるので、あえてこのミスマッチングは許容している、と。マッチングを多少犠牲にしつつ、性能上の実質を優先するという考えのようです。何か奥深いものを感じます。でも、ミスマッチを許容したことによる共振点のズレは? など疑問ではあります。


 そこで、自分なりに試行錯誤してみようかと、10年近く前に見よう見真似で何本か作ったのを思い出し、実験用アローラインとしてリペアしてみることにしました。M型コネクター台座にラジアルはボルト締め、ラジエーターは半田付けしただけのもの。すべてロッドアンテナなので、ラジエーターおよびラジアルの長さ、角度調整が自在に可能です。実戦用にはなりません。耐久性なし。








 とりあえず、純正品と同じ寸法、ラジエーター46cm、ラジアル49.5cm、角度160度とし、アナライザーで計ってみたところ、150MHzあたりに共振点があり、バンド外となってしまいました。やはりラジエーター46cmは短かすぎるようです。エレメント材質、本数、太さ、台座部分の違いが影響しているのかもしれません。調整したところ、ラジエーター52cm、ラジアル47cmで145.000に共振してくれました。ロッドの長さで430MHzも可。角度を含め、いろいろな組み合わせで試してみるつもりです。








 もう一つ、マッチングと共に、エレメントの長さやラジアル角度の変化で聞こえ方にどう違いがあるのか、了解度の変化、といったところに興味があります。ゲルマラジオなどもそうですが、たった数点の部品、その一つ一つの部品の良し悪しやわずかな回路の違いで音量は大きく変化します。ある時点でいくつかの因子が重要な働きをし、結果に大きな影響を及ぼす。アナログなアプローチを重ね、偶然にもそれに出会った時の充実感は何とも言えないものがあります。そんなわけで、この簡素なアンテナの深みにはまっています。





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