JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

コア付き空芯コイル ゲルマラジオ

2017年01月16日 | ゲルマラジオ



 中途半端に残った直径1.7mmの太いポリウレタン線。巻き方によりますが、空芯で20m巻くとおおよそ200μHのインダクタンスが得られます。残っているのは12m。空芯コイルでQを上げ、中心部にコアを入れることでインダクタンスを確保する、そんなものができないか考えてみました。バーアンテナのようにコアに線を密着させて巻かなくとも、コアの恩恵を受けられることはこれまで何度か実験しています。では、コイルとコアをどの程度まで離して大丈夫なのか。コアの影響はどこまで及ぶのか。手持ちのコイルと実験ボードで簡易的に試したところ、直径15cmのコイルに小さなフェライトバーを差し込むだけでも、思いのほかインダクタンスが変わります。コアの位置をコイル中心とするのがポイント。今回は、これを形にしたものを作ってみることにしました。



 前回が大型であったことから、少しコンパクトなものを、ということで蜂蜜瓶を使ってコイル巻き。線材が太い上、ガラスで滑るので巻きにくいです。密巻きのつもりが、所々隙間ができてしまいました。36回巻き、直径10cm、幅7cm。いったん外側をホットボンドで固定し、慎重に取り外した上で、今度は内側を固定する。これでコイル完成。
 
 続いてコア。直径3.8cm、長さ10.5cmの塩ビパイプに10cmのフェライトバーを7本仕込み、両端をホットボンドで固定。








 我が家の環境の場合、NHK仙台第一放送891KHz、第二放送1089KHz、東北放送1260KHz以外に受信の可能性はないので、170μH前後のコイルと一般的なポリバリコンの組み合わせがベストです。インダクタンスを測ってみるとコイル単独で106μH、コア付きで161μH。ほぼ想定どおりとなりました。






 コイル部が完成すれば、7割方できたも同然。見た目にもこだわり、銅パイプ埋め込みによる裏面配線としました。部品の配置を決めたら木板に穴をあけ、3mm銅パイプを埋め込む。これにより表面の部品と裏面の配線がスムーズに連結されます。コアはコイル中心にくるよう木台で持ち上げることにしました。抜き差しを繰り返すため、接着のみでは強度に難があったイヤフォンジャック。今回は、ポリバリコン金具に穴をあけ固定してみました。何度も作っているゲルマラジオですが、毎回、何らか工夫のしどころはあります。丸1日かかり、ほぼスケッチどおりに完成。












 さっそくステレオイヤフォンをつないで聞いてみると、室内にてNHK仙台第一は59、第二は52ほどで問題なく受信できました。東北放送は、窓際にて「何か話しているな」程度で、了解不可。以前作った直径15cmの空芯コイルと同等か。NHK仙台第一については意外にも窓から数メートル離れた室内でもけっこう聞き取れます。強く入る方向(コイルの向き)は微妙に変わり、指向性が強いとの印象。インダクタンスはもとより、透磁率増加によるコアの恩恵を感じることができたのは収穫でした。



 作っている過程で、いろいろと脳裏をよぎりました。コア可動式によるミュー同調とか、長いコアに2つのコイルを作り磁界誘導を図るとか・・・・。外部アンテナもなくコイルのみで電波を捉え、電気を起こし、わずか数点のパーツで音声を作り出す。ささやかな装置で、かすかに聞こえてくる放送を楽しむ。そんな無電源ラジオだからこそ、試してみたり、工夫のしどころは無尽蔵では、と思ったりもします。思いついたら形にしてみる。作る度に発見があります。


(追記)
 昨日、一昨日と夜間に聞いてみました。日中に比べ深夜から明け方にかけて強く入ります。東北放送もその時間帯なら聞き取れる程度で受信できました。多少、フェージングを伴い、信号の揺らぎが感じられます(送信所からたった8km程なのに)。また、このコイルは分離に優れるようです。コイルによってはバリコンのどこを回してもNHK仙台第一がかぶってしまうことがありますが、これは受信のピークが先鋭でスパッと切れてくれます。ある意味、極太コアを使った変形バーアンテナでもあり、指向性の強さ、分離の良さはその特性なのかもしれません。



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