JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

ホームラジオRF-U700A

2012年09月25日 | ラジオ工作


 震災以来、我が家ではテレビ離れが進み、ラジオ中心の生活に変わってしまいました。テレビの方は、受像機だけはどんどん進化しますが、放送内容は退化する一方で、とても見る気になりません。いくらきれいに映るといっても、送られてくる放送があれでは・・・。その点、ラジオは落ち着いた番組が多いです。テレビは視聴者、ラジオはリスナー。先日もAMラジオの民放でクラシック音楽が流れていました。テレビの民放でクラシックなんて、聞いたことないです。


ソニーICF-SW22

 ゲルマラジオやラジオキットを何台か作っている中で、意外にもAM放送の音質も悪くないということもわかりました。今、メインで使っているラジオは、20年以上前に登山用に購入したソニーのICF-SW22という機種で、短波も聞けるポータブルラジオ。ほぼ同型の後継機が今も現役で生産されています。単3電池2本で動作し、恐ろしく省エネです。何しろ、昨年3.11の震災以来、毎朝2時間程聞いて、電池交換は2回のみ。ただ、チューニングの動きがだいぶ怪しくなってきました。もともと音質うんぬんのラジオではないので、音も良いとは言えません。

 そんなわけで、自宅で使う音の良いラジオを1台購入してみることにしました。最新の高感度で高音質なメーカー製ラジオとはどういうものか?自作ラジオと比較して、一つの目標になるようなものはないか?おおまかにホームラジオ系とワールドワイド系に分けられますが、今回は、毎日普段使いで聞くラジオ、ということで、ホームラジオ系としました。短波は不要。それで購入したのがパナソニックのRF-U700Aという機種です。なんと往年のBCL機「クーガ」由来のジャイロアンテナ搭載。発売は2005年だそうで、もう7年も経過していますが、現在の機種は2010年改良型となっています。はたしてその実力は? 

《仕様》
・受信周波数:FM76~90MHzステレオ、AM522~1629kHzモノラル
・アンプ出力:900mW+900mW
・電源:AC100V 50/60Hz

 DC(乾電池):9V 単2×6
・消費電力(待機時消費電力)8.0W〈約0.6W〉
・電池持続時間(約)…
 FM受信時:48時間
AM受信時:55時間
・質量(電池含む):1995g
・最大外形寸法:(幅)276.5×(高さ)175.0×(奥行き)149.5mm
・付属品:電源コード


懐かしいジャイロアンテナ


 かなり大型で場所をとります。これぞホームラジオ、安定感抜群。スピーカー2個、ラジオ本体だけでステレオ放送が聞けます(FMのみ)。電源は単2電池6本仕様。いまどき、単2というのは珍しい。スペーサーを付けて単3エネループを使うことにしました。ホームラジオなのでコンセントにつなぐだけでも使えますが、震災の経験から電池駆動にこだわっています。


単3電池をスペーサーで単2に。奥にも2本格納。合計6本。


《操作感など》
 ジャイロアンテナの長さは20cmあり、中に18cmのバーアンテナが仕込まれているそうです。裏に格納できるようになっており、使うときは持ち上げて左右90度づつ回転させます。クリック音がして、使い心地は悪くありません。FM用のロッドアンテナも長く、95cmもあります。我が家では、折り畳んだままで、ローカル2局とも59です。
 チューニング、音量調整も絶妙なクリック感があり、たいへん心地よい操作感です。各ボタンも大きく、いずれも日本語のわかりやすい表示。気に入りました。





《AM受信感度》
 夜10時頃、室内の窓近くで実験。子どもの頃以来の、BCL気分。チューニングはシンセ方式で周波数が9KHzステップで液晶表示されます。驚いたことに、そのほとんどで何らかの放送が聞こえてきました。日本列島が南北に長いためか、ジャイロアンテナはほぼ同じ角度でOKでした。ローカル局を除き、了解度5で受信できたのは次の放送局です。
(国内の放送局)
558 KHz ラジオ関西(神戸)
567 KHz 札幌NHK第一
594 KHz 東京NHK第一
666 KHz 大阪NHK第一
675 KHz 函館NHK第一
693 KHz 東京NHK第二
747 KHz 札幌NHK第二
765 KHz 大月山梨YBCラジオ
774 KHz 秋田NHK第二
828 KHz 大阪NHK第二
873 KHz 熊本NHK第二
954 KHz 東京TBSラジオ
1008 KHz 大阪ABCラジオ
1017 KHz 福岡NHYK第二
1053 KHz 名古屋CBCラジオ
1071 KHz 広島NHK第一
1134 KHz 文化放送
1143 KHz KBS京都
1179 KHz 大阪MBSラジオ
1188 KHz 北海道北見NHK第一
1224 KHz 金沢NHK第一
1242 KHz ニッポン放送
1278 KHz 福岡RKBラジオ
1287 KHz 札幌HBCラジオ
1296 KHz 松江NHK第一
1314 KHz ラジオ大阪
1332 KHz 東海ラジオ
1350 KHz 広島中国放送
1404 KHz 釧路HBCラジオ
1422 KHz 横浜ラジオ日本
1440 KHz 札幌STBラジオ

(海外の放送局)
549 KHz ロシアMayak
639 KHz 中国中央人民公播
657 KHz 韓国KBS
711 KHz 韓国KBS第一
720 KHz ロシアの声
972 KHz 韓国KBS社会教育第一
1044 KHz 中国国際放送
1206 KHz 中国延辺



 周波数が表示されるので、どの局なのかすぐに見当がつき、逆に放送局一覧を見ながら、狙いの局を探すのも簡単です。アナログではこうはいきません。また、自作ラジオで聞こえてくる局がどこの放送局なのかもわかるようになりました。それにしても、九州から北海道までよく聞こえます。バーアンテナだけでこれだけ聞こえれば満足。ICF-SW22との比較では、受信感度、S/NともRF-U700Aが上回り、ICF-SW22で聞こえない局が聞こえます。

《AMの選択度》
 ローカル放送局の信号が強すぎて、その近くの周波数の放送が受信できなくなります。
 NHK仙台第一891KHz   882~909 KHzが受信不可
 NHK仙台第二1089 KHz  1080~1098 KHzが受信不可
 東北放送1260 KHz   1251~1269 KHzが受信不可

 それぞれ+-10KHzまでカブリあり。実用上問題ありませんが、選択度の性能としてはどうなんでしょう?

《音質》
 標準、音楽、ニュース、高音強調の4種類の音質調整があります。標準で聞いている限りでは音声が聞き取りやすく、長く聞いても疲れない音質です。音量を上げても音割れなく、余裕を感じます。逆に音量を下げても、よく耳に届くような感じがします。音についてこだわりだすとキリがありませんが、おおかた期待通りの音です。普段AMを聞いている分には標準設定でOK。

 さて、このラジオは、イヤフォン端子がステレオタイプになっており、AMも両耳で聞くことができます。以前も書きましたが、モノラルといえども、片耳で聞くのと両耳で聞くのとでは別世界なのです。これはイヤフォン自体の作りも関係しています。片耳イヤフォンと違って、ステレオイヤフォンは日進月歩の進化を続けているようです。その音は、これがAM放送かと驚くばかり。もちろんFMのステレオ放送は感動ものです。種類がありすぎて選ぶのも難儀ですが、奥が深いです。


お気に入りのイヤフォン SENNHEISER MX470

《気になる点》
・つまみを含め全体がプラスティック製で、見た目ほど高級感はありません。
・Sメーターが付いていない。せっかくのジャイロアンテナ、信号の強弱を目でも楽しめると良かったかと。
 この点は残念です。
・スピーカーを2個鳴らすので、省エネではありません。9V仕様で電池を6本も使います。
 単3エネループ(単2スペーサー)でどの程度持つのか?実験中。




 考えてみると、こういう大型のラジオを入手したのは、子どもの頃ソニーのスカイセンサーを親にねだって買ってもらって以来。その値段は忘れましたが、当時で1万数千円はしたと思います。今回のRF-U700Aは実売9000円前後。これだけの高性能で、こんな値段で良いのか?と正直、思ってしまいました。

 毎夜おそくまで全国の放送を聞いてはベリカード集めに熱中した子どもの頃の記憶が少し蘇ってきました。でも今は、遠くの局を聞きたいとか、いろんな局を探して聞きたいとかいうよりも、暇があればいつもラジオの電源を入れて聞き流す、あるいは、家族が寝静まった夜、イヤフォンからの音楽に独り耳を傾ける、そんなリスニングの方が馴染んできたようです。







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