JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

デイパック収納八木アンテナ

2009年05月25日 | 移動用市販アンテナ
 移動用アンテナを多く手がけているラディックスの「デイパック収納八木アンテナ」というものを購入してみました。3種類ある中の、144M用のRY-144M3/2という型番です。メーカー品だけあって随所に工夫があり、自作アンテナの参考にもなりました。

(定格)
型式3エレメント八木
周波数144MHz ~ 146MHz 
利得9.0 dBi
FB比16 dB以上
最大入力100W (FM)
コネクターM-J

 通常、3エレ八木ですと、ブームもエレメントも1メートル前後となり、登山で持っていくには躊躇していました。このアンテナは、ブームとエレメントをそれぞれ2分割できるように工夫がこらされ、その結果、仕舞い込み寸法は約55センチと、商品名の通り小型ザックにすっぽり入ります。ブーム2本は蝶ボルトで連結、エレメントは上下ねじ込み式になっています。一つ一つがしっかりした作りで長く使えそうです。
 重さは約600グラムあります。当局の山移動としては、最重量級のアンテナで、カメラ三脚にうまく取付けられるかどうかが、一番の心配でした。ブームに穴が空けてあるので、三脚ネジを活用すれば取り付きそうにも思えます。メーカーに電話してみたところ、「そのように使っている方もいるようですが、三脚の大きさにもよるでしょう。430Mの5エレ以下なら専用のアダプターもあります」とのことでした。アダプターというのは、三脚ネジに金属の土台を取付けブームの穴にボルトを通して固定する金具だそうで、それならばと、自分で作ってみることにしました。


運用機材一式


《三脚取付け金具》
 まず、三脚に取付ける土台部分は、モービルホイップ取付けの時にも活用した「エツミSET SCREW止めネジ(メス・メス)」を使いました。このネジ穴に合うのは「W1/4ボルト」です。長さはブームを貫通できるように25ミリのものを使いました。蝶ボルトならベストですが、ホームセンターにはなかったので、六画ボルトに蝶ナットを接着しました。ついでにワッシャーも接着し、安定度を高めるようにしました(瞬間接着剤と透明ボンド併用)。




ボルトに蝶ナットとワッシャーを接着剤で接着


《組立てと設営》
 まず三脚のネジでSET SCREWを固定しておきます。次に、分割された2本のブームをつないで、最後尾のブーム穴にW1/4ボルトを通し、そのままSET SCREWにねじ込んで固定します。これで、ブームが固定されました。次に、3本の上部エレメントを蝶ナットでブームに取付けます。組み立てはすべて蝶ボルト、蝶ナットの仕様なので、工具不要です。下部エレメントは、上部エレメント部品にねじ込んで完成です。エレメント寸法はすべて異なりますが、全部品にシールが貼ってあるので間違わないように工夫されています。
 当局が使っているのは、スリックの800Gー7という軽量タイプのカメラ三脚です。これでもなんとか支えることができました。ただ、どうしても前方が重くなるので、軽快に回すには不安が残りますので、山移動の際は石で固定するなどの対策を考慮しておく必要がありそうです。


《接続》
 給電部はMJコネクターとなっています。秋月電子で購入した両端BNCPの2メートルケーブル(青いケーブル)をいつも使っていますので、MP-BNCJ変換コネクタを取付け、ワンタッチで接続できるようにしました。また、ケーブルの引き回し方でSWRが変化しないように、結束バンドで作ったリングに通すようにしてみました。



《調整》
 ガンママッチが採用されており、プラスドライバーで簡単に調整できます。この部分の作りもよく出来ています。無調整でSWR1.2以下でしたので、そのままにしておきました。

《使用感》
 これまでの移動用アンテナに比べると、1)組み立て部品が多い、2)重い、3)その分、山頂での設営と撤収に時間がかかる、というデメリットの心配がありました。何度か室内で組立てと撤収を練習してから、実際に山で使ってみました。ザックへの収納は問題ありませんが、200グラム程度のアンテナに比べるとやはり重く感じます。山頂での設営に関しては、心配したほどではなく、5分ほどで終わりました。三脚も特別な固定をしなくとも持ちこたえてくれました。性能は、3エレ八木ですから、9.0dbiの評価どおりかと思われます。当日は、鷹討山(310m 山元町)からの運用で、猪苗代町(相手局も山岳移動ハンディ機)、福島市、本吉町、奥州市移動局、などと交信できました。太平洋沿いの1エリアとの交信を期待して南に向けて何度かCQを出してみましたが、応答ありませんでした。雑木林に囲まれた山頂なので、木の影響もあったかもしれません。
 気軽に持ち運べる八木アンテナで、設営も思いのほかスムーズにいきましたので、しばらく、このアンテナを持って、今度は見晴らしの良い山で使ってみたいと思います。


鷹討山にて




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