試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

サハ103-250,265[ラシ327F] 新2エンド側プラ板式車体高嵩上試行(KATO製床板装着車) ※グリーンマックス製

2018-04-05 21:47:43 | 国鉄/JR103系
長考。

所有するグリーンマックス製103系の一部にはKATO製103系用床板を採用している。
走行性能がKATO製103系並になる一方でTR-200床板装着車とは逆の2エンド側で生じる車体沈下が弱点だった。
但しTR-200床板装着車ほどの沈下代までには達しておらず当初は特に手を施さないでいた。


JR103系ラシ327F (2000/4)。
ラシ327F:Tc473-[M353]-[M'509]-[T250]-[M444]-[M'600]-[T265]-[M446]-[M'602]-Tc474。

先にKATO製サハ103形用床板を履くグリーンマックス製クハ103-107,クハ103-112(ツヌ318F)の2エンド側車体高嵩上を行った。
ツヌ318Fは2社混結編成でKATO製モハ103-340以下8両との全高差が目立っていた。
これにはクハ103形TR-200床板装着車への運転台側金属ワッシャー式車体高嵩上施工完了も絡んでいる。
クハ103-107,クハ103-112は金属ワッシャー式車体高嵩上が行えない。
そこで妻面側へスペーサーを追設するプラ板式車体高嵩上を新たに採用した。
その後の成績は安定しており施工対象を広げる。


サハ103-250(ラシ327F:KATO製サハ103形用床板装着車)。

クハ103形のKATO製床板装着車はクハ103-107,クハ103-112しか在籍していない。
車体高嵩上施工の第二陣にはサハ103-250,サハ103-265(ラシ327F)を抜擢した。
ラシ327Fは習志野区で最後に営業運転を行った103系を再現した編成である。
最末期はサハ103形初期形冷房改造車のサハ103-250,サハ103-265が組成されていた。
当時竣工させたサハ103形初期形冷房改造車はKATO製103系一般形塗装変更車で占められた。
技量都合で外観の見劣りは否めずラシ327Fには初となるグリーンマックス製サハ103形を充当している。
まだサハ103形がリリース前でありストア限定品を入手しサハ103-250,サハ103-265の竣工へ結び付けた。


入工中のサハ103-250。

同時にKATO製サハ103形用Assy床板の導入も図り走行性能の向上を狙った。
TR-200床板ではKATO製103系と連結器高に差が生じる。
ラシ327Fへの拘りがサハ103形用床板の起用に至らせた。
今入場もラシ327Fの編成見附向上が背景にある。
工程はクハ103-107,クハ103-112と同様の予定だった。
前途の通りクハ103-107,クハ103-112サハ103形用床板装着車で差異は無いと考えた。
しかし目論見は外れ大迂回を迫られる。


小変更されていた台枠形状(中野寄)。

クハ103-107,クハ103-112に用いたサハ103形用床板は手持ちの旧LOT品を転用していた。
一方ストアで入手したサハ103形用Assy床板は現行LOT品である。
リリース以来同一構造かと決め付けていたが台枠成形に変更点があると判明した。
旧LOT品は2エンド側の座席部品支持用モールドと台枠端部に僅かな張り出しがあった。
しかし現行LOT品ではほぼ面一化されている。
この張り出しこそがプラ板式車体高嵩上の重要箇所だった。
肝心な支点を失ってしまい途方に暮れている。


失敗に終わった差込式スペーサー(中野寄)。

ここからは試行錯誤の連続となる。
先ず車体に追設するスペーサーを分割し台枠の座席部品支持部を避ける方法を探った。
プラ板はt1.0mmに変更し直接台枠を支える差込式に改める。
発案は悪くなかった差込式スペーサーだが左右で分割しなければならず車体の平行保持に苦戦した。
スペーサー位置の調整を繰り返しても車体傾斜を抑えられない。
差込式を放棄し嵌合爪へ視点を移した。
側面窓セルと座席部品の嵌合精度は床板の上下動が確認できるほど余裕がある。
各々にt0.56mmのプラ棒を取付け嵌合猶予を廃そうとした。
車体と床板の嵌合時には手応えを感じられた。
ところが最重要項目である車体高嵩上には結び付かない。
嵌合猶予縮小化も放棄せざるを得なくなり手詰まり状態に陥った。


ウエイトに接着したt0.6mmのスペーサー(中野寄)。

このままでは埒が明かず車体と床板で考えを分ける事にした。
車体側は極力原形を保持させたい。
先に床板で対応できないか対策を練る。
車体沈下は2エンド側で発生しており片側だけ座席部品と台枠の空間を広げる作戦に出た。
台枠の補強梁に接する座席部品へt0.56mmのプラ棒を設置したが外観とは裏腹に全く効果が得られなかった。
次に座席部品センターピン部の枕木方向へプラ棒を通した。
これも空振りに終わり万策が尽きたと思えた。
ここでかつて採用していたプラ板式車体高嵩上施工を思い出した。
金属ワッシャー式車体高嵩上施工移行前の方式だがビス締結具合で全高が左右されるため廃止された。
これを参考に座席部品と台枠の空間を稼ぎ出す。
スペーサー設置位置はビス締結の影響を受け難いと思われるウエイト表面にした。
再びt0.6mmのプラ板に戻しゴム系接着剤で固定している。


プラ板式車体高嵩上を施したサハ103-250用床板。

床板の組立はスペーサー挿入前と変わらない。
ビス締結も最後まで行え弛緩の心配は無い。
ただし外観は原形床板と殆ど同じで余り結果は期待出来なかった。
各種試行の一環で車体と嵌合させたところ2エンド側の車体沈下を抑止出来た。
1エンド側への影響も見られず不具合は無さそうである。
走行性能も従前を維持しており試験採用となった。




サハ103-250(2エンド側プラ板式車体高嵩上試行)。

一応過去の施工例を基にしており2エンド側プラ板式車体高嵩上は実績を有するに等しい。
何よりビス締結に左右されない結果が大きかった。
まだ個体差の不安は拭えない。
サハ103-265での試作続行で採用可否を判断する。




サハ103-250+モハ103-444 (ラシ327F:グリーンマックス製+KATO製)。

2エンド側の全高が上がったサハ103-250は車体裾がKATO製モハ103-444と大凡揃った。
この状態に達するまで120分も時間を費やしている。
試行を重ねた結果が旧来の車体高嵩上に近い方式に辿り着くとは思いもしなかった。
しかし1両だけではKATO製床板装着車へ展開可能か掴みきれない。
既に日付を大きく跨いでいたがサハ103-265も入場させている。


入工中のサハ103-265(ラシ327F)。

サハ103-250での試行を丸ごとサハ103-265に施す。
考える時間が長過ぎただけで工程は単純だった。
床板を分解しウエイトへスペーサーを接着した。
スペーサー取付部は切り欠きの無い箇所に限っている。
ここはセンターピン部に隣接しておりビス締結の安定性確保に繋がったと思う。


僅かに台枠から浮く座席部品(中野寄)。

折り返しへ入る前に妻面窓セルを木工用ボンドで固定した。
拙さから生じる妻面窓セルの脱落はサハ103-265も変わらなかった。
車体高嵩上試行に集中したサハ103-250もサハ103-265の竣工後に同様の措置を採っている。
組み立てた床板を確認すると座席部品嵌合爪部と台枠に僅かな空間が生まれていた。
この嵩上代は座席部品の線路方向にt0.56mmのプラ棒を取り付けた時よりも小さい。
何故あの時結果が出なかったのか不思議である。


車体と平行に収まる床板。

車体と床板を組み合わせると1エンド側と2エンド側の嵌合代が等幅になっていた。
サハ103-265の工程では車体高嵩上施工直後もKATO製モハ103-446との比較を行っていない。
これは正式採用を見込んだものである。
床板の嵌合状態でサハ103-265への2エンド側プラ板式車体高嵩試行は手応えを掴めた。




サハ103-265(ラシ327F:2エンド側プラ板式車体高嵩上試行)。

グリーンマックス製103系KATO製床板装着車の車体不等沈下はTR-200床板装着車程ではなかった。
追設したプラ板スペーサーはt0.6mmで金属ワッシャー式車体高嵩上車のt0.4mmより厚い。
その割に竣工したサハ103-265は大きな変化が無く見える。
床板構造の違いに加え台車集電板と導電板が組み込まれているKATO製床板ならではの特性かもしれない。




サハ103-265+モハ103-446 (ラシ327F:グリーンマックス製+KATO製)。

最後にKATO製モハ103-446(ラシ327F)との車体高比較を行った。
サハ103-265はモハ103-446より若干車体裾が上がりサハ103-250とは異なる答が出た。
その差は極僅かで文字通り個体差と言えよう。
グリーンマックス製103系とKATO製103系の連結部は雨樋か車体裾が揃っていれば合格にしている。
特に気になる箇所は存在せずこの日の作業を終えた。

施工内容の割に時間を要した入場だった。
もう少し早く過去のプラ板式車体高嵩上を思い出していれば展開は違っていたかもしれない。
今後グリーンマックス製103系のKATO製床板装着車にはプラ板式車体高嵩上を採用する。
割いた時間は決して無駄ではなかったと思う。