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ツベルクリン反応は東京府下の「工場」で決定

2015年04月01日 07時00分00秒 | その他
1941年1月6日の「厚生科学」に「ツベルクリン反応(第2報)」というタイトルがついた論文が出された。著者は野辺地慶三(東大、大正8年卒)、柳澤謙(東大、昭和6年)などである。
この論文でわが国のツベルクリン反応の判定基準が決定した重要なものである。
この判定基準は今も使われている。 
各種希釈ツベルクリン液および対象液に対する反応の観察には、東京府下のAおよびB工場養成工中15才および16才の者で農村出身者の男性を選んだと書かれていた。
使用した各種ツベルクリン液および希釈対照液(結核菌を培養する濃縮ブイヨン希釈液)は、何れも伝染病研究所製の原液を0、5%の石炭酸加生理食塩水で希釈したと書かれていました。
2000倍希釈ツベルクリン反応検査(第1図):東京府下のAおよびB工場の同一条件の養成工に行ったもので、被検者中24時間後に観察したもの1032人、48時間後に観察したもの1153人です。
注射後24時間後に観察した発赤の度数分布は、第1図の(Ⅰ)の曲線のごとくである。
すなわち発赤0㎜すなわち無反応者は、被検者の12.5%を占める。有反応者度数分布は3~4㎜にところで第1の峰を示し、全被検者の32、5%を占め、
5㎜~6㎜と次第に減少し、7~8㎜においては2、2、5%~2、7%を占める谷をつくり、その後漸次増加し11~20㎜に第2の山である双峰(ふたこぶ)曲線をつくる。
第2の山の高さは3.4%の間を上下しています。
第1図(Ⅱ)の曲線は48時間後の観察における発赤の大きさ(この時の論文からツベルクリン反応の判定には発赤で判断するようになっている)の度数分布です。この場合の全被検者の51、7%が発赤0㎜すなわち無反応でありました。また反応者については(Ⅰ)の場合と同様に3~4㎜において第1の峰を有し、また反応者については(Ⅰ)の場合と同様に3~4㎜で第1の峰を有し(12、0%)、7~8㎜に谷(1、1%)をまた11~20㎜をまたぐ第2の山を有する双峰(ふたこぶ)曲線を示していた。   
第1の峰は全被検者の12%、谷は1、1%、
第2峰の最高は4、0%を示している。
2000倍希釈のツベルクリン液注射後、24時間および48時間における発赤消長の関係は、第1図の(Ⅰ)および(Ⅱ)の曲線を比較しても大体判明する。
すなわち24時間後9㎜以下の発赤を生じる者では、48時間後に発赤減退の傾向を示し、その半数の発赤は全く消失しますが、24時間後に10㎜以上の発赤を示すものは、かえって48時間後発赤の大きさを増す傾向を示した。
1000倍希釈ツベルクリン液:被検者は、B工場における養成工である。
その内24時間後に観察したものは371人であり、48時間後に観察したもの479人である(1000稀釈のツベルクリン反応の基準はわが国では使用しないことになったので説明から省く)。
しかし当時の国際連合の基準は1000倍稀釈が使用されていた。
後から解ったことではあるが!




次に2、000倍稀釈のツベルクリン反応液による場合の発赤に大きさの度数分布と対照液による場合の発赤の大きさを比較してみると、第8図、第9図(第2図)にみるように注射後24時間後も48時間の場合も大体においてツベルクリン反応曲線の谷に相当する部分までは一致する。
それより発赤大なる反応を反応域はツベルクリン反応曲線があがって上がって第2蜂を描き、対照反応液はそのまま下がって10㎜に至って終わる。
 すなわち発赤7-8㎜の部分で両曲線は分離することが明らかである。
ツベルクリン反応者の示す双峰(ふたこぶ)曲線は非特異的反応曲線と特異的曲線との合成曲線であって谷の前後において両曲線は交叉していると考えられる。
 
結論:ツベルクリン反応検査方法は、2000倍希釈ツベルクリン液0、1㏄皮内注射によるツベルクリン反応は硬結、浮腫より発赤を基準とする方が誤差は少ない。
また判定時間は24時間より48時間の方が合理的である。
発赤の大きさによる度数分布曲線は、双峰(ふたこぶ)形であって7~8㎜の谷において非特異反応曲線および特異反応曲線が、交差してつくる曲線がある。
したがって発赤5~9㎜を偽陽性とし、4㎜以下を陰性、10㎜以上を陽性とするのが、妥当である。
以上の判定基準は、2000倍希釈ツベルクリン反応による場合のみに通用し、希釈度を異にしたツベルクリン反応による場合は適応出来ない。
 この論文ではA工場とB工場の人数が解らないように巧妙に書かれていたが、A工場は1000人規模で、B工場は500人規模であると考えられた。
しかしこの論文に書かれている非特異反応曲線および特異反応曲線の意味は何年も解けなかった。

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