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中国の銀行がドル不足、「異変」に要注意

2019-04-29 00:46:40 | 中国・中国共産党・経済・民度・香港

中国の銀行がドル不足、「異変」に要注意

2019 年 4 月 24 日 07:34 JST

 中国の大手商業銀行は、当局の管理が及ばないところで資金調達に不安を抱えている。

国内外で必要とするドル資金が足りなくなっているのだ。


 中国大手商業銀4行の年次報告書によると、2018年末時点のドル建て債務はドル建て資産を

上回り、数年前から状況が一変した。2013年時点では、4行の合計ドル資産が債務を

約1250億ドル(約14兆円)上回っていた。しかし現在では貸し付けよりも、債権者や顧客から

借り入れたドル資金の方が多い。


 こうした変化をもたらした最大の要因は中国銀行だ。かつては中国の銀行の中でドル建て

純資産が最も大きかった同行だが、2018年はドル債務がドル資産を700億ドル程度上回った。

実のところ、他の3行は昨年末時点でドル資産がドル債務を上回っていた。

ただ、中国工商銀行(ICBC)は2017年末時点では、ドル債務の方が多かった。


 中国銀行は年次報告書で、資産と債務の不均衡は、バランスシートにはないドル資金で十分に

対処されていると説明した。通貨スワップやフォワードなどの金融取引は他で計上されている。


 だが簿外の貸し出しは不安定だ。国際決済銀行(BIS)が指摘しているように、

通貨デリバティブの大部分は期限が1年未満となっている。つまり、契約を常に更新する必要が

あり、圧力が高まれば消滅する恐れもある。

中国は世界で主要な貸し手になりたいと考えているが、人民元建て融資への借り手の関心は低い



 中銀の通貨スワップは、外貨建て融資を行う市中銀行が流動性危機に陥るのを防ぐ目的で

導入され、ここ数年に世界的に広がった。中国はスワップ合意の取り付けに特に積極的に

動いているが、最も重要な米連邦準備制度理事会(FRB)とはまだ締結していない。


 中国銀行の不均衡は、バランスシートに比べると小規模で、差し迫った脅威と考える

べきではない。中国政府は3兆1000億ドルの外貨準備を有しており、危機時にはそれが

「とりで」となるだろう。だが、どれだけ状況が悪化すれば政府が大手商業銀行の外貨準備利用を

容認するかは不透明だ。また、4大銀行を支援する必要性が高まれば、当局がため込む巨額の

外貨準備もそこまで法外な水準ではないように思える。


 中国の銀行が海外でドル建て融資を行っているというだけではない。中国の巨大経済圏構想

「一帯一路」に基づく開発案件も圧倒的にドル資金で手当てされている。また、中国の不動産

開発業者の需要も旺盛だ。

 問題の根本原因はシンプルだ。中国当局は海外で主要な資金の貸し手となりたいと考えているが、

借り手の人民元建て融資への関心は低い。国際決済の多くはドル建てだ。人民元を他の通貨と

交換することは難しく、外国人が中国資産を保有すれば、好意的に見ても、中国の司法制度に

よる不透明な運命にさらされることになる。


 投資家はドル資金調達市場に「異変」がないか注視すべきだ。中国銀行は「痛み」を感じて

いるかもしれない。

https://jp.wsj.com/articles/SB11920969829594324849904585261351299937676


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