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中国と新冷戦時代へ、 動き出した米国 。トランプ政権内で対中強硬姿勢が強まっている

2018-10-17 02:11:26 | 米中関係・冷戦・民族弾圧・軍事

中国と新冷戦時代へ、 動き出した米国

トランプ政権内で対中強硬姿勢が強まっている

2018 年 10 月 16 日 15:32 JST     THE WALL STREET JOURNAL

 

 

 【ワシントン】トランプ政権が周到な計画の下、中国に対して反撃に動き出した。ホワイトハウスには、

中国が長年、見境なく攻撃的な振る舞いを続けているとの認識があり、反撃は軍、政治、経済の各分野に及ぶ。

両国の関係が一層冷え込む可能性が浮上した。


 トランプ政権発足から1年半、世界の二大大国である米国と中国の関係にとって、

「北朝鮮をどう抑制するか」と「貿易不均衡をいかに是正するか」という2つのテーマをめぐる交渉が

全てだったと言える。世界の注目を集めるこうした取り組みの裏で、ホワイトハウスは対中強硬姿勢への

シフトに向けて準備を進めていた。北朝鮮問題で中国の協力が得られなくなり、通商協議も行き詰まる中、

対中強硬戦略が表面化してきた。

 複数のホワイトハウス高官や政府関係者へのインタビューから明らかになったのは、新たな冷戦を

思わせる状況下で行われている両国間の最近のやり取りが、米国の対中政策から逸脱していないと

いうことだ。こうしたやり取りはまさに米国が望んだものであり、来月にブエノスアイレスで開催される

20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて開かれるとみられるトランプ氏と習近平・中国国家主席の

首脳会談は注目されるだろう。


 マイク・ペンス副大統領は今月4日、米中関係について講演し、激しい対中非難を展開した

ペンス氏は「米国は新たな対中方針を採用した」と述べ、トランプ大統領は引き下がらないという

メッセージを送った。


 米財務省は10日、中国対米投資の安全保障上の審査を強化する新規則を発表した。

司法省は同日、ベルギーで逮捕された中国の情報工作員について、GEアビエーションなどからの企業秘密の窃取に関わった容疑で訴追するため身柄を米国に移したと発表した

検察が拘留中の人物を中国の情報工作員と公式に認めるのは今回が初めてだ。


 エネルギー省は11日、原子力技術の対中輸出規制を強化すると発表した

政権は先ごろ、中国国営メディア2社に外国の代理人としての登録を義務付ける司法省の指示を承認した。


 アナリストによると、中国政府関係者の多くは米国が一気に対中強硬戦略にシフトしたことに驚いており、

米国が事を荒立てる中で中国は関係を安定させようと急いでいる。


 南京大学で米中関係と国際安全保障を研究する朱鋒教授は「米国は強硬姿勢をますます強めており、

あらゆる面で中国と対立している」と指摘する。「中国政府はとにかく冷静でいるべきだ。新たな冷戦が

中国の国益になるのか。答えはノーだ」


 米国の一連の動きは、1979年の米中国交樹立にさかのぼる「建設的関与」戦略から米国が明確な

方向転換を図ったことを意味する。この戦略の土台には、中国が政治、経済の両方で徐々に自由化を

進めるとの期待があった。


フロリダの別荘マールアラーゴで習国家主席と初会談後を行うトランプ大統領(2017年4月6日)


 米国が方向転換したのは、2012年に中国トップに就任した習氏が偉大な大国を目指すと宣言し、

政治と経済の権限を再び中央に集中し始めてからだ。米国は中国が来た道を戻り始めたと受け止めた。


 昨年12月の段階で米国が対中強硬姿勢に転じることは予想されていた。米国は「国家安全保障戦略」

の中で北朝鮮やイラン、ジハード主義のテロ組織と共に中国を米国に対する最大の脅威に挙げた。

当時、トランプ氏はそれとは対照的な個人外交を展開していた。


 政権発足当初、トランプ氏は習氏をほめそやし、大統領就任前に受け取ったグリーティングカード

について必要以上に好意的に取り上げたり、2017年春にはトランプ氏の別荘「マールアラーゴ」の

夕食会で「これまでで一番おいしいチョコレートケーキ」を一緒に食べたりした。

北朝鮮の脅威に対して共に戦う潜在的な友好国を危険にさらしたくないと言い、中国を為替操作国に

認定するという選挙公約を破り捨てた。


 その後、ホワイトハウスの補佐官チームにタカ派のメンバーが加わった。トランプ氏も、

物議をかもした自身の行動――中国の中興通訊(ZTE)に救いの手を差し伸べるなど――が十分に

報われていないことに気付いた。ある政権高官によると、トランプ氏は習氏と10回程度の電話会談や

書簡の往復を行い、数度の直接会談を通じてやり取りをしたが、中国側の気のない回答になぶり殺しに

されているかのようにいら立ったという。


 米政府関係者によると、米国が先月、ロシア製の戦闘機「SU35」と、地対空ミサイルシステム「S400」に

関連する装備を購入した中国軍の機関とそのトップに対する制裁を決定すると、中国政府は激怒した。


 中国は駐中国米大使に正式に抗議し、ワシントンを訪問中だった海軍トップの帰国を命じたほか、

米海軍艦船の香港寄港も拒否した。


 中国の王毅外相は先ごろ、外交問題評議会で講演し、中国が世界の覇権を握ろうとしているとの

米国の懸念について、深刻な戦略的判断の誤りだと述べた。


 「事態が収拾するのは貿易に関するディール(取引)が成立したときだ」とある政権高官は話す。

「習氏は現状を見て、『トランプはやると言ったことをやっている』ことに気付き、仕事に取りかからなければ

ならないと思い始めている」

 

国連総会で話す中国の王毅外相(9月26日、ニューヨーク) 


厳しい教訓

 11月の米中首脳会議は、通商問題をめぐる緊張の緩和にはプラスに働く可能性があるものの、

米国の強硬姿勢が和らぐことはなさそうだ。ワシントンでは、米中関係の強化に長年取り組んできた

人々の間にさえも、中国に対する幻滅が広がっている。

 

 例えば経済界では多くの人が、世界第2位の中国経済が米国企業に開かれることを期待して中国との

「共生」政策を支持していた。中国が米国のテクノロジーを強引に獲得しようとしたことでこの

楽観的な空気は不信に変わった。


 米商工会議所は中国が米国の企業から知的財産を盗んでいると批判している。中国を世界トップの

製造大国に押し上げるべく中国政府が策定した産業振興策「中国製造2025(メード・イン・チャイナ2025)」

を厳しく批判する報告書もまとめた。


 米国防総省の高官はこれまで中国の軍高官との間で政治の雰囲気の変化に左右されない関係を

構築しようとしていた。しかし彼らも我慢の限界に達したという 。


 米国はその能力を見せつけることで中国軍との関係を構築しようとしたが、その取り組みは中国側に

悪用された。ジョゼフ・ダンフォード米統合参謀本部議長が昨年、米中両軍の間の正式な対話メカニズムを

確立するために北京を訪問したあと、そのことをこれまで以上にはっきりと認識した。ホテルの部屋に

置いてあった補佐官のタブレット端末を何者かが操作していたことが分かり、米軍は中国との付き合いに

消極的になった。

 

昨年、北京を訪れたダンフォード米統合参謀本部議長(2017年8月15日)

 

 ジェームズ・マティス国防長官は今月、北京を訪問する予定だったが、米中双方が会談の目的で

折り合えずにいた。その後、南シナ海で中国の駆逐艦が米海軍の艦船に異常接近する事態が発生し、

マティス氏の訪中は中止された。


 トランプ氏は当初、大統領選の選挙遊説で中国を敵と呼び、中国に対して敵対的な姿勢を示していた。


 「私は中国人をやっつける。私は中国に勝つ」。トランプ氏は2015年、サウスカロライナ州ブラフトンの

選挙集会でこう話した。「賢ければ中国に勝てる。しかし政府はどうしたらいいか分かってない。

政府は中国のトップを公式晩さん会に招くが、私はこう言ったんだ。『なぜ彼らのために夕食会を開くのか。

彼らはわれわれから金を搾り取っている。マクドナルドに連れて行って、それから交渉に戻ればいい』」


 こうした考え方がトランプ氏の支持者に受けた。ウォール・ストリート・ジャーナルとNBCニュースが

4月に行った合同世論調査では、トランプ氏を支持する共和党支持者のうち、中国を友好国と回答した人は

たった4%だったが、敵と答えた人は86%に上った。


 トランプ政権は発足直後にも対中強硬策を検討していたが、それどころではなくなった。

政権発足から100日の間に北朝鮮は5回もミサイルを発射し、ロケットエンジンの試験を行った。

さらに米国は中国との間だけでなく、欧州連合(EU)やカナダ、メキシコとも貿易摩擦を抱えることになった。


 このころは対中融和姿勢を求める声もあった。当時、アイオワ州の知事だったテリー・ブランスタッド氏は

トランプ氏に、中国と同州の農業貿易を理由に発言をトーンダウンさせるよう要請した。

ブランスタッド氏は駐中国大使に選ばれた。


 米大統領選後に習氏と会談したヘンリー・キッシンジャー元国務長官は中国から帰国すると、

トランプ氏は選挙公約に縛られるべきではないと述べた。キッシンジャー氏は習国家主席からの

心のこもったメッセージをトランプ次期大統領に伝えた。


 トランプ氏の娘婿で大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー氏は昨年の大統領訪中の段取りをつけ、

両国関係の重要性を強調した。スティーブン・ムニューシン財務長官は大統領と中国に、両国間の溝を

埋められる人間として自らを印象付けた。トランプ政権の国家経済委員会で初代委員長を務めた

ゲーリー・コーン氏は対中関税に反対した。


中国の汪洋副首相と話すムニューシン米財務長官(2017年7月、ワシントン)


「解き放たれた」対中強硬派

 事情に詳しい関係者によると、ムニューシン氏は橋渡し役としてほとんど成果を出せなかった。

同氏は対中政策への影響力を失い、中国政府との交渉が予想以上に困難なことが分かった。

コーン氏は政権を去り、クシュナー氏の関心は他のテーマに移った。


 そこで台頭したのが軍出身のジョン・ケリー大統領首席補佐官らタカ派の側近だ。事情に詳しい

関係者によると、ケリー氏の中国観はダンフォード統合参謀本部議長のそれと同じく、経験に基づいていた。


 昨秋の大統領訪中時、ケリー氏は「核のフットボール」に近づこうとした中国政府関係者と

もみ合いになった。核のフットボールとは大統領が核ミサイル発射を命令するための機器が入った

ブリーフケースのことだ。ケリー氏は、謝罪の受け入れは拒否する、もし中国の政府高官が

ワシントンに来て、米国の国旗の下に立ち悔恨の念を表すのであれば謝罪を受け入れると同僚に語った。

 

昨年11月北京で行われた米中首脳会談時のケリー大統領首席補佐官(中央)とブランスタッド駐中国大使(中央右)

 

 通商担当のピーター・ナバロ大統領補佐官は長年の対中強硬派で、この夏には米国のテクノロジー業界を

脅かす中国の経済侵略について報告書をまとめた。

ナバロ氏は「The Hundred-year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America

As the Global Superpower(邦題 China 2049 秘密裏に遂行される『世界覇権100年戦略』)」

という本を政権関係者に配っている。


 国家安全保障問題担当の大統領補佐官に新たに就任したジョン・ボルトン氏も以前から中国への

強硬姿勢を主張している。ある政権高官によると、ボルトン氏はさらに厳しい対中政策を推進するため、

国家安全保障会議アジア上級部長であるマシュー・ポッティンジャー氏を「解き放った」という。


 元海兵隊員でウォール・ストリート・ジャーナルの記者だったこともあるポッティンジャー氏の見解は、

国家安全保障戦略に反映された。同氏は中国が米国のシンクタンクや大学、地方政府に対して影響力を

行使するためにどのような形で金を使っているかを詳しく調査するプロジェクトの監督にも関わった。

 

 ポッティンジャー氏は先月、ワシントンの中国大使館で開かれたイベントに出席し、ホワイトハウスが

米中間の競争関係をはっきり認めるため対中政策を改めたと明かし、「米国では競争は禁句ではない」

と述べた。


 米政府関係者は今後も対中圧力が継続されるとみている。トランプ政権内では以前、

中国の南シナ海進出を支援する民間企業を処罰する案が議論されたものの、棚上げされたことがあった。

これと同じような制裁が再び検討されている。


 ホワイトハウス関係者は情報機関が把握している米国の選挙やサイバー空間への中国の影響に関する

情報の機密解除が進むだろうと話した。商務省は中国の少数民族でイスラム教を信仰するウイグル族の

抑圧に米国の監視技術が使われないようにするため、輸出規制を強化する。


 ホワイトハウスは米国の対外支援に関する審査報告書を約1カ月後に公表する予定だ。

政権高官によると、審査の狙いは中国で、少なくとも間接的には中国政府のインフラ整備プロジェクト

「一帯一路」を標的にしているという。


 ペンス副大統領は一帯一路の関連プロジェクトの一部を批判し、被援助国を借金漬けにしていると述べた。

ペンス氏は先週の講演で「米国は公正さ、相互主義、主権の尊重に根差した関係を追求する」と述べた。

「その実現のために、われわれは強力かつ迅速な措置を取っている」



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