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【WSJ社説】在韓米軍、北朝鮮との取引に使うな

2018-06-21 12:55:45 | 米朝関係

【社説】在韓米軍、北朝鮮との取引に使うな

 ドナルド・トランプ米大統領は先に、米韓合同軍事演習を「非常に挑発的」だと表現し、アジアに混乱を

引き起こした。トランプ氏は無期限で米韓軍事演習を停止し、いずれは在韓米軍を全面撤退させる可能性も示唆した。

北朝鮮やロシア、中国はこれを歓迎したが、米国の同盟各国はそれほど喜んでいない。


 トランプ氏は米朝首脳会談が行われたシンガポールで「われわれは戦争ゲームをやめるつもりだ。それによって

莫大な額が節約できるだろう」と語ったが、どの軍事演習を意味しているのか。マイク・ペンス副大統領は先に

共和党上院議員らと会談した際に、大統領は8月に実施される「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」と

晩冬か初春に行われる「フォールイーグル」の2つの年次合同演習を中止するつもりだと説明した。

しかし米国防総省はそれを確認しておらず、米国の同盟国は不意打ちを食らった格好だ。


 ペンス氏の報道官はその後、必要不可欠である定期的な合同訓練や米韓軍事交流は継続されると述べた。

米韓両国は、兵器使用や敵の戦術への対応に関する技術の向上に絶えず努めている。

例えば、海からの上陸作戦や落下傘降下、北朝鮮からの迫撃砲攻撃への対応などだ。こうした訓練の中止は、

軍事的な愚行となろう。


 2大合同演習を中止すれば、米韓両軍の即応力も減退させるだろう。というのも、いずれの演習も北朝鮮の

軍事演習にタイミングを合わせて実施されており、またその他の同盟国軍や他の戦域の米軍も参加するからだ。

トランプ氏は、一方的な譲歩としてこうした演習の中止を申し出た。

しかし注目すべきなのは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がこれまでのところ、それに見合うような

軍事面のジェスチャーを示していないことだ。北朝鮮が人質として拘束していた米国人3人を解放したことや、

朝鮮戦争で死亡した米兵の遺骨返還を約束したことは、脅威を低下させるものではない。


 もしトランプ氏が朝鮮半島から挑発行為を排除したいと思うのなら、非武装地帯(DMZ)から北朝鮮軍部隊を

撤退させ、ソウルを大砲の射程外にするよう正恩氏に要請してはどうか。そうなれば、善意の申し出としての

米韓軍事演習の中止を正当化できるだろう。


 在韓米軍を核交渉のツールとして使うことへのトランプ氏の関心は、こうした演習の枠を超えている。

民主主義の同盟国(韓国)と協力して活動している米軍の存在は、テロ支援国家(北朝鮮)による違法な

核兵器開発と同一ではない。

 

 トランプ氏は、韓国が米国の納税者にただ乗りしていると考えているようだが、それは間違いだ。

朝鮮半島に駐留する米軍兵士2万8500人のほぼ全ては、ソウルの南方に新設された巨大なハンフリーズ米軍基地への

移動を始めている。この基地の建設にはざっと110億ドル(1兆2200億円)かかったが、韓国が100億ドル以上を

支払った。韓国政府はまた、在韓米軍の活動費用の約半分を負担している。


 そして、東アジアにはより大きな戦略的構図がある。米軍は、北朝鮮による韓国侵略を抑止しているだけではない。

中国は韓国にかなりの経済的影響力を持っているが、米軍はその中国が韓国の外交政策に政治的影響力を及ぼすのも

防いでいる。米軍はまた、前方展開して日本や台湾といった東アジア地域の民主主義政治体制を守ってもいる。

加えて、米国と日本の同盟関係は、西太平洋支配への中国の野望を封じ込めるのに不可欠だ。


 良いニュースは、米議会が「核と米軍の取引」というトランプ氏の偏好に気づき始めたことだ。

ダン・サリバン上院議員(共和、アラスカ州)は、国防権限法(NDAA)の上院修正に関する意見表明を付加した。

それは「朝鮮半島からの米軍の大幅撤退は交渉不可能な事項だ。それは(北朝鮮による)完全かつ検証可能で

不可逆的な非核化(CVID)に関係するためだ」というものだ。


 ジム・マティス国防長官は14日、韓国と日本のカウンターパート(国防相ないし防衛相)に電話し、

米国の「揺るぎない防衛コミットメント」と「この地域に駐留している米軍の即応態勢を維持する決意」を再確認した。

しかし、トランプ氏のことだ。何があるかは分からない。


 米軍の海外展開は、戦争を抑止し、中国のような支配的な地域大国の台頭を防ぎ、さまざまな脅威を可能な限り

米国本土から遠ざけておくという世界的な同盟戦略の一環だ。在韓米軍の規模と性格をどうするかは、北朝鮮が

完全に信頼できる形で核プログラムを放棄し、韓国を脅かすのを止めれば、再考し得るだろう。

しかし、それまでの間、米軍を金正恩氏との取引での「勘定書」にすべきでないのだ。


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