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なぜ歪む、対韓輸出規制への目 国際社会へは正当性の論理を  細川昌彦

2019-07-14 22:17:26 | 日韓関係

なぜ歪む、対韓輸出規制への目 国際社会へは正当性の論理を 



なぜ韓国の問題になると日本の報道は歪(ゆが)んでしまうのか。それが海外報道にも影響し、

韓国の過剰反応を招いたのは深刻だ。「事実上の禁輸」「輸出規制を発動」と当初の報道は勇ましかった。

「自由貿易に逆行」「世界貿易機関(WTO)協定違反の懸念」との批判もあった。いずれも誤解に

よるものだ。


 国内ではいわゆる徴用工の問題での韓国の対応に対抗措置を求める声が高まっていた。そうした中、

今回の措置を「事実上の対抗措置」という目で見たい人も政権内にはいるだろう。


 しかし米国による華為技術(ファーウェイ)制裁や中国によるレアアース禁輸と同一視されるのは

問題だ。軍事転用可能な物資の懸念国への流出を阻止するため、先進各国は国際的な枠組みに参加し、

厳格な輸出管理を実施している。本件はそうした国際的な義務の履行の一環だ。制裁とは本質的に異なる。


 さらに今回の措置は、許可の「手続き」を本来原則の「個別許可」に変更するものだ。

許可の「基準」を変えるものではない。日本は法治国家で、「事実上の禁輸」といった恣意(しい)的

運用はおよそあり得ない。


 「輸出管理の不適切事案」があったことは重要だ。しかしこれが抽象的なので国民はよくわからない。

日本政府も事の性格上、個別案件を具体的に開示できない。ただ5月に有力韓国紙が報道したように、

規制品目が韓国から北朝鮮やイランに横流しされているとの疑惑が深まっていた。疑念のある取引が

今回の3品目で頻発し、日本が大宗を供給していることから国際的に管理責任を問われる。

3品目を個別許可にして当然だろう。

 

日本は輸出管理で信頼できる国を「ホワイト国」として、特別に優遇して簡略な手続きにしているが、

2004年に韓国を追加した。ホワイト国に対してはきちっと輸出管理をしているかどうかを確認

するための協議をするのが通常だ。韓国については不適切事案が発生しているので特に必要だ。

しかしここ3年、韓国はこれに応じていない。「輸出管理の信頼関係が崩れている」として

ホワイト国から外すのは当然だ。韓国はアジアで唯一のホワイト国だった。これを他のアジア諸国

並みにするだけだ。


 また欧州連合(EU)が輸出管理のうえで特別優遇しているのは日本を含めて8カ国で、韓国は

含まれていない。EU並みに手続きを戻したともいえる。これでどうして「自由貿易に逆行する」

のだろうか。どうしてWTO協定違反の懸念があるのだろうか。そもそも安全保障に関する輸出規制は

WTO協定の例外扱いになっている。今回の措置がWTO協定違反ならば、他国も全てWTO協定違反

になってしまう。


 個別許可になると、半導体材料の供給に支障が出て、韓国の半導体生産に大打撃との報道がある。

影響はもちろんあるが、それほど深刻なのか。仮に深刻な影響となると、対抗措置と見たい人々は

留飲をさげ、韓国を揺さぶることになる。しかしそうした余計な思惑を排して、素直に事実を見るべきだ。


 個別審査に90日かかるとも報じられているが、これは単に行政手続きとして定められた標準的な

処理期間だ。現実に90日もかかっているわけではない。およそ4~5週間というところだ。

もちろん、怪しげなケースは審査に時間がかかるのは当然だが、多くはまともな取引だ。


 個別許可には相手方の誓約書などが必要で手間がかかるのは確かだが、時間がたてば慣れてくるだろう。

こう考えると、蓋を開けてみればさほど深刻な影響ではない可能性も高い。


 ところで世耕弘成経済産業相はツイッターで今回の措置の「理由」を3点挙げた。

(1)輸出管理での意見交換に韓国が応じていない

(2)輸出管理に関する不適切な事案が発生している

(3)いわゆる徴用工問題などで信頼関係が損なわれた-の3つだ。

 

(1)と(2)は確かに輸出管理上重大な問題で、適正な輸出管理を行うために今回の措置は

当然行うべきだ。しかし(3)は「背景」だ。国内の対韓国強硬論に応えて、韓国にもそうした

メッセージを送りたいのかもしれない。


 しかし、その結果、韓国に「政治目的のための措置だ」と批判させてしまい、欧米メディアの

一部にはトランプ米大統領の手法と同一視される誤解まで生じている。


 国際社会を納得させるためには、正当性の説明は論理的でなければならない。そのためにはあくまで

輸出管理の論理の(1)と(2)で完結すべきだ。米中の身勝手な論理による制裁で国際秩序が

揺らいでいるからこそ、日本は国際的に納得する論理だけを示すべきだ。

  
 
 

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