シリア政府軍、最後の反体制派掃討開始か 住民が避難 北西部イドリブ県
【9月7日 AFP】シリアの反体制派最後の拠点となっている北西部イドリブ(Idlib)県周辺に、シリア政府軍と
その同盟軍が集結する中、6日、同県から多数の民間人が避難した。7日にはロシア、イラン、トルコの3か国が
シリア内戦の終結を目指し、反体制派掃討に関する首脳会談を予定している。
イドリブの反体制派掃討作戦は、7年にわたるシリア内戦最後の大規模な戦闘となる可能性があり、支援団体などは
大量の死者が出る可能性を懸念している。
欧米諸国は犠牲者を出すとして警告を発しているが、シリアとロシア両政府は断固として、同県を支配する
過激派勢力を根絶させるために必要な攻撃だと主張している。
トルコ国境に近い北部の避難民キャンプを目指していたイドリブの住民、アブ・ナサールさんは「これからどこへ
行くか分からない。たくさんの人々が逃げた。どうしたらいいのか。ここで空爆にさらされるわけにはいかない」と
嘆いた。
一方、イドリブの救助関係者によると6日午前、空爆で救助センターが破壊され、活動が中止に追い込まれた。
同県南部タマナ(Tamana)にある救援ボランティア団体「ホワイト・ヘルメット(White Helmets)」
(正式名称:シリア民間防衛隊(Syria Civil Defence)の本部が、空爆に続き、ロケット弾と砲弾の一斉投下を
受けたという。
攻撃時、本部にいたという責任者はAFPに対し、「攻撃がやんで急いで外に出ると約15分後、
ロシアのスホイ24(Sukhoi24、爆撃機)がセンターを攻撃し、施設は使用不可能になった」と述べた。
フランスのジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)外相は訪問先のギリシャ・アテネで同日、
イドリブでシリア政府が準備しているとみられる軍事行動は「人道主義を焼き尽くす」危険があると警告。
「バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が武力でイドリブを制圧したいと考えているならば、
われわれはすべての関係者に、そうした行動が人道主義を焼き尽くす結果を招く恐れがあると警告する」と述べた。
シリア政府軍の爆撃を受ける北西部イドリブ県南部タマナの様子(2018年9月6日撮影)
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トランプ氏、シリア政権のイドリブ攻撃に警告 「人類の悲劇」
【9月4日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は3日、ツイッター(Twitter)への投稿で、
シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が反体制派の最後の拠点である北西部イドリブ(Idlib)県を
攻撃すれば「人類の悲劇」を生み出しかねないと述べ、ロシアとイランの支援を受けてイドリブを攻撃しないよう
同政権に警告した。
トランプ氏は「シリアのアサド大統領はイドリブ県に無謀な攻撃を加えてはならない。
人類の悲劇になる恐れがあるこの攻撃に加われば、ロシアとイランは重大な人道上の誤りを犯すことになる」とけん制。
「(攻撃すれば)何十万人もの人が殺されるだろう。それは起こってはならない!」と続けた。
イドリブに対しては政権軍が近く攻撃を始めるとの観測が強まっている。国連(UN)や援助団体は、イドリブに
対する総攻撃が行われれば7年に及ぶシリア内戦でも例のない規模の人道危機が生じると警鐘を鳴らしている。
アサド政権軍はイドリブ県の周囲に集結。イドリブ県にはさまざまな反体制派や武装した過激派の支配下にあり、
その多くは主要国によって「テロリスト」に指定されている。
ロシアとイランは、イドリブの過激派集団は掃討する必要があると主張しており、攻撃が行われる場合には
政権軍を支援するとみられている。
米、化学兵器使用ならシリアに報復=反体制派総攻撃観測で警告
【9月5日 時事通信社】米ホワイトハウスは4日、シリアのアサド政権軍が反体制派の拠点、北西部イドリブ県に
総攻撃を仕掛けるとの観測が広がっていることを受けて声明を発表、
「アサド大統領が再び化学兵器を使用すれば、米国と同盟国は迅速かつ適切に対応する」と述べ、
報復攻撃も辞さないと警告した。
トランプ政権は昨年4月と今年4月の2度、化学兵器を使用したとして、アサド政権側を攻撃している。
トランプ大統領は3日のツイートで「アサド氏は無謀にも攻撃を仕掛けるようなことをしてはならない」と述べ、
総攻撃の回避を求めた。ただ、アサド政権の後ろ盾ロシアは4日、8月中旬以降中止していたイドリブ空爆を再開したと
みられ、総攻撃開始の可能性が高まっている。
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