クロスバイクで元気

念願叶った定年退職の身は、先立つ物は細く時間は太くの狭間。
歩いて、自転車に乗って感じたことを、気ままに書き続けます。

画家の吉田友幸さんといっぱいお話ができたのは、ラッキーでした

2021年04月16日 19時07分35秒 | 美術展
楽しみにしていた吉田友幸 個展 「誕生」を今日観てきました。
今日は画家も在廊していて、たくさんお話を伺えたのはラッキーでした。

全部で20点ほどだったでしょうか、吉田さんが描く植物や、貝殻、そして風景までもが、清冽な色調、清冽な質感、そして清冽な立体感をもって、私を迎えてくれます。
邪心の無い素直な、世の中の真実のいでたちと言うのがいいのか、上手い言葉が見つかりませんが、とにもかくにもじっと見てるとそのリズム、ハーモニーに吸い込まれます。

1枚だけ、他とは違う雰囲気の絵がありました。
絵のタイトルは「UFOズッキーニ」(だったと思いますが、違っていたらごめんなさい)。
画家に訊きました。「この一枚だけ、雰囲気が違うのですが、新作ですか?」
『新作ではなく、ちょっと古い絵です。』
『確かに、この一枚だけですね、違っているのは。』
『この絵は、引き算で終わっているのです。』
『他の絵は、足し算。一筆ずつ加えて完成なのですが、この絵は描いた後で消していて、最後は消すという動作で終わっています。』
「消すとは、何を使って消すのですか?」
『紙やすりです。』
「紙やすりで削ったら、キャンパス地が、ボロボロになることはないんですか?」
『絵の具を何層も載せているので、キャンパス地までは届かなくて、絵の具の層の途中まで削れるのです。』
『さらに言うと、この一枚は、息を吐き出して描いたんです。他の絵は息を吸い込んで描いています。』
『画家は、描きたいものなのです。でも描き過ぎないようにと、これからも試してみたい方向なんです。』

今回の展示で一番大きいのは「向こう側」(145.5×89.4cm)。
海の向こうに横に長く伸びた陸地が見えます。
「この向こう側というのは、彼岸などを意識しているのですか?」
『いえいえ、単なる向こうに見える陸地という意味だけです。』
『私の住んでる琵琶湖畔から、反対側を見た風景です。』
海ではなく、琵琶湖だったんですね。
「これだけ大きいと完成までにはどのくらい掛かるんですか?」
『1、2年というところですね。毎日連続して描いているのではなく、描かない日もありますが。』
「そんなに長いと、中断して再開する時に、気分を盛り上げるのが大変ではないですか。」
『いえいえ、感動さえ持ち続けていれば、描き続けることはできます。』

とまぁ、ちんぷんかんな私の質問にも、はっきりと丁寧に答えていただけました。

吉田友幸 個展 「誕生」は、岐阜市本荘中ノ町の田口美術で、18日(日)まで開催中です。

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