左前頭葉のグリオーマの拡大摘出を目指すためには、言語野の確実な同定が必要となります。そのためには覚醒下手術が必須ですが、言語野はいわゆる言語皮質中枢(ブローカ野)のみではなく、その周囲皮質や深部白質の評価も重要になります。今回の症例は術前にはごく軽度の運動性失語を呈する大型腫瘍でした。覚醒下に言語停止部位を確認できたのですが、その周囲皮質、深部白質の刺激で、保続がどうしても出てしまい、言語機能を温存するためにはかなり広域の皮質を温存する必要性がありました。本例では光線力学的療法を併用するために、酸素飽和度モニターは間歇的使用を義務付けて来ましたが、麻酔科からは覚醒中だけは持続モニターが必要と提案されました。幸い、術後に爪熱傷は無い様ですが、今後、覚醒時間が長くなると、この問題も出てきそうです。因みに本例では予定通りの摘出が出来、PDTも6箇所に施行しましたが、やはり術後に運動性失語が出現しています。十分な言語機能を温存したつもりなのですがーー。やはり簡単な手術では無いです。
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