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秘密を守りたければ鍵をばらまいてしまえば良い

2013年06月27日 | コンサルティング

久々に一気読みした本です。とにかくおもしろかったです。とは言っても、500ページほどあり読了まで10日間かかりましたが。

「暗号解読-ロゼッタストーンから量子暗号まで」サイモン シン (著)、新潮社、2001年(文庫2007年)

暗号の歴史から生成、解読の手法、それにかかわった人々の話なのですが、文章と構成がよくできいてスムーズに読めました。翻訳も上手いです。

この本に書かれている暗号の理論については、本当に理解しようと思うとちょっと大変なのですが、かなり分かりやすく書かれています。文章を読むだけでも「なるほど、そういう考え方で作られているのか」と納得できるでしょう。

ただし、この本の真骨頂は暗号と人間、歴史との関係です。暗号を作る側とそれを解読する側の、お互いに正体を隠したままの「取っ組み合いのケンカ」はどんな小説よりも面白かったと断言できます。その結果、暗号は歴史の流れを切り替えるスイッチのような役目を果たしていたことが分かります。

発明や発見には「1番乗り競争」がつきものですが、暗号に関しては国家の利害が優先するためそれができません。それは「100mを9秒台前半で走ったとしても誰にも知られてはならない」と言うようなものです。この本には多くの先駆者たちのことが書かれていますが、今この時点でもそうした人たちがいるはずです。

仕事の成果と個人の名誉はできればセットになっていてほしいと思うのが人情です。しかし、たとえそれが不可能であったとしても「成し遂げたこと」に満足できるのが真のプロフェッショナルなのかも知れません。

さて、私は10年近く前になりますが、大学の「コンピュータ概論」の授業で「公開鍵暗号方式」の説明をしたことがあります。ホームセンターで買ってきた南京錠を2つ使って「公開鍵」の実験(?)をしました。詳しい説明はここではしませんが、学生たちは「ああ、なるほど!」と極めてシンプルなその考え方に驚いていました。ご興味をお持ちの方がいらっしゃれば調べてみてください。この文章のタイトルの通り、「逆転の発想」とはまさにこのことだと納得できるはずです。

(人材育成社)


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