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異動の賞味期限

2018年07月04日 | コンサルティング

A社 「うちは異動が多いんです。3年から長くても5年で異動があります」

B社 「異動は必要だと思うのですが、最近の様子を見ていると、まるで異動そのものが目的になってしまっているように感じます」

これらは、最近お会いしたお二人から伺った話です。

ご本人たちがおっしゃるとおり、確かにA社もB社も異動は多く、どちらの会社も研修担当者が3年どころか、この1年と少しの間に3回代わられました。あまりにも異動が頻繁なため、信頼関係が築けないまま出会いと別れが繰り返されているような気もしています。

異動については、このブログでも3月に「異動のメリット」(https://blog.goo.ne.jp/jinzaiikuseisha/e/a2b151575d231fd983a1a4a498cefcaf)と題して取り上げていますが、今回続けてA社とB社の方から話を伺えましたので、再び取り上げることにしました。

A社の方は、「新卒で入社後に営業部に配属されて4年がたち、もう少し営業を深堀したかった」とのことですが、この度人事部に異動したそうです。しかし「この経験を踏まえて、将来はまた営業で活躍したい」とのことでした。

一方、B社の方からは「組織の活性化を図るために、会社が異動を強化している考えは十分理解できます。しかし、転居を伴う異動は本人だけの問題ではないため、優秀な社員の退職にもつながっている面があります。他社では異動についてどういう考え方をしているのでしょうか?」という質問を受けたのですが、やや異動のマイナス面がクローズアップされている感じでした。

このように異動にはメリット・デメリットがありますが、私はプラスの面のほうが多いという考えです。それは、本人の問題だけでなく、他者への影響力という観点からもプラスの方が多いと感じるからです。

たとえば、今回のサッカーワールドカップでは、日本代表チームの監督が直前にバヒド・ハリルホジッチ前監督から西野監督に代わりました。ハリルホジッチ監督のもとでは起用の予定はなかった本田選手は、西野監督により先発ではなかったものの起用された結果、3大会連続のシュートを決めるなどの活躍ぶりでした。

このように監督によって戦略が異なり、また選手との相性もあるはずですから、当然のことながら起用する選手も変わるわけです。企業においてもこれと同様のことがあります。

たとえば、上司と部下の組み合わせがいつもいい形で仕事ができれば問題はないのですが、必ずしもそのようにいくとは限りません。

以前、ある企業で入社5年目の社員が同業他社へ転職したことがありました。当初、転職理由を明らかにしていなかった彼に対し人事が繰り返し退職理由を尋ねたところ、ようやく口にしたのは「あの上司の下でこれから何十年も仕事をすることを想像したら、我慢ができない。辞めるしかないと思った」とのことでした。

長い間、同じ組み合わせで仕事をしているとこうしたことが起こりえますし、当然マンネリにもなります。だからこそ、定期的に人を異動させることによって、社員の新たな能力を見出せます。仮に相性が良くない上司と部下の組み合わせだったとしても、一方が異動するまでの数年間は我慢して頑張れるという話もよく聞くところです。

最後に、日本代表チームや内外のクラブを率いた岡田武史氏の言葉が新聞(朝日6月17日)に掲載されていました。

「監督の賞味期限は3年。どんなに練習や戦術を工夫してもマンネリは避けられない。中心選手を代えるか、監督が代わるしかない」

監督の賞味期限は3年とはなかなか厳しい世界だと思いますが、企業においても実は同様のことが言えると感じています。さて、西野監督の賞味期限にはまだかなりありますが、去就はいかに??

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