中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,084話 不祥事の再発防止策として研修は有効なのか

2021年12月22日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「急ぎで社員に対して研修を行いたい」

これは企業や自治体等で不祥事が起こってしまった際に、必ずといっていいくらいに発せられる言葉です。そして、実際にその後大慌てで研修を実施するケースも相当数に及びます。
私も不祥事が起きてしまった企業から再発防止のための研修の依頼をいただき、担当させていただいたことがあります。そのときの先方からの要望は、「とにかくできる限り早く、研修を実施したい」というものであり、実際に短期間のうちに幅広い社員を対象に研修が行われました。しかし、それは再発防止を目的に研修を行っているというよりも、研修を実施すること自体が目的となってしまっているように感じました。

果たして、このようなやり方で研修を行って不祥事の再発防止に役立つのでしょうか。

以前私がその研修を担当させていただいた際に強く感じたのは、何より受講した多くの社員がしらけたような雰囲気だったということです。それは、問題を起こした社員はごく一部であり、多くの社員は真面目に働いていたのにも関わらず、一律で研修を受講させられるものだったからです。

中小企業の経営者や研修の担当者と打ち合わせをしていると、「人材育成を行っても、なかなか成果が出ない。行う意味はあるのだろうか?」との疑問の声を聞くことがあります。その際には、私は「研修を1回行ったからといって、社員が劇的に変化するということはありえません。たった1回の研修で社員が大きく変わるような研修があったら、それはかなり怪しい研修です」とお答えしています。
不祥事が起こってしまった企業のトップも、当然1回の研修で社員が大きく変わることはないことはわかっていらっしゃるのです。しかし、それでも「まずは研修を」と考えるのは、不祥事に対して組織として迅速に対応したという外向きのメッセージでもあるのだとは思います。

しかし、不祥事が起こってしまったということは、そこには必ず何らかの原因や理由があるわけです。たとえば、社内の仕組みに問題があったり、風通しが悪い風土であったりということがあげられます。ここで言う風通しが悪い風土とは、組織内のコミュニケーションが取り辛い状態であり、実際に風通しの悪い組織では不祥事が起きやすいという実証的な研究もあるのです。たとえば部下のミスや仕事上の問題は可能な限り早く上司に伝えられなければなりません。しかし叱責や責任追及が優先されてしまうような風通しが悪い組織文化では情報が伝わりにくく、問題が隠蔽されやすい傾向にあるとも言われています。
不祥事が起こってしまう背景にはそれだけの問題があるということであり、それをきちんと踏まえた上で再発防止のための対策を打つ必要があるということなのです。

不祥事が起きてしまうのは、それを起こしえる風土にしてしまったことがそもそもの原因です。本気で風土を変えていこうとするのであれば、同じくらいの長い時間をかけてじっくりと取り組むことが必要です。

日々、研修を提供している立場の者としては、「不祥事の再発防止対策には、アリバイのように研修を行っても真の問題解決にはなりません。腰を据えてしっかりと取り組むことが必要です」と、声を大にしてお伝えしたいと思っています。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ

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