中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,218話 現場こそが出発点でありゴールでもある

2024年06月05日 | キャリア

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

学生優位の「売り手市場」が続いており、計画人数通りに新入社員を採用できない企業が中小企業を中心に増えているとの報道にたびたび接します。

こうした状況の中、学生を惹きつけるために入社直後の職種や勤務地を確約する企業がここ数年相次いでいるとのことです。6月4日の朝日新聞の記事では、コース別採用を導入し入社後に経営企画や商品開発などに進むコース、企業営業などに進むコースなど、配属先によって4つのコースに分けて募集している企業が紹介されていました。

こうしたコース別採用には、学生にアピールして計画どおりに人を採りやすくする狙いがあるのだとは思いますが、その一方で応募者が集中する人気コースがある一方、応募者が少ないコースができてしまうのではないかという、新たな懸念も考えられるのではないでしょうか。

私は定期的に、入社1年目から10年くらいの若手社員の話を聞く機会があるのですが、彼らが入社時に希望していた配属先は、経営企画や商品企画を中心にマーケティングやグローバル〇〇部というように、比較的華やかなイメージの部署が圧倒的に多いのです。それらの部署は、テレビドラマなどで取り上げられることもあるため、仕事経験がない若手にとってもイメージがしやすく、同時にかっこよく見える部署だと感じられるからということのようです。

この観点からコース別採用を考えると、学生には仕事の内容が想像しにくい部署は応募者が少なくなってしまうのではないかということが心配されます。

一般的に、企業にはバリューチェーンという考え方(ある製品を世に送り出す際の一連のプロセスを価値のつながりとして捉える考え方。業務(仕事)の連鎖のこと)があります。

「購買物流」→「製造」→「出荷流通」→「販売マーケティング」→「サービス」という一連のバリューチェーンの主活動や、「全般管理」、「人事・労務管理」、「技術開発」、「調達活動」といった主活動を側面から支援する活動などです。それに関わるどの部署もなくなっては困る働きをしているわけですから、部署の間で人気に偏りが生じるのは問題です。そのように考えると、今後コース別採用を導入する企業が増加した結果、組織内の部署の人数にアンバランスが生じてしまうなどの新たな問題の発生が懸念されるのではないでしょうか。

私は、応募者数を確保するとともに、入社後に引き続き活躍してもらうためには、採用の部分だけを手厚くするのではなく、従来から多くの組織が取り入れているように、業種に限らずまずは「現場」に配属して経験を積んでもらうことが大切だと考えています。サービス業であれば顧客と接する最前線の現場に、製造業であれば製造現場などですが、直接顧客と触れあったり企業の製造現場の最前線を経験することを通して企業や組織の土台・基本を知ることができるのです。その意味で、現場こそが出発点でありゴールでもあると言ってもいいのではないかと考えています。現場で十分に経験を積んでから経営企画や商品開発などの部署で仕事をしたいと考えても遅くはないですし、より活躍ができるのではないでしょうか。

キャリア形成や成長は、配属された部署が担ってくれるものではなく、個々の日々の取り組みが未来の自分を作るということを忘れないでいただきたいと考えています。

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