新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ

全国紙の元記者・中村仁がジャーナリストの経験を生かしたブログ
政治、経済、社会問題、メディア論などのニュースをえぐる

五輪デザイン男は模倣常習犯か

2015年08月19日 | 社会

 

 

 フェアプレーの精神に泥

2015年8月19日

 

 東京五輪の公式エンブレムの盗作騒ぎは、疑惑が広がるばかりです。事件が明るみになるや、デザイン業界の専門家、法律関係者からはこのデザイナーを擁護する発言が目立ち、仲間たちが一緒になって火消しに走っている印象でしたね。恐らく盗用、模倣、転用はこの業界の根深い構造的な体質であると思われます。


 国際オリンピック委員会、東京五輪組織委員会も重大な判断ミスを犯した可能性があります。実態がまだよく分らないうちにははやばや、「国際的な登録の手続きを経て、エンブレムを公表した。本件に関して懸念していない」との公式コメントを発表しましたね。責任追及が始まる前に、高飛車にでて、つまり幕がまだ開かないのに、幕引きしようとしたのでしょう。後悔することになるのではないですか。


これまでにもしばしば盗用


 発端になったベルギーの劇場のロゴマークは商標登録していないようですね。ですから、ベルギー側の権利がどこまで侵害されているのか、裁判を見守るしかありません。問題は佐野研二郎というデザイナーが盗作、模倣をこれまでしばしばしてきたという疑い固まってきたことです。フェアプレーとほど遠い人物なのでしょうか。


 オリンピックはフェアプレー精神で戦われます。特にドーピング(薬物使用)などのルール違反には厳しく、記録剥奪、出場停止などの罰則があります。今回の騒ぎに関する裁判の結果がどうあれ、フェアプレーの精神を踏みにじった人物によるエンブレムが五輪会場に掲げられ、五輪の宣伝・広報に使われると、五輪が汚れますね。


組織委は使用停止に踏み切れ


 五輪閉会後まで「盗作騒ぎエンブレム」と、言われ続けるでしょう。組織委員会側が自主的にこのエンブレムの使用断念を一方的に決めればいいのです。早いほういいですよ。新国立競技場の建設問題のように、打つ手が遅れれば遅れるほど、解決は難しくなります。裁判だって、いつ決着がつくか分りません。判決がでて、使用停止になり、作品の再募集ですか。新国立競技場の問題に似てきますね。


 五輪エンブレムそのものは、本人が「デザインの考えかたも違い、まったく似ていない」といっています。その一方でサントリービールの景品バッグ(トートバッグ)で、デザインの模倣(トレース、引き写し)が発覚し、本人も非を認めました。30点中8点が盗作とは、ひどい話ですね。「スタッフデザイナーがやった」と、罪を押し付けています。制作者名は佐野氏ですから、それ通りません。


サントリーは素早く対応


 サントリーが盗作8点の配布を取りやめたかよかったですね。疑惑の渦中、東山動物園(名古屋)のシンボルマークが、中米コスタリカの国立博物館のマークにそっくりとの指摘がでています。これも動物園側が自主的に使用停止にしてはどうですか。すくなくともこの二点が使用停止になれば、佐野氏は制作活動の生命は絶たれます。だから死にもの狂いなのでしょう。


 腹立たしいのは、業界関係の専門家です。「デザインは単純化されることが多いので、どうしても似てしまうことある」とか「似ていてもコンセプトがまるで違う」など、理解に苦しむ指摘が目立つのですね。かれらもこれまで、この種の紛争を同じような尺度で片付けてきたので、いまさら批判ができないという魂胆でしょうか。


 この問題はブログ「五輪エンブレムの盗作の謎を解く」(8月6日)でも取り上げました。盗作、模倣はこの人物に限ったことではないように思います。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿