中小企業のES=人間性尊重経営のパイオニア/有限会社人事・労務 矢萩 大輔 ES組織開発・人事制度改革ブログ

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入管法改正と外国人の現場労災回避の考察~仕事中の注意事項、緊急時の対応を外国人に伝えるには?“やさしい日本語”に隠された意味~

2019-02-12 16:43:45 | ダイバーシティ
以前シンガポールに行ったときのこと、多文化で多言語社会のシンガポールでは、外国人の労災が増加していると聞きました。そこには、言葉の違いによる危険を周りが伝えようとしても、伝わらなかったために労災が起きてしまうという現状があります。今後、入管法の改正により、日本でも新たな在留資格の下で現場で働く外国人が増えると予想されます。今回は私が活動している市の多文化共生サポーター体験からの事例をご紹介します。

多文化共生サポーターの活動としては、多文化料理教室サポート、異なる背景を持つ子供たちのスポーツ活動支援、研修会などいろんな募集が届きます。サポーターは皆それぞれに専門分野がある方が多く、とても刺激的。



今回のテーマは「外国人と一緒に考える防災」

何だか硬いテ―マな気がしましたが、その内容は外国人と働く際にも活用できる内容です。私も実際に技能実習生の支援として企業に通訳に行ったり、資料を翻訳したりということがあるのですが、災害時や緊急時、仕事の中で日々意識して注意すべき事項の徹底は、すぐに周りに通訳者がいるとも限らないので、いつも一緒に働いている日本人の従業員の方の対応がとても重要になってきます。
AEDは救急隊員が来るのを待って行うよりも、近くにいる一般市民が行った方が1か月後の社会復帰率は倍以上になるのと同じです。遠くの通訳者より、近くの日本人です。

私が住む市でも外国人の定住化傾向が高まっており、4月から始まる特定技能の制度によって、また徐々に増えていく可能性もあり、市でも今から対応を考えているようです。

その中でも重要になってくるのが「情報の伝達」です。
ここでポイントになるのは、「情報を伝える(送り手中心)」から「情報が伝わったか(受け手中心)」の考え方です。さらに付け加えるとすると、その情報は相手を尊重できているか、尊重しようという姿勢が伝わっているかどうかです。

例えば、「消灯は、午後9時とし、居住スペースの証明は落とします。消灯時間後は、居住スペースでの会話や携帯電話の利用を控えてください。」(避難所マニュアル、ルール例より)

これらを外国人に一斉に図やポスターとして伝えるとき、皆さんならどうしますか?
模造紙に書いてみてくださいというグループワーク。



私のグループにはモンゴル人とブラジル人がいましたが、まず、「どうして緊急時で避難してきているのに携帯電話の使用を控えないとダメなのか、控えるってどういう意味か、
使ってはいけないという意味なのか、曖昧だ。」「消灯時間が9時って早すぎないか。母国と電話しようと思ったら、時差もあるし」などなど、課題を進める前から、その前提が変なのではないかという問いかけがたくさんありました。

結局、“控える”というのはつまり、消灯時間後は「静かにしましょう」という意味だとざくっと解釈し、そういうユニバーサルデザインを利用することにしました。時間を表記するのにもコツがあって、海外では22時、21時等の24時間表記は使わない国が多いので、
そういう表記はやめておこう話し合ったり、他のグループでは「衛生部」をわかりやすく伝えるために赤十字マークを書きましたが、イスラム圏ではキリスト教がイメージされるので、他のマーク(月モチーフ)がユニバ―サルデザインとして採用されていたりと、いろいろな話へとつながりました。

これらの表記には正解はありません。イラストを使うことが良いとも限りません。
しかし、例えば十字のマークと月のマークが併記されていれば、どちらの文化も尊重しているという気持ちが伝わるのではないでしょうか。余談ですが、赤十字という日本語の呼び方もアメリカ(西欧)文化を反映しているのかもしれません。イスラム圏ではRed Cross(赤十字)ではなく、Red Crescent(赤三日月)と呼ばれています。



上記は1つの例に過ぎませんが、多文化の中で物事を伝えるときに、どう言えば伝わるのか、受け入れてもらえるのか、もらえない場合は、その中でどううまく一緒に時間や空間を共有していくのか、尊重できるのかを皆で考えていく過程が大切です。「やさしい日本語」は「易しい」という表現の簡潔さを言っているのではなく、「優しさ」(尊重)のやさしいを意味しているのです。“優しさ”の過程の中で様々な気づきがあり、発見があり、アイデアが出て、社内コミュニケ―ションの活性化⇒共感力アップ⇒幸福感アップ⇒新しいサービスや業務の効率化等へ繋がっていきます。

例えば、最初のシンガポールの例のように、建設現場で言葉が通じず、意思疎通ができていなければ、日本人の現場所長が「落下注意」という危険性を伝えても伝わらず、労災が起こってしまうことがあります。日本でも多くの技能実習生が建設現場や製造業の現場でケガをし、時には命を落とす方もいます。日ごろから上記のようなグループワークで、外国人従業員も一緒にコミュニケーションも兼ねた時間を共有し、建設現場での危険シグナルをどう表現するかを話し合っていれば、外国人本人にも意識が芽生え、事故の未然防止に繋がるかもしれません。

ちょっとしたことでも、どう伝えるか、伝わるかを少し立ち止まって皆で考える時間をつくってみませんか。

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