付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「チャリオンの影」 ロイス・マクマスター・ビジョルド

2007-09-06 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「天国がどこにあるかわかりさえすれば、殴りこみをかけてやりますわ」
 イセーレ国姫付きの女官ベトリス・ディ・フェレジの言葉。

 一時は宮廷に仕える貴族でありながら、謀略によって奴隷として売り飛ばされたカザエル。長い旅路の果てに祖国へ戻ってきたカザエルは、呪われた国王一族と、王を傀儡にして国政を我が物とする宰相一派との権力抗争に巻き込まれることとなってしまう……。

 一口で言ってしまうと宮廷陰謀モノ。三銃士っぽいところもあるけれど、主役となるカザエルは才気あふれる若者というにはかなり年をくい、ガレー船での生活が長くて身体はボロボロのヨレヨレ。ペンを持つのもままならない中年男が年若いお姫さまや侍女に振り回されながらも手綱を引き締めようとしているうちに、次第にのっぴきならないところまで追い込まれていく話……かな。
 少年と中年という違いはあれど、失望のどん底にいた身体不自由な主人公が、坂を転がる石のようにさまざまな事件に巻き込まれながら自分の居場所を見つけていくというところは、同じ作者の『戦士志願』と同じですね。最初はどうなるかと思ったけれど、加速度的に面白くなって大団円で終わってしまうので文句なし。

【チャリオンの影】【ロイス・マクマスター・ビジョルド】【呪詛】【祝福】【聖人】

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「リオフレード魔法学院」 ... | トップ | 「エンダーのゲーム」 オー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー」カテゴリの最新記事