付け焼き刃の覚え書き

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「マーシアン・ウォースクール」 エドワード・スミス

2014-07-03 | ミリタリーSF・未来戦記
「明日も、明後日も、あなたが調子に乗る度に、私がそれを叱ってあげる」
 自信たっぷりのところが危なっかしいからと、メレディス・アシュクロフト伍長。

 火星に植民した人類は、もう100年もバグスと戦い続けてきた。
 別に正体不明の敵ではない。人類がテラフォーミングのために散布したナノマシンが地中の微生物と融合して生まれた機械生命で、わからないのは殲滅する方法だけだ。
 最初の四半世紀をなんとか生き残った火星の人類は、バグスとの戦いを前提にした社会を築き上げ、不足しがちな人材を確保する手段として、軍属学校を考え出した。将来を担う若年層に教育を与えると同時に不足する戦力を補うためのものだ。
 しかし、新たにハーシェルIIIの第一歩兵学校に親善大使兼留学生として地球からやってきたタキオン・シュガは、2年D組のクラスメイトに困惑を与えるだけだった。
「僕がいる限り……このクラスは全員、地獄へ行くことになる」

 戦死させられるために最前線に送られてきた少年が、クラスメイトをまとめ上げて戦い続ける話。『E.G.コンバット』というより『ガンパレード・マーチ』。軍隊は先任下士官が大事で、補給はなりふり構わず手を回せ、砲撃支援は強力だけれど観測班が居なければ機能しない……という基本をきっちり抑えた上で、子供と大人がそれぞれの領分をしっかりわきまえた戦いを繰り広げています。
 物語として戦争のリアルを描き、でも湿っぽくなりすぎず、脳天気にならず、でも明るさは忘れず、学生を学生のまま戦場に出す話って、そういうバランスの取り方が難しいのだと思うけれど、シリーズの出出しとしては上々。面白く仕上がってます。
 普段は表情の読めない突き合いづらそうな主人公と、同じく近寄りがたいクールビューティーが、2人きりだとボケツッコミになってしまっている気がします。

【マーシアン・ウォースクール】【エドワード・スミス】【凱】【電撃文庫】【ゲーセン勝負】【多脚戦車】【モッタイナイ】

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