付け焼き刃の覚え書き

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「第二次世界大戦紳士録」 ホリエカニコ

2009-08-13 | 戦記・戦史・軍事
 歴史は登場する人物が活き活きと描き出されれば出されるほど面白くなってきます。虚実入り混じった「物語」を「正史」と誤解されても困りますが、学校の教科書の味気なさを思えば、もう少し関心をもたせる工夫は必要です。前に中学の日本史の教科書を読んだら、北条政子を「尼将軍とも呼ばれ、鎌倉幕府をもり立てた」のひとことでスルーしていて頭を抱えました。

 第二次世界大戦紳士録といってますが226事件の青年将校たちも含まれており、日独の軍人さんや政治家たち1人1人を主人公にしたエッセイマンガが収録されています。アメリカとかイギリスとかソ連とかイタリアについては言及はほとんどなし。ムッソリーニが1頁載っている以外は、チャーチルやスターリンがちょこちょこ顔を出しては政治的に正しい行為を行っているくらいです。
 戦争とは悲惨なもの。悪人と言われている人間にも真面目なところやユーモラスな一面はあるし、立派な人と言われていても身内にとっては奇人変人というのも良くある話です。そうしたエピソードの数々を、真面目に文献から拾い集めて抜き出して再構成すると、どうしてこんなに笑えるものになるのでしょうか……?
 大和大好き有賀幸作、寝ない男・柳本柳作、ウソつきの大ホラふき・渕田美津雄、司令長官にしておくには惜しい南雲忠一、人生楽しそうなグデーリアン、「そこに山があるから」ヨードル等々、戦記物などを読んでいるだけでは部隊指揮官Aとか艦隊司令Bくらいにしか思えない人々が、わずか1ページで活き活きと蘇ります。
 こういう話を読むと、実際の歴史の中で彼らがどのような位置をしめていたのかが気になってきますが、それをフォローするかのように合間合間に仮装戦記作家らによる戦史や専門用語の解説が入り、より深く学ぶための道筋が用意されているのです。これが第二次世界大戦限定でなかったら、うちの子らにも薦めたり学校の図書館にも推薦するのに……。

 bk1で予約したら10日午前に到着。早いなあ。ここらの本屋なんかまだ店頭にも並んでないよ。しかし、同一人物についてギャグ用二頭身とシリアス用モデル頭身の2デザインがあり、それが自由自在に入れ替わるというのは、たがみよしひさを開祖とすると思うのだけれど、この手法だと話が小気味よく進みますね。

【第二次世界大戦紳士録】【ホリエカニコ】【山下英一郎】【内田弘樹】【戦艦大和】【沖縄戦】【硫黄島】

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