◇◇◇ 俳句の受難
沖縄には梅雨明け宣言が出されたが、関東は深い梅雨の中にある。1年前「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」という俳句をめぐってのいざこざがあった。作者は銀座で女性たちのデモを見かけ、親近感を覚えて詠んだのだという。作品の優劣は兎も角として、情景は単純明快で取り立てて問題になるような句ではない。
さいたま市の三橋公民館に俳句会があり、その俳句の中から選ばれた一句を公民館月報の俳句コーナー掲載していた。ところが「世論を二分するテーマ」だから「やまれぬ公共的利益のため」に不掲載にされた。何とも大人げない対応であるナ~…。今後、俳句の一句一句に行政が「世論を二分するテーマ」であるか、どうか検閲して掲載の諾否を決めるという事になる。
とまあ、忘れていたとこる、先日、作者が月報への掲載と損害賠償を求め、さいたま地裁に提訴するというニュースがあった。提訴側は表現活動に突然、公権力が介入したとして「民主主義の根幹を揺るがしかねない重大な問題が潜んでいる」と法廷闘争を始める。
司法は「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」が「世論を二分するテーマ」で公序良俗に反する句かどうか審議審判するのか。何ともおかしな世の中になってきた。
人影の絶えて久しい門柱の鉄条網に昼顔が咲く
ポツダム宣言つまびらかには読んでない 況や憲法前文をや
9条が窮状となるBaiuかな
廃校の石段占める破れ傘
※Baiu=梅雨(ばいう・つゆ)。中国でも梅雨(メイユ)
現在、BaiuはSuShiやKaraokeなどと並ぶ国際語として使用されている
※破れ傘(やぶれがさ)=キク科の多年草で、葉は掌状に深く裂け破れた傘を思わせる
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