年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

丹沢・古代杉

2008-05-05 | フォトエッセイ&短歌
 丹沢湖を中川に沿って6kmも北上すると箒沢(ほうきさわ)集落の入口にどっしりとそびえ立つ箒杉 (ほうきすぎ:国指定天然記念物:全国名木百選)の威容に圧倒される。胸高周囲12mは圧巻だが樹齢2000年というのがなんとも凄い。付近に縄文・弥生の遺跡があるから古代国家の成立と共に人々の生活をうかがい知りながら2000年間も生きて来たのだ。
 この地域は、江戸時代は幕府直轄の「御料林」として、杉 (スギ) ・桧 (ヒノキ) ・欅 (ケヤキ) ・樅 (モミ) ・樛 (ツガ) ・榧 (カヤ) の6種は「宝ノ木」として伐採が禁じられ、この集落を宝木沢(ほうきさわ)と呼んでいたという。いつの頃から「宝木杉」になり転じて「箒杉」となったとか。
 1972年7月、集中豪雨にみまわれ箒沢集落では家屋の大半が流出したが、箒杉は土砂崩れをぐっとくい止め踏ん張った。

<「箒杉は残った!」と集落再建の感動的シンボルになったという>

 山北町を中心に県北西部は茶の産地である。山間の気候条件がよく茶の栽培に最適という事でその歴史は古いが、本格的な栽培は関東大震災後の産業復興策として大正12年以降、全村一致で茶の導入を決定。ブランド名を「足柄茶」という。
 山霧が立ち込める丹沢山ろくの、天と地の恵みをさずかって生まれ育った足柄茶は深い香りとコクのある味で全国茶品評会一等の連続受賞とか。そろそろ夏も近づく八十八夜、茶摘みの時期である。

<耕して渓谷に下る茶畑。遙か下方に中川の渓流が覗き見られる>

 箒沢集落から更に3km上流に西丹沢自然教室がある。西丹沢登山の拠点で畦ケ丸路の登山道入口となっている。その吊り橋から渓流の瀬音を聞きながら対岸の若芽の萌えあがる息吹を眺める。山が笑うという。
 この先の犬越路を越えると山梨県の同志村であるが、林道工事はストップして車は通れない。正解である。もう自然破壊の道路は絶対いらない。

<「春山淡冶而如笑」(早春の芽吹きはじめた華やかな山の佇まい)である>


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