年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

三猿の教え

2016-01-06 | 俳句&和歌

◇◇◇   三猿の教え
 今年の干支は「丙申」で申年である。本来の読みは「しん」、これを「さる」としたのは無学の庶民に十二支を理解させよと動物の猿を当てたのだと物の本に載っている。
 これが、しっかり定着し年始には欠せない動物となり、年賀葉書は猿の繚乱である。霊長類で我々ヒトの仲間であるが、猿知恵、猿真似、猿芝居とヒトより劣るものと貶めている。アメリカでyellow monkeyといえば日本人に対する最大の侮蔑としても用いられる。
 年賀状に「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿のイラストがあった。三猿の謂われについては中学生の頃に聞いた記憶がある。江戸時代「お上に対する庶民のあるべき姿勢」を表現したものだと云う。民衆は為政に対して「目をつぶり、耳を塞ぎ、口をつむんで年貢を納めていれば天下泰平」。士農工商の江戸時代はこうして300年間も続いたのだと。 君たちはこういう封建的姿勢では駄目だ!主権在民だ!戦後教育を感じさせる三猿の解釈であるが、民主主義と重なってすごく納得させられた記憶がある。
 しかし、三猿の解釈がこればかりではなく、この封建的思想云々は少数派である事を知ったのはずっと後の事である。そればかりでなく三猿話は猿の生息している所、世界中にあるというのだ。
 マハトマ・ガンディーは常に3匹の猿の像を身につけ「悪を見るな、悪を聞くな、悪を言うな」と教えたという。アメリカの教会(日曜学校)では三猿を用い「猥褻なものを見ない」「性的な噂を聞かない」「嘘や卑猥なことを言わない」よう諭したという。如何にもカトリックの国らしい。三猿にもお国柄の文化がうかがえる。

 

 初詣背を震わせて土下座する限界老人なにを祈るか

 恙なし 六十余年も延々と意味有りや無しや賀状が続く

 

   追羽子の響きにホッと足止まる

   鰐口の響きのこもる初景色

   雪吊の縄のカラカラ淑気なし

 


※丙申(ひのえさる)=十干の「丙(ひのえ)」と十二支の「申(さる)」の組合せ
※鰐口(わにぐち)=仏堂の軒に掛かっている丸い仏具。参詣人は布綱で鳴らす。
※淑気(しゅくき)=新春のめでたくなごやかな雰囲気


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