年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

卒塔婆

2015-05-04 | 俳句&和歌

◇◇◇   卒塔婆

 川崎市の多摩川河川敷で中学1年生のA君が殺害された事件からすでに2月半が過ぎている。A君の生活や人間像などが報道される一方犯行の動機や殺害手口なども報道され、大きな社会問題になっている。
 私が現場を伺って線香をあげていると某紙の記者が訪れ「今日はA君の14歳のお誕生日」だと教えてくれた。生きていれば中2の新学期、級友と談笑しバスケ部の部活で目を輝かせて動き回っていただろうに……。
 花束に囲まれた線香の煙は絶えることなく五月晴れの空に向かって立ち上っている。
 卒塔婆の脇で風車が川面の風を受けてし、ひたすらに唯ひたすらの回り続けている。 

 「何なんだ」問えど無言に陽炎へる殺害現場はあら草に萌える                                                                                                                  

  花々の笑顔の遺影寂しけれ助っ人いないこの世の悲しさ

  少年の足向かわせた強き磁場窺い知れぬ深き暗闇

 

  卒塔婆を映す川面にボラ跳ねる

 痕跡をさつき緑が柔らかに

 ※卒塔婆(そとば)=塔婆、供養のために立てる梵字を記した板

 



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