研究家によるとボクシングの起源はアダムとイブの子供達のケンカに始まると言うから長い長~いが歴史がある。古代、中世のボクシングはまさに殺し合いである。近代ボクシングは1838年の協会設立に伴って29条のルールが決められた頃だという。蹴り技の禁止・頭突きの禁止・目玉えぐりの禁止などが違反と記されている。目玉えぐりを禁止しなければならなかったとは、凄まじい競技であった事が分かる。
現在はルールも厳格化しスポーツとして確立されている。とは云え、殴り合いの危険性は高くプロとアマの区別をこれほど厳しく制限しているスポーツはない。インターハイ、国体、オリンピックにの種目ではあるが、他の競技と比較して競技人口も観客数も多くはない。スポーツ観戦が嫌いでない私もプロボクシングの試合は見たことがなかった。「ロッキー」「ALI アリ」「ミリオンダラー・ベイビー」と映画で観るくらいだった。
ところが、ひょんな事からWBA世界フライ級タイトルマッチ:黒田雅之VSフアン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)12回戦を観る機会が訪れた。黒田は川崎新田ジム所属で地元川崎市の等々力アリーナでの興行、「川崎から世界へ」声援を合言葉に果敢に挑んだが判定で敗れた。
新聞は「とどろきの奇跡」は起きなかったと書いたが、もし勝利すればそれは「奇跡」だったのだ。素人目にも1ラウンド観ただけで歴然とした実力の差がわかった。ポパイの
ような腕がハンマーを振りまわしているようだ。その王者の強烈なパンチに何度も押し込まれたが、最後まで踏みとどまってダウンを喫しなかった善戦を称えるべきか。
肉弾と言うが、まさにボディからドスンという響きが伝わって来る。心臓麻痺でこちらが倒れそうだ。その真迫力はプロレスの比ではない。老人の観るものではない。
<チャンピオンベルト巻いてポーズをとるカルロス・レベコ 29歳)
王者待つリングに眩くライト照る冷たいほどの静けさのなか
「さあ来い」とコーナースツールを立つ王者ゴングが鳴りてグローブ合わす
ひたすらにただひたすらに打ち当たる飛び散る汗は炎のように
クリンチでボディブローの重き音我が腹に響いて体こごます
輝いた熱きキャンバス侘びしげに敗者が無念の祭壇ににて
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます