年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

春の暮

2015-05-17 | 俳句&和歌

◇◇◇      春の暮

 春夏秋冬、12ケ月を4等分すると3月4月5月が春という事になる。便宜的に言っているだけで春でも夏の気温を示すことがある。
 「お天気おじさん」最近は「お天気あねさん」が多くなっているが、魔法の杖をポンと叩くとギンギンの太陽が飛び出して「今日は夏日になります」と得意気に予報する。
 「昨今のこんな天候を俳句の世界では「春の暮」と呼んでいる。暮春、春の末、春暮れるの時季である。暖房・冷房の世話にならない寒からず暑からずの気候で高齢者には最適となる。散歩の途中で老々介護のご夫婦であろうか、妻を乗せた車椅子を夫が押し歩いているのに出会う。遠目には微笑ましく長閑に見えるが、近づくと夫も車椅子につかまって難儀しながら歩いているのがわかる。長生きも大変である。
 
 

 シネマ観てカフェなるものに気取ってもせわしいだけの場違いの春

 里山は萌える若葉のグランデーション薄き存在われも溶け入る

 

   孤独死を伝えるニュース朧月 


   車椅子押す老夫あり春暮るる

 

※朧月(おぼろづき)=靄などに包まれたほのかにかすんで見える春の夜の月
※春の暮=春が終わろうとしている五月中旬