年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

あぶくま洞

2012-06-08 | フォトエッセイ&短歌

 福島原発事故は未だ収束していないし、原因も定かにされていない。それどこか、4号機が崩壊する危険性も指摘されている。東京電力関係者『4号機の原子炉建屋はわずかの余震で、完全に倒壊する可能性が高い。そうなれば、燃料プールが崩壊し東日本全体に深刻な影響を与える』といっている。
 原発風評被害で観光地は困惑しているとマスコミは現地の声を拾うが、果たして風評被害なのか。「日本の命運を握る福島第一原発4号機」は現実味を帯びている。というのが実態なのかも知れない。しかし、電力不足を漠然とした市民的危機感を盾に取って原発再稼働を野田内閣は「やってしまえ!」と原子力ムラのお歴々を背に前のめりである。福島もHUKUSIMAと表記され国際語になってしまった。
 前書きが長くなってしまったが、その福島に郡山から阿武隈山地を越えて陸前浜街道に抜ける、その途中の田村市の「あぶくま洞(あぶくまどう)」の地底のファンタジーに足を踏み入れた。阿武隈高地の釜山採石場で1969年に石灰岩採掘中に発見された鍾乳洞(福島県田村市)である。石筍や石柱など地下水に光る奇怪な鍾乳石が様々な色のライティングで演出されている。
 「あぶくま洞」最大のホールで天井まで25mもあるという滝根御殿に立つと一寸法師になったような存在の微小さを感じる。この奇妙な存在感の稀薄さは何だろうか。静寂に響く地下水の流れと正確無比の水滴の響きに言葉も失う。8千万年という悠久の大自然の営みに人間は対応出来ないという事を知るのみである。
 黙示録のような鍾乳石は1㎝成長するのに80年かかるのだという。8千万年も成長し続けている鍾乳石は人の世の右往左往を何というのであろうか。

<鍾乳洞、驚愕の地底と自然の偉業。光りのページェント>

  累々と石灰岩は聳え立ちあぶくま洞は泰山の中に

  まだ萌黄阿武隈山地の峠越え30㎞先は水爆の危機!

  掌の甲に一滴のしずく当てみれば腰まで響く地底の重み

  漆黒の滝根御殿は地下深き一滴ポツリと悠久のしずく

  時空越え人知も及ばぬ鍾乳洞光り華やか地中のファンタジー