年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

久が原遺跡

2012-02-07 | フォトエッセイ&短歌

 東京都大田区久ヶ原は「久ヶ原遺跡」の上にある。遺跡の中心をなすものは弥生時代の大規模な集落跡で1000軒の竪穴住居跡が大地の中に埋まっているが、部分的な発掘調査しか出来ていないので全貌はが不明である。にも関わらず「久ヶ原遺跡」は弥生時代の標式遺跡(タイプ・ステーション)として重要である。
 郷土博物館には詳しい遺跡の展示があり古代の南関東の様子が分かるようになっている。ここから出土した土器は「久ヶ原式土器」と命名され、弥生式土器の一つのタイプとして特段の位置付けがなされているのだ。弥生文化を計る物差しの役割を果たしているのが久ヶ原式土器という事になる。おおよそ今から2000年~1500年前の土器で頸部や胴上半部に羽状縄文(うじょうじょうもん)を巡らして刻み込んだ完成度の高い物である。粘土を輪積みにし外面を丁寧に磨き上げ、赤色素のベンガラが塗られている。

<山形文の中を単純な斜行縄文で埋めた文様と特徴とする>

  薄赤き羽状(うじょう)に残るベンガラの土器焼く工房声騒がしく

  土器作る長(おさ)の技盗む鋭き目土塊(つちくれ)握り若者は立つ

  赤土に住居跡刻む深々と秋の陽強く痕跡を暴く

  久ヶ原の壺形土器の山形文 五百年間変わることなし