年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

塩田平:北国の春

2009-04-18 | フォトエッセイ&短歌
 信州、上田市塩田平の桜は未だ蕾のままである。昨夜も雪に見舞われたが、里の雪はたちまち春霞の中に消えてしまった。信州の春はそこまで来ている。
 塩田平は上信越の要として古代から幕末まで歴史の十字路として史跡の宝庫。特に鎌倉時代から室町時代の中世の文化財が多く、信州の鎌倉と云われている。寺院を中心に重要文化財級の寺社が多く文化水準の高さを語っている。
 上田盆地の一角、塩田平は上田藩の米蔵として今でも里の様子を伝えている。

<春の訪れを待つ塩田平、周囲の山々は昨夜の雪で銀色に輝いている。>

 塩田平の南方、独鈷(とっこ)山の麓に信州最古の木造建築、国指定重文の中禅寺阿弥陀堂がある。平安未か鎌倉初期の建立というから、すでに800年以上の星霜を重ねている。
 祀つられている薬師如来像は、ほの暗い御堂に、右手の掌を前に向け、左手に薬の壺をのせ、穏やかな眼差しで泰然自若としている。病苦から人々を救う安心感を与えてくれる。

<春の雪をまぶした茅〔かや〕ぶきの宝形造〔ほうぎょうづくり〕屋根>

 正式名称は真言宗智山派竜王院延命院中禅寺。その中尊寺山門。阿形・吽形の金剛力士(こんごうりきし)が阿弥陀堂(薬師如来像)を守っているのだという。何ともローカルで素朴な微笑ましい仁王であることか。

<地方では重文級の文化財が遮蔽物もなく感触的に観賞できるのがいいな~>