年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

薫る大倉山

2008-04-20 | フォトエッセイ&短歌
 東急東横沿線にはいくつかの公園があるが、その中で最も豊かな自然と見事な建造物を持っているのが大倉山公園である。大倉山駅の北西側の急坂を登っていくと突如ギリシャ神殿を思わせるような「横浜市大倉山記念館」が聳え立つ。
 その記念館の裏側斜面が「大倉山梅林」である。歴史を辿りながら梅の香りを楽しむ散策も悪くはない。雑木林の合間に畑が点在する名もない丘に大倉邦彦が「大倉精神文化研究所」を建てたのは1932年である。
 いつしか丘陵は「大倉山」と呼ばれるようになり、東横線の「太尾駅」も1934年に「大倉山駅」と改称された。東急電鉄が乗降客誘致に梅林を造って開園していた「太尾公園」も「大倉山公園」と改められたという。
 電車賃を風流な花見客で稼ごうとした電鉄は偉かった。更に線路を挟んだ対岸に大倉山学園をつくって教育事業でも稼ごうとしたが、教育と営利の両立は難しくこれは失敗し今年を最後に閉校される。
 現在、20種類200本の梅の木が植えられ、色とりどりの花が楽しめる。紅梅に白梅、一重に八重、垂れに横にとそれは見事である。桜のボア~とした華やかさとは違う凛としたした華やかさが魅力である。青空に映えて咲く小さな白い花は心を和ませる。

<遅咲きの花も終わって新緑の葉に変わっている頃だろう。花の命は短くて…>
   
<ニュースを独占している後期高齢者も春の陽を浴びてゆったりと花見を満喫>


 梅林を抜けて北西の方向に歩いて行くと鶴見川の新羽橋にでる。流域の形が夢を食べる獏(バク)という野獣に似ていることから「バクの川」として親しまれている。しかし、「2002年、全国一級河川の水質現況」で、鶴見川の水質はワーストワンと報道され、バッチイ川として一躍有名になってしまった。
 この鶴見川、丘陵地と台地の間をバクの面のように蛇行しながら緩やかな勾配で流れる。河床は浅く、川沿いも低くて平らな沖積地が連なっているので、昔から大雨のたびに洪水・氾濫をもたらす暴れ川。2005年には「特定都市河川」に指定され洪水氾濫による災害対策が進んでいる。

<「バクの川」の特徴がよくわかる大曽根台地点。前方は綱島橋あたり>