年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

兵庫島に至る

2008-03-18 | フォトエッセイ&短歌
 多摩水道橋から下流を眺めると小田急線が前方に見える。現在、複々線工事の鉄橋工事が山場を迎え狛江と登戸の架橋がドッキングしようとしている。荒々しい作業現場の中を長閑に電車が行き来している。また、その眼下には宿河原堰が川幅いっぱいに流水を湛えて、「母なる多摩川」の面影を映している。
 更に下流に向かうと突如爆音が響き渡る。大型自動二輪車が列をなして連なるかと思うと小刻みなカーブを無尽に操りながら走り抜ける。オートバイの曲芸のようでしばし目を奪われる。
 「警視庁交通安全訓練センター」である。「白バイ」の特訓場である。火曜サスペンスドラマでお目にかかる、指名手配や逃走中の被疑者の捕捉をする訳だから、その機動力と運転テクニックは高度な技が要求される。厳しい身体的練習に手抜かりはない。
 スピード違反者は、ユメユメ「白バイ」を振り切ろうなんて考えない方がいい。<これを見れば納得!>。また「ルールとマナーを身につけてあなたも立派な二輪ライダーに!」と一般人対象にもオートバイの安全運転訓練を行っている。

<写真は上級者オートバイ教室でライセンス取得の高度テクニシャンのようだ>

 更に下流に向かう。堤の中腹に絵本から切り取ったような地蔵様が冬芝の中に佇んでいる。水難事故の犠牲者でもあるのか、行き倒れの最期の地でもあったのか… 赤い布きれが華やいで見えるのが幸いである。
地蔵菩薩は「お地蔵さま」として最も親しまれている菩薩である。子供や旅人たちを守るとされ街道の辻々に祀られている。「笠地蔵」などに見られるように子供達や村人・旅人との関係が温かく描かれるのもそのためである。

<十にもならないみどり子が賽の河原に集まりて、父恋し母恋し~ 地蔵和讃>

 多摩水道橋から約6km二子橋に至る。その橋の手前に多摩川とその支流野川に挟まれた多摩川八景の一つ兵庫島公園がある。兵庫島、気になる名前だと思ったら、ヤハリ「新田義興の家臣、由良兵庫助の死体が流れ着いた」といわれる。

   <兵庫島のこんもりとした木陰にある多摩川ドナウ川河川友好記念碑>