年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

柱状節理

2007-05-16 | フォトエッセイ&短歌
 <春霞に鯉泳ぐ・承> 千匹の鯉を湖面に映した七ケ宿ダムは阿武隈川の支流、白石川の上流を堰き止めた中央コア型ロックフィル形式の多目的ダム。ダムの下は深い渓谷になっていて「材木岩公園」として整備されている。高さ65mもある巨大な材木を100mほど垂直に並べたような自然景観から古くから「材木岩」として親しまれている。(1930年 国指定天然記念物)


 案内版によれば『巨斑紫蘇輝石(きょはんしょうそきせき)石英安山岩が水成岩の基盤を貫いて地表面に噴出し、急激に冷え固まる時に出来た三角から六角柱状の節理』だという。ナンダカワカラナイナ~<柱状節理:ちゅうじょうせつり→柱状のひび割れ>
 簡単に言えば、高温のマグマが噴出し従来の台地と大気に接して急激に冷える過程で作られる。つまり、冷えるにしたがって熱作用でふくらんでいたマグマの体積が縮まり、積み重なる面に対して垂直にひび割れ(節理)を起こしながら焼き固まった岩石となってできるのだという。沼が干からびて、ひび割れが出来るが、それを「垂直に剥ぎ取って眺めると六角形の材木を立て並べた形に見える」というイメージか。
 マア、地学の学習はそれくらいで。仰ぎ見る切り立った崖に巨大な石柱が束ねられてそそり立つ自然の造形は圧巻である。そして、山里の渓谷に突如立ちはだかる柱状節理は地球の内部を覗き見るような神秘を語っている。

 湖上では水質浄化のための噴水が山肌を吹き流れてくる風に煽られて右に左に水煙を曇らせている。やがてその水滴達は灌漑用水として早苗を育てるのか、水道管を通ってみそ汁となってヒトサマの胃袋に収まるのか、太平洋まで流れ至って魚たちを活性化させるのか、想いが尽きる事はない。
 一陣の風が舞うと水煙は咆哮するかのようにひときわ永く飛翔した。