年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

風神雷神

2006-10-06 | フォトエッセイ&短歌
 風神雷神図屏風と言えば江戸初期の文化を代表する建仁寺所蔵の二曲一双の屏風(国宝)である。作者俵屋宗達は金箔の天空に湧き立つ雲に乗って風神と雷神が大嵐を巻き起こそうと躍動する絶妙な構図を大胆に描いた。しかし何とも可愛いユーモラスな神々であろうか。「そこの坊ーズ、臍とるぞ~」そんなゴロゴロ様の声が聞こえて来そうだ。



 田舎館(青森県南津軽郡)の村役場の天守閣から眼下の田圃を見ると「風神雷神」が一望出来る。村おこしの柱として『千人の力で田んぼに巨大なアートを!』(The Rice Paddy Art) と15000㎡の水田をキャンバスに見立てて絵を描くのである。
 文字通り村内外から1000人を越す参加者によって田植えが行われる。古代品種の紫稲・黄稲・赤稲や現代種のつがるロマンなどの苗を植えつける。田植えの終わった時は普通の田園だが梅雨明けの成長期頃からは日に日に雷神風神像が見事な「絵」となって形象されていくのだという。

 近代的な役場の屋上から高々と展望台を設置、天守閣と称して巨大アートを見渡せるように仕組んである。アッと息を呑む壮観な眺めである。風が吹くとサワサワと雷神が動き出し天に昇っていくかのようである。やがて収穫を迎える秋にはどんな変化を遂げるのであろうか。黄金色に染め上げられた風神雷神の進化した姿をイメージするだけでも楽しい。*右側の風神は遠慮させていただいた。

 ユニークな村おこし企画である。村人が挙って1年がかりで完成させていく。日本の穀物自給率30%未満(フランス200%超・イギリス100%超)でドウスンダ!日本の農政。そんな中で農業を基盤に地方を活性化させていこうとしている気概が受け取れて頼もしい。何か村に活気さえ感じられた。9月29日、小学生からばっちゃんまで1212人で稲刈りが終わったとの便りが届いた。津軽はそろそろ紅葉に埋まる。

       

      横浜:寺家ふるさと村の谷戸田にも収穫の秋が来た。
      刈り取った稲は掛干し(棒掛け)天日で自然乾燥させ
      て脱穀機にかける。(横浜市青葉区寺家町)
     
      東急田園都市線「青葉台駅」下車バス
      小田急線「柿生駅」下車バス