地方版の特集「荒川」(その5)は酒造り。明治の始め埼玉には何と
「689」もの酒蔵があった。埼玉を縦断する荒川水系の水は、酒造りに
邪魔な鉄分やマンガンが少なく硬度も高い。逆に麹や酵母の発行を促す
カルシウムなどのミネラルが豊富なことが理由だ。
現在は34ある埼玉の酒蔵のうち、滋賀の近江商人や新潟の杜氏が移住
して起こした酒蔵が20ある。江戸時代、海路で江戸まで運ばれた兵庫の
酒も、埼玉までの陸路で運ぶには重く、酒造りに適した荒川の水がある
ことで酒造りが盛んになったらしい。
その一つ上尾市の北西酒造は近江商人が移住して始めた酒蔵の一つ。
純米大吟醸「文楽」が昨年の部門別最優秀賞となった。荒川の伏流水が
湧きだす現在の地は、マンションも建つ街中となったが、伏流水の水質
に変化はなく検査合格である。
秩父の銘酒「秩父錦」の矢尾本店の初代も近江出身。長瀞にあった
やはり近江商人の酒蔵で奉公した後、暖簾分けして秩父に蔵を持った。
現在は濾過した荒川の漂流水を使うという。
秩父錦はよく飲んでいるが、文楽は一度だけ中山道上尾宿を歩いた
時に入った直営店の食事処で飲んだ。味は覚えていない。
懐古シリーズ「荒川」は、源流から蛇行を続けていた荒川が南西へと
向かい出す最北部あたり、皆野・長瀞ー鉢形である
これは八高線
鉢形城址から